三反園訓鹿児島県知事の陣営が鹿児島県選挙管理委員会に提出した「選挙費用収支報告書」の中に、後援会活動の支出が多数含まれていることが明らかとなった。
選挙運動費用として計上された後援会活動費は、チラシのポスティング代や後援会事務所の設置にかかった費用など少なくとも50件以上。会計処理上の区別がついておらず、杜撰な資金処理が常態化していたと見られている。
県選管も報告書の中に不適切な支出が存在することを認めており、陣営側が修正しなければ、公職選挙法が禁じる「事前運動」が行われたことになる。
選挙収支報告に“後援会活動”の支出がズラリ
選挙運動と後援会活動は区別されており、前者は公職選挙法、後者は政治資金規正法によって収支や活動が制限される。選挙期間中の後援会活動が禁じられる一方、告示または公示以前の選挙運動はできない。選挙にかかった費用は、告示または公示を境に、これ以前の支出を「立候補準備」、これ以後の支出を「選挙運動」として選挙運動費用収支報告書に記載し、当該選挙事務を管理する選管に提出するよう義務付けられている。
下は、三反園陣営が鹿児島県選管に提出した選挙運動費用収支報告書(赤いアンダーラインはHUNTER)。『支出の部』の冒頭に、DMなどの宅配を行っている業者に「ポスティング業務」の対価として669,988円を支払ったことが記されている。
この支出に該当する支出証明が下。業者の請求書に記されたチラシの配布日は「6月16日~6月17日」。20万6,784枚を1枚3円の単価で配布していたことが分かる。知事選の告示は6月23日だったことから、この支出が後援会活動に関するものであったことは明らかだ。
2例目は≪選挙事務所費≫。上掲の報告書には「霧島事務所家賃」、「鹿屋事務所駐車場代」(2件)、「鹿屋事務所駐車場代仲介料」、「川内事務所家賃」と並ぶ。公選法の規定では、選挙期間中の選挙事務所は1カ所。選管への設置届が必要で、知事選など交通困難等の状況のある区域を含む選挙では複数設置が認められている。念のため鹿児島県選管に確認したところ、三反園陣営が設置届を提出した選挙事務所は鹿児島市内と指宿市の2カ所のみ。霧島事務所、鹿屋事務所、川内事務所の3カ所は選挙事務所ではなく、従ってこれらの事務所の設置にかかる費用は「選挙運動費用」としては認められない。
霧島、川内(薩摩川内)などの事務所が、後援会活動用だったことは支出証明の書類からも確認できる。下は霧島事務所の「建物賃貸借契約書」だが、契約上の借主は三反園候補者本人ではなく「みたぞのさとし後援会」となっている。
次は≪集会会場費≫。報告書には、2件の「会場使用料」が計上されており(下が報告書の記載)、2件の会場使用料に該当する支出証明がその下の2枚だ。会場使用は6月18日と19日。いずれも告示前。陣営関係者の証言から、後援会の集会が行われていたことが分かっている。
支出を証明する書類などから、一連の支出が後援会活動にかかるものだったことは明白。これらを選挙運動だと言うなら、三反園陣営は組織的に公選法が禁じた「事前運動」を行っていたことになる。
鹿児島県選管に違法性の確認を求めたところ、前記の支出について「選挙運動費用としては認められない」と明言。選管として内容を検証し、三反園陣営の出納責任者を呼んで説明を求めるとしている。たしかに、“検証”が必要。なぜなら、三反園陣営の選挙運動費用収支報告書には、他にも多数の後援会活動の費用が含まれているからだ。
(つづく)