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軍拡まっしぐら 防衛費の推移で見る安倍政治

2017年1月 5日 09:00

安倍-thumb-550x568-10540-thumb-230x154-14943.jpg 2017年を迎え、6年目に入った安倍政権。依然として5割を超える支持率に支えられているが、看板の経済政策「アベノミクス」は既に破綻しており、「一億総活躍」にしても、掛け声だけに終わりそうな状況だ。国民に示したバラ色の未来が色褪せるなか、「地方創成」は進まず、2020年五輪・パラリンピックに活気づく東京と地方との格差は開く一方。成果を上げているのは、戦争への道普請だけというのが実情だろう。予算編成上もこの傾向が顕著で、子育て支援や高齢者対策といった福祉関係は後回し、防衛予算だけが確実に増加している現実がある。

アベノミクスの実情
 アベノミクスの破綻は周知の通り。恩恵を受けたのは一部の大企業と株屋だけで、国民の懐は潤っていない。「三本の矢」や「新三本の矢」はどこに飛んで行ったのか分からずじまい。的に届く前に、落下してしまったというのが実際のところだろう。はなから信用されていない「一億総活躍」や「女性が輝く社会」などは、単なるキャッチコピー。「保育園落ちた。日本死ね」で注目された待機児童解消策にしても、消費増税延期にともない、沙汰止みになった感じだ。

増大する防衛予算
 国民の不安・不満は増すばかりだというのに、永田町には危機感がない。12月に閉じた国会で、騒いだのは「統合型リゾート(IR)整備推進法」(カジノ法)だけ。同法の採決を巡っては、“廃案を目指す”としていた民進党が参議院審議の最終局面で自民党に手を貸す形で譲歩し、野党第一党の無軌道ぶりを印象づける結果となった。野党の力不足が「安倍一強」を助長しているのは確か。このため、国民の暮らしを二の次にした予算編成がまかり通ってきた。下は、小泉政権下の平成14年度から今年度までの防衛予算の推移だが、安倍政権の方向性を明確に示している。

防衛予算.jpg

 防衛費は、小泉(平成13年4月~平成18年9月)、安倍第1次(平成18年9月~平成19年9月)、福田(平成19年9月~平成20年9月)、麻生(平成20年9月~平成21年9月)、鳩山(平成21年9月~平成22年6月)、菅(平成22年6月~平成23年9月)、野田(平成23年9月~平成24年12月)といった7代の政権が、10年以上かけて徐々に減らしてきた経緯があり、平成24年度には4兆6,500億円に。それが、安倍氏が首相再登板を果たした翌年度からわずか4年間で元に戻り、在日米軍関係経費のすべてを加えると、平成28年度には初めて5兆円を突破、29年度予算案には過去最大となる5兆1,251億円を計上している。下は、防衛省の公表資料だが、安倍政権の防衛予算が急激に増えたことは、9年度~29年度の伸率をみても明らか。これはもう、「軍拡路線」と言っても過言ではあるまい

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問われる安倍政治の是非
 来年度の一般会計予算のうち、歳出は97兆4,547億円。子育て支援や働き方改革のために一定の予算配分があったものの、医療や介護など社会保障費の伸びはなく、高齢者や現役世代の負担が増える格好となっている。歳入の約36%(新規国債発行額34兆3,698億円)を借金で賄う現状を考えると、これ以上の防衛費増大は認められないところだろう。

 この5年間を振り返ってみる。国民の反対を押し切った特定秘密保護法と安保法の制定は、集団的自衛権を行使するための土台作り。「経済最優先」と言いながら、首相が実際に力を入れてきたのは戦争への道普請なのである。民主主義や憲法を踏みにじり、国民の暮らしや子供たちの未来に影を落とす政治の現状。次の総選挙で、ハッキリと「NO」を突きつけたいところだが……。



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