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博多駅前陥没 土中の「産廃」放置は違法
地下鉄工事再開に「道路法」の壁

2016年12月19日 08:15

DSC04513.jpg 先月8日に博多駅前で起きた地下鉄七隈線延伸工事の陥没事故。スピード復旧を遂げた福岡市に称賛の声が上がっていたが、法の規定で、埋め戻し現場を掘り返し、埋まったままの信号機や配管などを取り除く必要があることが分かった。
 処理土で固められた土中にあるのは、多くの産業廃棄物。道路法は、本格的な埋め戻しの前に何もなかった状態に戻すよう規定しており、現状のままでは本格的な復旧に移れない可能性がある。
 拙速な埋め戻しに疑問符が付いたのは確か。延伸工事の再開にも、暗雲が漂う状況となっている。
(写真は仮復旧後の事故現場)

現状は「不法投棄」
 下は、陥没事故発生当日の写真。むき出しの配管や、がれきと化したコンクリートの塊などが見える。30メートル四方、深さ15メートルの巨大な穴の中にはこの他、信号機、投光器、発電機など様々なものが落ち込んでいる。

1-陥没.jpg

 福岡市が復旧に向けて動き出したのは事故の数時間後。陥没現場を「流動化処理土」で埋めることを決め、即日作業を開始していた。この後、1週間で埋め戻しを終え仮復旧。巨大な穴の中は濁水で満杯だったため、どこに何があるのか分からないまま、穴は処理土で埋められていた。信号機や配管、コンクリートがらといった“産業廃棄物”もろとも固められた状態。これは、廃棄物処理法が禁じる不法投棄である。スピード復旧に称賛の声が上がったが、現状はあくまでも「仮復旧の事故現場」であり、本格的な復旧は遠い先の話となる。他にも、法的な問題があるからだ。

道路法が求める「原状回復」
 道路の定義や管理について定めたのが「道路法」。同法40条は、『原状回復』について次のよう規定している。

 道路占用者は、道路の占用の期間が満了した場合又は道路の占用を廃止した場合においては、道路の占用をしている工作物、物件又は施設(以下これらを「占用物件」という。)を除却し、道路を原状に回復しなければならない。但し、原状に回復することが不適当な場合においては、この限りでない。
2 道路管理者は、道路占用者に対して、前項の規定による原状の回復又は原状に回復することが不適当な場合の措置について必要な指示をすることができる。

 陥没事故が起きた博多駅前の道路は「市道」で、法でいう「道路管理者」は福岡市だ。一方、道路の占有とは道路上や上空、地下に一定の施設を設置し継続して道路を使用すること。博多駅前の道路に、上下水道などの管路を道路の地下に埋設しているのは福岡市であり、道路占用者は、これも福岡市となる。

 下水道や水道は道路を占有している状態で、占有者が福岡市。下水管や水道管が壊れて、もはや管を通さないということであれば、占有を廃止したこととなる。法の規定では、それを取り除いて原状回復をしなければならない。同様に、信号機や投光器、ガス管など陥没現場に埋まっている産業廃棄物は、原則すべて取り除く必要がある。

市長は「復旧」を演出するが……
 仮復旧にあたって高島宗一郎市長は、流動化処理土を利用した埋め戻しを自賛し、「これまでの地盤の30倍の強度になった」と誇らしげに語った。誰もが道路の復旧は、「終わった」と思い込んでいることだろう。しかし、道路法の規定に従えば、現状はあくまでも仮復旧。廃棄物処理法と道路法に違反する状態だ。“30倍の強度”になった地面を掘り返し、埋まった産廃を取り除いて、穴の中を掃除しなければならない。本格的な復旧は、「原状回復」したのちとなる。

 高島市長は先月28月、復旧工事に従事した業者を市役所に呼んで、感謝状を贈るというパフォーマンスを行った。あたかも、復旧が終わったかのように見せかける演出だ。しかし、地下鉄工事の発注者は福岡市。市民に迷惑をかけた当事者が、事故の原因も特定できていない段階で、被害者面して感謝状の贈呈などおかしな話だろう。現状は、廃棄物処理法を無視した不法投棄。異物を土中に埋めたまま、その下にトンネルを掘るというのなら、道路法まで逸脱することになる。その場合、安全性は担保されない。

 道路法上の問題について、福岡市はどう考えているのか――。15日、市交通局の指示に従って質問書を送付したが、3日経っても回答はない。



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