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鹿児島市長に政治資金疑惑(上) “会費”で収入実態隠蔽?

2017年1月18日 09:35

1-鹿児島市長収支.jpg 森博幸鹿児島市長の政治団体による、不適切な政治資金処理の実態が明らかとなった。
 市長の資金管理団体「もり博幸後援会 博友会」は、1万円を1口として5口を上限と定め“会費”として集金。個人献金とは別に、毎年1,000万円前後の収入を得ていた。“会費”は、政治資金収支報告書に詳しい内訳を記載する必要がないため、支出側が未公表になる仕組み。政治資金規正法の抜け道を利用したカネ集めで実態を隠した形だ。
 HUNTERの調べで、同法が禁じる企業からの入金があったことも判明。取材に応じた森市長の事務所は、企業からの振り込みを認めた上で、「企業側の間違いだったため、返金した」(事務担当者の説明)と話している。

“会費”で実態隠し
 1484630746992.jpg森市長の関連政治団体は3つ。資金管理団体「もり博幸後援会 博友会」(以下、博友会)、「もり博幸後援会」、「活力ある鹿児島市をつくる会」で、住所地はいずれも鹿児島市内にあるマンションの1室だ(右の写真)。

 カネ集めを行っているのは「もり博幸後援会 博友会」。鹿児島県選挙管理委員会に提出された政治資金収支報告書によれば、同会は平成25年に約約1,410万円、26年に約1,425万円、27年に1,625万円を集め、それぞれの収入の1,000万円以上を「会費収入」として処理していた。会費収入だけで平成25年には439人から864万円を、26年には551人から1,039万円を、27年には523人から1,010万円を集めていた。平均すると一人約20,000円。鹿児島の関係者だけで、500人を超える会員から会費を集めた形となっている。

 “会費”は、政治団体の構成員として組織運営にかかる経費を負担するもの。政治家の政治活動に資するための“献金”とは性格が異なるが、政治家側への資金提供であることに変わりはない。事実、博友会が集めたカネの中から、平成25年には「もり博幸後援会」と「活力ある鹿児島市をつくる会」にそれぞれ200万円と300万円が、26年には「活力ある鹿児島市をつくる会」に400万円が、27年には「もり博幸後援会」に300万円が寄附されており、会員の納めた会費が、森市長の関連政治団体に迂回献金回された形となっている。

 博友会が集める会費が、事実上の献金である可能性は否定できない。県選管への情報公開請求で同団体の規約を確認したところ、会費と献金の境がなかったことが分かっている。平成16年の団体設立から19年、21年、23年と4回にわたって異動届が出された規約「経費」の変遷は次の通りだ。

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矢印-thumb-200x46-11214-thumb-200x46-11217-thumb-200x46-11248.jpg20170118_h01-05.jpg 団体設立当初は、個人会員「1口10,000万円で150口まで」という驚くべきシステム。個人献金の上限が、1団体につき年間150万円までであることを意識した格好となっていた。2回目の規約変更で「一般会員1口10,000円上限5口」になったあと、3回目で「特別会員1口10,000円上限5口」となり、4度目で金額の規定がない現在の形に落ち着いている。

 政治資金規正法の規定で、公表義務があるのは5万円を超える寄附から(5万1円から公表)。博友会が会費の上限を5万円にしたのは、会費納入者の素性を隠すための配慮ともとれる。ただし、政治資金収支報告書上「会費」として処理した場合、5万円超であっても相手先の氏名や住所を公表する義務はない。制度の不備というしかないが、森市長の博友会は、これを抜け道として利用している可能性がある。

市長側、企業からの入金認める
 周辺取材を進める中、「森市長の後援会への会費は、会社が支払った」という証言を得た。証言者は、振込みの事実もあったという。会費の中に、実態を隠した企業献金が含まれているのではないのか――。市長の後援会事務所に話を聞いた。

 博友会の事務担当者は、過去に企業からの振り込みがあったことを認めた上で、およそ次のように話している。

「過去に、企業名での振り込みがあったのは事実で、昨年だけで5~6件あったと思う。ただし、会費の案内をする段階で、きちんと会費であること、個人としての会費納入しかできないことを明示している。企業側の間違いは、振込み名義で分かるため、確認した時点で理由を説明し、返金している。企業からの振り込み分も返金分も帳簿には記載しており、法の規定は遵守している」

 企業からの振り込みがあったのは事実。一時的であるにせよ、企業からの資金提供を受けたということだ。返金したと言うが、事務所側説明の真偽を確かめることはできない。政治資金規正法は、政治団体の収入と支出を漏れなく会計帳簿に記載し、その内容を正確に政治資金収支報告書に転記することを求めている。従って、入ってきた会費のすべてをいったん収入としてカウントし、返金分を支出として報告書に記載すべきだが、博友会の収支報告書にはそのいずれも反映されていない。返金の証明ができないばかりか、報告書の記載を怠り、カネの流れを隠した格好となっている。一部報告の不記載または虚偽記載が疑われる状況だ。

 そもそも、人口約60万人の鹿児島市において、個人ベースで500人を超える会費納入者を集めることが可能なのか?森市長の事務所に、会社のカネを役員や社員の名前で納めているのではないかと聞いてみたところ、「昔はありました」(事務担当者)――。不透明というより、怪しさが募る展開となっている。確かに、怪しいのは収入だけではない。
(以下、次稿)



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