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消える血税40兆円 安倍首相がばら撒く“対外支援”

2016年10月 6日 09:00

000065395-thumb-210x188-12539.jpg 第2次安倍政権が発足した2012年(平成24年)12月から今年9月までの3年9カ月で、首相が外遊先などで表明した対外支援の額が確定分だけで約33兆円に上っていることが分かった。確認できた外遊の回数は50回。このうち26回の外遊で、ODAや円借款などの対外支援を約束していた。未確定分を合わせると、支援額は40兆円を超える可能性もある。
 2016年度の一般会計予算(歳出)は96.7兆円。アベノミクスが行き詰まる中、安倍首相によって、国内年間予算の4割以上がばら撒かれる計算となる。

確定分だけで約33兆円の対外支援
 下は、安倍首相の外遊時期、訪問先、支援内容、円換算した支援額をまとめた表だ。

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 外遊は50回。ODAや円借款を中心に、26回の外遊で対外支援を約束していた。支援額は、複数年にわたるものも含めて12兆7,327億円に上る。首相はこれとは別に、5月の伊勢志摩サミット直前、途上国や低迷する世界経済向けに20兆円を超える規模のインフラ整備事業や難民支援策を行っていくことを表明しており、対外支援額は約33兆円に膨れ上がる。また、金額は確定していないが、上掲の表中に赤字で示したアジア向けのインフラ資金13兆円をアジア開発銀行とともに供給することを明言しており、最終的な対外支援額は40兆円を超える可能性がある。

国家予算の4割が消える
対外支援の大きさは、日本の国家予算と比べても歴然だ。2014年度から16年度までの一般会計予算、税収、国債発行額は次の通り。40兆円といえば、年間歳出額の約4割。年間の国債発行額より大きな額を、国外にばら撒く計算となる。

【2016年】一般会計歳出額96.7兆円 税収57.6兆円 国債発行額34.4兆円
【2015年】一般会計歳出額99.7兆円 税収56.4兆円 国債発行額36.4兆円
【2014年】一般会計歳出額98.8兆円 税収54.0兆円 国債発行額38.5兆円

 安倍政権の発足から、もうじき4年。経済政策“アベノミクス”によって恩恵を受けてきたのは一部の大企業と株式投資家だけだ。この間、消費税は5%から8%にアップし、庶民の暮らしを圧迫してきた。消費税1%で2兆円――年間6兆円とみて26~28年度の3年間でおよそ18兆円の増収となっているが、これをはるかに超える額を首相の対外的な顔作りに費消する格好となっている。国内では保育を含む子育て支援や高齢者対策といった福祉関連予算の財源が不足し、待機児童や特老の入所待ちが増える一方。これでは、何のための増税だったのかさっぱり分からない。足もとを固めることさえできない政権が、せっせと国外に血税を運んでいる構図。集団的自衛権の行使容認や安保法で米国にへつらう首相にとっては、「海外での評価」の方が大事なのかもしれない。

 対外支援をめぐっては昨年1月、中東を訪問した安倍首相が「ISIL(イスラム国)と闘う周辺各国へ2億ドル(194億円」と発言。結果としてこの時の首相の言動が、人質となっていた邦人2人の命を縮める形となった。国会で2億ドル発言を追及された首相は「諸外国からは評価されている」と開き直り。“国民の生命・財産より外国からの評価の方が重要だ”という姿勢を鮮明にしている。



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