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福岡市、市長公費出張の問い合わせに回答拒否
情報公開請求を悪用した情報統制

2016年11月29日 10:00

市役所.jpg 福岡市が、公費を使った市長の出張の内容について、情報公開請求による確認にしか応じない方針であることが分かった。完結した出張であっても同じ扱いをするとしており、現在、記者クラブ加盟社の問い合わせにも応じていないという。
 市長の日程を管理する市秘書課によれば、高島宗一郎市長の出張内容に関する問い合わせに関しては、事後であっても出張先や用務を答えておらず、情報公開請求に対応する形でのみ内容を明らかにしているという。
 “公費出張の内容を聞きたければ、身銭を切れ”と言っているも同然。市は、市民はもちろん報道機関に対しても同じ対応で臨むとしており、事実上の情報統制に批判が高まりそうだ。(写真は福岡市役所)

公務出張の日程確認に回答拒否
 こうした市側の方針は、地下鉄七隈線延伸工事の事故現場が今月26日に沈下したことを受け、沈下当日の市長の日程を確認する過程で分かった。同日の市長の所在について問い合わせたHUNTERの記者に対し、市秘書課は当初「お答えできません」。食い下がる記者に「公務による出張」と逃げを打ったが、行く先を含む日程については頑なに回答を拒否していた。記者の抗議を受けて渋々出張先が香港だったことを明かしたが、用務については無回答。出張に関する問い合わせについては、情報公開請求による確認にしか応えない方針であると明言している。

 市民はもちろん、報道機関の問い合わせであっても「対応は同じ」としており、あくまでも情報公開請求による確認にしか応えない構え。次週の日程を事前配布していた元市長の例を挙げて抗議したが、最後まで出張の詳細を教えようとしなかった。情報公開制度を悪用した、事実上の情報統制である。

ちぐはぐ対応で開き直り
 ちぐはぐさが露呈したのは、HUNTERが市長の出張に関する情報公開請求を行った直後。夕方5時半の段階で市長の用務は教えられないとしていた秘書課だったが、3時から行われた市長会見で、高島市長自身が25日~26日にかけての出張内容を説明していたことが明らかに――。市長が、農林水産物のPRのため25日に香港に行き、路面沈下の連絡を受けて26日早朝の便で帰国したと説明していたことが分かった。再度秘書課に確認したところ、今度は「会見のことは知らなかった」。開き直る姿勢に、唖然とするしかなかった。

隠蔽市政
 これまで市は、公務以外の時間における市長の所在も非公表。『プライベートの時間に、市長がどちらにいらっしゃるかは把握しておりません』と答えるのが常態化している。プライベートだけでなく、税金を使った出張でも、訪問先や用務を教えないという歪んだ市政。「情報発信」を売り物にしてきた高島市長だが、「情報公開」には後ろ向きということだ。福岡市では、情報公開条例の恣意的な運用や意図的な文書隠蔽が当たり前となっている。



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