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公選法無視 でたらめ選挙収支報告の実態
背信・三反園鹿児島県知事の「政治とカネ」(4)

2016年10月20日 10:20

1-ちじ.png ジャーナリスト出身で清潔さが売りの三反園訓鹿児島県知事。だが、7月の知事選挙後に陣営が鹿児島県選挙管理委員会に提出した選挙運動費用収支報告書は、選挙運動とは区別すべき「後援会活動」の費用が計上されたものだった。
 報告書の精査を進めるほどに増える後援会活動の支出。信頼性ゼロ、虚偽記載の疑いさえある収支報告が作成された経緯を取材していくと、「政治とカネ」の問題を軽く見ている陣営幹部や知事の姿が浮き彫りとなる。
(写真は三反園知事。みたぞのさとし後援会ホームページより)

虚偽報告の可能性も
 下は、三反園陣営が鹿児島県選挙管理委員会に提出した選挙運動費用収支報告書。『支出の部』の1ページ目には、チラシのポスティング代や選挙事務所設置届が提出されていない「後援会事務所」の費用が記載されていた。領収書などの支出を証明する書類からは、赤い囲み中の支出以外がすべて後援会活動の費用だったことが明らかになっている。では、赤い囲みの中の支出は、正当な選挙活動の支出と言えるのか――。答えは「NO」である。

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 県選管に設置届が出された三反園陣営の選挙事務所は、鹿児島市と指宿市の2カ所。報告書にある市内城南町の事務所は、たしかに選挙事務所として使用されていたことが分かっている。しかし、事務所家賃の支払い日をよく見ると「4月11日」。告示(6月23日)の2か月以上前だ。“選挙事務所所の準備を早めに始めた”という言い訳が聞こえてきそうだが、それは通らない。選挙前、三反園陣営を取材したHUNTERの記者が、問題の事務所で「後援会活動」が行われていたことを確認しているからだ。

 選挙運動費用収支報告書に記載される事務所の「家賃」は、選挙期間中だけの支出に絞って記載するのが一般的だ。各陣営は、告示前日まで後援会活動を行うのが当たり前で、選挙期間中だけ候補者が後援会から事務所を「借りた」形をとるケースが多い。現金を支払う場合もあるが、「無償借り上げ」として、選挙期間中の日割り分を支出と収入(後援会から候補者への寄附)の両方に記載して相殺するやり方がほとんど。4か月分の家賃を選挙事務所費とした三反園陣営の記載は、異例中の異例と言える。ただ、前述したように選挙期間中以外の城南事務所は後援会活動の拠点。報告書の記載内容と実態は、まるで違っていた。こうして見ていくと、三反園陣営の報告書中、告示前の支払いを示す「立候補準備」として記載された支出の多くが、実際には「後援会活動」にかかる費用だったことが分かる。報告書を精査したところ、「立候補準備」として処理された「後援会活動」の支出は50件超。大幅修正が必要な状況だ。

 それでは、なぜこうしたデタラメな選挙収支報告になったのか――。じつは、答えが出ている。三反園陣営が、1冊の帳簿で資金を管理していたからだ。公職選挙法は、選挙に関する収支のすべてを会計帳簿に記載し、その帳簿を3年間保存するよう義務付けている。一方、政治資金規正法は、政治団体のすべての収支を記載した会計帳簿の作成と5年間保存を義務付けている。当然、選挙活動と後援会活動の会計は別。会計帳簿は2種類なければならない。しかし、三反園陣営にはそれぞれの法律に規定された帳簿がなく、「1冊」の帳簿で資金管理を行っていたことが、複数の後援会関係者の証言から明らかとなっている。もちろん違法。公選法違反が疑われる事態であることは言うまでもない。

 帳簿が不備だったというなら、不可解な選挙資金の流れに説明がつく。報じてきた通り、三反園陣営の選挙資金は約5,000万円。選挙収支報告は3回に分けて提出されたが、途中、2,900万円以上の残金があったにもかかわらず、350万円を追加補充していた。どう見ても不要な350万円だったが、実際にはその時点で現金が不足していた可能性が高い。足りないからこそ、追加の寄附が必要だったのだ。後援会関係者が口を揃えて証言した「カネはなかった」「(三反園氏が)資金繰りに頭を悩ませていた」という話も事実だろう。後援会活動と選挙運動の収支が、ごたまぜになったあげくの虚偽報告。知事や出納責任者の責任は重い。

出納責任者の「嘘」
 選挙の収支報告は虚偽。法で義務付けられた帳簿も不備。ジャーナリスト出身の政治家がやることとは思えないが、それ以上に酷いと感じたのは三反園陣営の幹部が平気で嘘をつくことだ。下は選挙運動費用収支報告書『収入の部』の記載だが、8月10日に3カ所の訂正が行わている。報告書提出時点では、「みたぞのさとし君を励ます会」が3件計713万円の寄附をしたことになっていたが、そのすべてを「みたぞのさとし後援会 三訓会」からの寄附に訂正していた。

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 訂正の理由は、「みたぞのさとし君を励ます会」という団体の不存在。選管で訂正を行ったのは、陣営の出納責任者だった。この件について確認を求めたHUNTERの記者に対し、電話取材に応じた出納責任者は「私が選管で訂正した」と明言。選挙、後援会それぞれの会計帳簿については「もちろん、ありますよ」と答えていた。前述した通り、後援会関係者の証言から「帳簿がある」は真っ赤な嘘。後出しで作成する可能性が否定できないが、正確に収入・支出のすべてが記載される保証はない。なぜなら、三反園陣営には表に出せない支出があるからだ。この点については、次に予定するシリーズで詳細を明らかにする。

 新人知事に噴き出した「政治とカネ」の問題。昨年まで「ジャーナリスト」だった三反園氏は、テレビ番組のコメンテーター時代、政治家の「説明責任」について、何度も言及していたはずだ。その三反園氏が、選挙運動費用収支に関するHUNTERの取材にはダンマリ。後援会事務所側からの連絡もない。

(つづく)



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