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鹿児島市議会は「出来レース」 本会議前にシナリオ

2016年10月14日 10:00

DSC04305.jpg 全国の地方議会で政務活動費の不正受給が発覚する中、本会議の前に質疑応答のシナリオともとれる文書のやり取りを行っている議会があることが分かった。  
 市側との“出来レース”を演じているのは、南国鹿児島の県都・鹿児島市の議会。同市では、本会議の前に議員と市側が文書で質問と答えのやり取りを行い、本番でほぼ文書通りの質疑応答を行うことが常態化している。
 ガチンコ勝負とは程遠い茶番劇。真剣勝負を信じてきた市民から、怒りの声が上がりそうだ。(写真は鹿児島市役所)

議会の意義
 議会の役割は行政のチエック。議員は、地域行政の様々な課題について行政側の方針や政策決定過程を検証し、議会での質疑を通して住民生活の向上や地域の発展を図るのが責務だ。行政側と議員との間に、一定の緊張関係が求められるのは言うまでもない。とりわけ市民の傍聴が容易な本会議は真剣勝負の場。質問に立つ議員と行政側が慣れ合い、事前にシナリオを作るようなマネは許されまい。住民の多くは、本会議のガチンコ勝負を信じているはずだ。

 議員が本会議で質問に立つ場合、行政側の正確な答弁を求めるため、「質問通告」という形で会議の前に問い質す内容を示すのが普通。これは国会も同じだ。答弁する行政側は、事前に要求された資料を議員側に提供したり、一定程度の説明を行う。しかし、多くの場合が事前のやりとりはここまで。それ以上のやり取りを行ってしまえば、議会での質疑応答が形式だけのものになってしまうからだ。ところが、鹿児島市は違っている。

シナリオ通りの鹿児島市議会
 鹿児島市では、議員側の質問通告を受けた市の担当部局が答弁内容を詳しく記した文書を作成。これを議員側に渡して説明し、2問目、3問目の質問に対しても同様に対応しているという。HUNTERが確認した問題の文書は、一つの質問につき1枚。A4版用紙の上部に議員側の質問、下部に答弁が記されている。

 議事録等を確認したところ、議員が行政側に通告した質問事項の前後に現状認識や趣旨などを加え体裁が整えられているが、やり取り文書とほぼ同じ内容の質疑応答が繰り広げられていた。鹿児島市民が見てきた市議会本会議は、シナリオ通りの茶番劇。議会の形骸化は、深刻な状況だ。

シナリオ文書の開示を拒否
 出来レースの実態を精査するため、質問通告に対する市側の答弁内容を記した文書の情報公開を求めたところ、返送されてきたのが下の決定書。当該文書は「不開示」となっている。

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 不開示決定書の中で鹿児島市は、≪当該公文書には、作成時点における本会議での質問に対する具体的な内容及びこれ対する答弁案が記載されている≫として、やり取り文書の存在をあっさり認定。決定理由については、開示することで≪議員との率直な意見の交換≫や≪答弁案に係る事業遂行や円滑な議会質疑に向けた調整≫ができなくなるとしている。

 市側の言う「円滑な議会質疑」とは、何事もなく市側の提案が通るシャンシャン議会のこと。市議とのガチンコ勝負で、市民に知られたくない不都合な事実が明るみ出ることを恐れている証拠だ。この場合、「議員との率直な意見の交換」が裏舞台での調整であることは言うまでもない。

 鹿児島市議会ではこれまで、事前通告にない質問があっただけで議会がストップしたこともあり、議論を封じ込める風土が当たり前のようになっているという。腐った市政に腐った議会――鹿児島市民は、身近な政治の実情をしっかりと見つめ直す必要がありそうだ。 



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