7月に行われた鹿児島県知事選挙で、2,700万円もの選挙余剰金を懐に入れた形となっている三反園訓知事。資金的には余裕十分のはずだが、地元鹿児島と東京で、矢継ぎ早の政治資金パーティーが計画されている。後援会関係者の話によれば、陣営の資金難は深刻だったという。
本当に余剰金が残っているのか――三反園陣営が鹿児島県選挙管理委員会に提出した「選挙運動費用収支報告書」及び領収書の精査を進めたところ、報告書の虚偽が疑われる状況となった。
巨額余剰金への疑問
三反園氏が資金不足を嘆いていたという話は多くの後援会関係者が証言しており、事実、選挙で走り回った支援者の大半が手弁当だったという。――「2,700万円もの選挙資金が余ったなんて、信じられない。実態と違う。カネはなかったはず。その証拠に、選挙が終わったとたん資金パーティーの話が出ていた。余剰金は何かの間違いではないか」――ある三反園事務所関係者はそう話す。実際、三反園事務所側は地元鹿児島と東京で政治資金パーティーの開催を予定しており、カネ集めを急いでいるのは確かだ。ただし、鹿児島でのカネ集めは後援会のゴタゴタが影響して、ただの“人集め”に終わることが確実となっている。
知事側事務所が後援会潰し
先週15日に開かれた後援会関係者の「感謝の集い」(下の写真)。知事選を戦った主力部隊が健闘を讃え合おうと計画したものだったが、感謝の言葉を述べる立場の知事は公務を理由に不参加。主役抜きの会合となった。冒頭、挨拶に立った後援会長は「私の役目は終了いたしました」として事実上の退任を宣言し、乾杯の音頭を取った後援会関係者が、知事不在の会合に苦言を呈する一幕もあった。報じてきた通り、三反園側近で政治資金や選挙の一切を取り仕切る元議員秘書と後援会関係者の間に生じている不和は深刻。このため、後援会は事実上の分裂状態となっている。
「元議員秘書のロボット」(鹿児島市在住の女性後援会員)と言われる知事は、事前情報通り欠席。そればかりか、三反園氏の事務所側が15日の会合を潰すため「15日の会合は延期になった」「日程が変更になった」などとして関係者への電話作戦を展開し、来月5日の『みたぞのさとし新知事を囲む会』の案内を行っていたことが明らかになっている。囲む会の会場は「感謝の集い」と同じホテル。知事の事務所による、露骨な後援会潰しだった。
無理な作り話を流布させたせいで、囲む会の目的は“カネ集め”から“人集め”に変わっている。その証拠が下。案内状にある「会費」の箇所を見ると、『男性10,000円』と『女性』という文字が黒い判で消され、計画当初女性の会費とされた5,000円の金額だけが残されている。
15日に開かれた「感謝の集い」も会費は5,000円。カネ集めの目的を変えてまで、「変更」「延期」に真実味を持たせたかったということだ。ドタバタ劇を象徴するかのように、封筒にも案内状にもパーティー券にも主催団体の名称が記されていない。三反園氏の関連政治団体は、資金管理団体「みたそのさとし後援会 三訓会」と「みたぞのさとし後援会」だが、印刷物には「事務局」と書かれているだけで、どちらの政治団体が開催するのか判然としない。主催団体をぼかしたカネ集め。お粗末と言うしかない。
余剰金2,700万円に虚偽報告の疑い
三反園陣営の政治資金が枯渇しているのは事実のようだが、そうなると2,700万円に上る選挙余剰金の行方が不透明。昨日報じたように、選挙資金全体の流れは明らかとなったが、一連の収支には不可解な点が多い。ここで、3回に分けて県選管に報告された選挙運動費用の期間ごとの収入、支出、残額を表にまとめた。
選挙運動費用収支報告書に記載のある全期間を通じ、公費助成分を引いた総支出は2,233万5,315円。この金額なら、4月11日から7月21日までに得ていた4,600万円の収入があれが十分に支払い可能だ。しかし3回目の報告書には、なぜか8月22日に「みたぞのさとし後援会 三訓会」から350万円の寄附を受けたとの記載がある(下が報告書にある350万円の寄附の記載)。
2回目の報告となった7月21日の時点での残金は2,900万円以上。3回目の報告書に出てくるポスター貼り費用540万円と電話代の約15万円を支払っても、2,400万円ほどの現金が残っていた計算だ。どう見てもこの350万円の寄附は不要。実際には、数千万円単位の余剰金などなかったのではないかとの疑念さえ生じる。記載が虚偽なら公選法違反。報告書の記載と領収書を突き合わせ、支出の詳細を確認することにした。すると……。
(つづく)