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鹿児島県知事に新たな政治資金疑惑
選挙収支、やっぱり虚偽

2016年11月 8日 09:40

58fc9a890feebf213488bb7ac7858b7c4ed5a482-thumb-240 xauto-18781.jpg 選挙助成金の不正請求が明らかになった三反園訓鹿児島県知事の陣営に、新たな疑惑が浮上した。
 三反園陣営の選挙運動費用収支報告書によれば、7月の知事選で残った現金は約2,700万円。集めた選挙資金の半分以上が知事の懐に入った形になっていたが、関係者の証言から、この選挙余剰金の記載自体が虚偽であることが分かった。
 背景にあるのは、三反園陣営が行ってきた政治資金の杜撰な管理。公職選挙法や政治資金規正法を無視した実態があったといい、知事の説明責任が問われる事態だ。

選挙カー助成金、返還へ
 先週報じた選挙助成金の詐取問題。三反園陣営は、選挙カーの運転業務に関する契約を結んだ男性が、実際には業務を行っていないことを知りながら契約者を変えることなく報酬分を満額請求。男性の口座に県費212,500円を振り込ませていた。取材を受けた知事側の反応は早く、記事配信の4日には「返還」に向けた動きが始まっていた。関係者の話によれば、今週中にも県選挙管理委員会に不正請求に至った顛末書を提出。選管の指示を待って返還するとしている。

選挙余剰金 ― 「あるはずがない」
 助成金詐取は、全額返還で一件落着となりそうだが、簡単に片付きそうもないのが選挙の余剰金問題。当初、2,729万4,685円だった余剰金の額は、HUNTERの報道を受けた三反園陣営が収支報告書の一部修正を行ったため、2,800万45円にまで膨らんでいる。巨額の余剰金は選挙後どう処理されたのか――取材を続けたところ、2,800万円という余剰金の額そのものが、実態とかけ離れたものであることが分かった。

 ある陣営関係者によれば、収入として記載されているのは全て総務省届出の「みたぞのさとし後援会 三訓会」から県選管届出の「みたぞのさとし後援会」に振り込まれた金額。最終的には三反園氏個人の通帳に振り込まれなければならないが、これを省いて「選挙運動費用」として報告書に記載したのだという。従って、実際のカネの流れ(口座の流れ)はこうなる。

1-流れ.png

 陣営の収支報告書では、「みたぞのさとし後援会」を省いて、いきなり三反園氏が三訓会から寄附を受けた形。しかし、寄附者は鹿児島の後援会であって、東京の三訓会ではない。寄附者を「みたぞのさとし後援会」とする必要があるはずだが、未修正。分かっていて放置している以上、意図的な虚偽報告と見るのが普通だろう。

 別の陣営関係者は、前出関係者の証言内容を認めた上で、次のように話している。
「2,800万円もの選挙の余剰金などあるはずがない。選挙前から投票日まで、(資金繰りは)いつも綱渡り。カネが無くなる度に、三反園さんに相談していた。すべての資金は、三訓会から(鹿児島の)みたぞの後援会に振り込まれたもの。この中から、後援会の活動費と選挙資金を出していた。ごたまぜになったのは、まともな会計帳簿がなかったから。ご指摘のように、選挙と後援会で別の帳簿にすればよかったが、選挙運動と後援会活動の区別がつかず、とりあえず入出金の記録を残す程度しかできなかった。選挙運動費用収支報告書には、出納責任者が目を通した上で判子を捺しており、間違いはないと思っていた」

 選挙資金と後援会の活動資金、それぞれの正確な金額は判然としないが、選挙余剰金が「ほとんど残っていなかった」という証言が正しければ、2,800万円は後援会活動に費消されたもの。知事陣営の選挙資金報告は、全体が虚偽だったということになる。

 複数の陣営関係者によって明かされた政治資金の動き。次々と浮上する違法な資金処理。杜撰というよりデタラメと言った方が良さそうな状況だが、一連の支出を可能としたのは約5,000万円のカネ。次稿では、三反園陣営の収入について検証する。



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