10月に行われた衆議院福岡6区の補選で初当選した鳩山二郎氏の陣営が、後援会活動の支出を選挙運動費用として計上していたことが明らかとなった。
福岡県選挙管理委員会に提出された選挙運動費用収支報告書及び領収書から分かったもの。同陣営は、後援会事務所の賃貸費用や告示前に後援会が開いた集会の会場費などを、選挙運動にかかった費用として報告書に記載していた。修正がなければ、公職選挙法が禁じた事前運動を認めた形となる。
(写真は鳩山二郎衆院議員。同氏のFacebookより)
「後援会活動」の証明
下は、鳩山陣営が県選管に提出した選挙運動費用収支報告書の内、表紙と選挙事務所費関連の支出を記したページ。8月21日に本部事務所契約金などとして家賃1,831,600円を久留米市内の不動産業者に支払っていた。
この支出に該当する領主書が下。仲介料の他に、8月分の日割り家賃、9・10月の家賃が支払われていたのが分かる。
「はとやま二郎後援会」が後援会の事務所開きを行ったのは8月28日。以後、報告書に記載された「本部事務所」は、告示前日まで同団体の活動拠点となっていたことが確認されている。この期間の賃借料を選挙運動費用にカウントするのは不適切。領収書のあて名は「鳩山二郎」となっているが、事務所の使用実態が違っていたことは明らかだ。
次は、会場使用料。問題となるのは、収支報告書に示した赤いアンダーラインの3件の支出である。
支払日は、10月11日の告示日より後になっているが、支出の原因発生日は3件とも告示前。これらの支出に該当する領収書類を確認したところ、次の3枚だった。
領収書や使用証明に記された会場使用日は、うきは市文化会館(29,680円)が9月29日、ホテルマリターレ創世(53,697円)が10月4日、久留米シティプラザ(10,900円)は10月10日となっており、いずれも10月11日の告示日前。後援会活動だった可能性が濃厚だ。そこで鳩山二郎氏のFacebookを確認したところ、9月24日と10月10日の集会については、鳩山氏自身が後援会活動であることを証明する書き込みを行っていた。
告示前の「決起大会」は当然後援会活動。小池百合子都知事の来援を告知する看板には、主催が「はとやま二郎後援会」であることが明記されている。こうした集会が“選挙運動”なら、鳩山氏は堂々と公選法が禁じる事前運動を行っていたことになる。
取材拒否
鳩山陣営の出納責任者は、故・鳩山邦夫氏の秘書だった小澤洋介氏。現在は二郎氏の秘書だ。支出の実態について小澤氏に確認を求めるため、同氏が勤務する議員会館の鳩山事務所に取材の申入れを行ったが返信はなく、事実上の取材拒否となっている。
鳩山陣営の資金処理を巡っては、二郎氏が大川市長に当選した平成25年にもデタラメな収支報告を行っていたことが明らかになっている。二郎氏の資金管理団体「はとやま二郎後援会」は、同年の大川市長選の際に活発な「後援会活動」を展開。これに伴う収入、支出があったにもかかわらず、同年の政治資金収支報告書には収入・支出ともに「0」と記載し、県選管に虚偽の内容を報告していた。また、この時の市長選の総収入約500万円の内、100万円を「自由民主党福岡県第六選挙区支部」からの寄附としながら、同支部の政治資金収支報告書には該当する100万円の支出の記載はなかったことも分かっている。