先月23日に投開票された、鳩山邦夫元総務相の死去に伴う衆議院福岡6区補欠選挙。弔い合戦を掲げた邦夫氏の次男で前大川市長の鳩山二郎氏が圧勝したが、同氏陣営の動きは最初から最後までルール無視。“違法も厭わず”というでたらめな手法だった。
政治家として当然守るべきルールを無視する政治家が、本当の代表と言えるのか?
違法ポスター
下は、10月11日の告示から23日の投開票日近くまで、福岡6区内に貼られていた鳩山陣営のポスターだ。商店のシャッター、個人宅のフェンス、自民党の掲示板など数千か所に貼られていたと見られている。選挙期間中におけるこれらの掲示はすべて「違法」。公職選挙法が選挙期間中に認めている掲示物は選挙事務所の看板、ちょうちん、個人演説会場の看板、選挙カーの看板、そして選挙用ポスターだけだからだ。
鳩山陣営は選挙期間中、選管や警察から“警告”を受けていたはず。しかし、陣営に法律遵守の意思はなかったらしく、ほとんどのポスターはそのままとなっていた。投開票日を前に剥がされたものもあったが、いまだに貼られているポスターがある。違法掲示は明らかだが、そもそも自民党の掲示板に二郎氏のポスターを貼ること自体が問題だ。邦夫氏亡き後、自民党福岡県第六選挙区支部の支部長は空席。7月からは松山政司参院議員が代行を務めていた。選挙期間中、支部長ではない二郎氏陣営には党の掲示板を利用する権限がなかったのだ。明らかなルール違反。鳩山陣営が、国会の議席や党の掲示板を一族の持ち物だと思っている証左だろう。
違法事務所
違法と見られる選挙手法は、ポスターだけではない。選挙期間中、公選法が設置を認める選挙事務所は1か所のみ。鳩山陣営は、本拠地久留米に正式な選挙事務所を構えながら、大川市、小郡市、うきは市など4カ所に陣営の統一キャッチである「義の政治」を掲げた事務所を設け、来所者に選挙ビラを渡すなど事実上の選挙事務所として使用していたことが分かっている。公選法無視の脱法的手法だ。
反故にされた誓約書
極めつけのルール違反は、二郎氏の誓約破り。これまで報じてきた通り、鳩山氏は公認候補の選定段階で、右の誓約書に直筆で署名し、県連の候補者選考員会に『いかなる事情があろうとも、その決定に従うことを茲(ここ)に誓います』と約していた。
それが、選考で不利と見るや一転して県連批判。「県連の候補者選考委員会が公平・公正だったのかは、はなはだ疑問」として県連を悪者扱いし、無所属で立候補することを表明した。結果は大勝。駄々っ子の悪知恵とはいえ、大したしたものだ。騙された6区の有権者は気の毒と言うしかないが、県連の候補者選考過程に瑕疵はない。平気でルール違反を犯し、法律まで無視する政治家が、本当に国家・国民のために働くのか――。改めて、聞くまでもあるまい。