原発への慎重姿勢が票目当てのパフォーマンスだったことが明らかになりつつある三反園訓鹿児島県知事。公約違反に対する厳しい見方が広がる中、県の事務方に、選挙で掲げたマニフェストの内容を否定する指示を出していたことが分かった。
知事は、自身のマニフェストの中で「指宿スカイライン」の通行料無料化を約束していたが、就任後、県の担当部局にETC設置を急ぐよう指示していた。無料化の公約を放棄した形。相次ぐ公約違反への批判が高まりそうだ。
(写真は三反園知事。みたぞのさとし後援会ホームページより)
マニフェストでは「指宿スカイライン無料化」
指宿スカイラインは、全長50.9キロ。鹿児島市と指宿市を結ぶ有料道路だ。2016年度中に建設費の償還が終わる予定となっていたため通行料の無料化に期待が寄せられていたが、県は伊藤祐一郎前知事時代の昨年6月、2017年6月までとされていた料金徴収を2042年まで延長する方針であることを明らかにしていた。徴収期限の延長は、新たな工事に伴う償却財源確保が目的。鹿児島方面への乗り降りしかできない「ハーフIC」となっている山田ICのフルインター化と、山田料金所へのETC設置などを行う計画だった。県議会では賛否両論、県民からは通行料の無料化を望む声が上がっていた。
下は、三反園氏が後援会のホームページ上で公表したマニフェスト。6つの約束のうちの「産業・雇用」に、≪指宿スカイラインの無料化を実現します。≫と明記している。(抜粋と赤いアンダーラインはHUNTER編集部)
三反園氏は知事就任後、県議会で「時間をかけて実現する」と発言。前知事時代に決まった計画の扱いに注目が集まっていた。ところが今月15日、鹿児島建設新聞の報道で、県が山田ICフルインター化やETC設置に約36億円の予算を計上しており、このうちETC設置に16億円かける予定であることが判明。県議会や支持者の一部から「公約違反ではないか」との声が上がる事態となっている。
県土木部「知事の指示」認める
事業を所管する県土木部道路建設課は21日、HUNTERの取材に対し「報道の内容は事実」とした上で「渋滞緩和にもつながるため、知事から特にETC設置を急ぐように言われている」と明言。ETC設置が、知事の指示であることを認めている。土建屋優先だった伊藤県政時代の方針はそのまま。ETC設置という既成事実を作ることで「公約違反」との批判を抑え込もうとした格好だ。
7月の知事選で三反園氏を応援したある支持者は、次のように話している。
――原発停止も嘘。指宿スカイラインの無料化も嘘。三反園さんは、やる気もないことを並べ立てていたということだ。原発にしろ、スカイラインにしろ、訴えた内容と違うことをやっているのは事実。きちんと県民に説明するべきだろう。しかし、就任からわずか半年で、これほど県民を落胆させた知事は初めて。恥という言葉を知っているのか、聞いてみたい。