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政治を食い物 舛添東京都知事“家賃ビジネス”の実態

2016年5月11日 09:15

舛添知事自宅 高額な海外出張経費や別荘への公用車使用で批判を浴びる舛添要一東京都知事。自分のカネで贅沢三昧なら誰からも文句は出まいが、同氏は公人。動くたびに税金が費消される現実が、まったく理解できていない。
 舛添氏を狂わせた原因は、公私の区別がつかない本人の性格。都知事になる以前から、政党支部や関連政治団体を使った家賃ビジネスを継続しており、平成23年から26年までの4年間だけで、妻や自身が取締役を務める会社に年間531万円、総額で2,124万円もの収入をもたらしていたことが分かった。
 同様手口の家賃ビジネスは、舛添氏が参院議員になった平成13年頃から続いていたと見られ、会社が得た家賃収入は7,000万円を超える可能性がある。
(右は、夫人が代表を務める会社と資金管理団体が同居する知事の自宅)

自宅内の会社に政治団体の家賃
 HUNTERは平成26年、その年2月の東京都知事選挙で初当選を果たした舛添氏の関連政治団体が、同氏の妻が代表で舛添氏も取締役を務める「株式会社舛添政治経済研究所」に月額44万2,500円もの家賃を払い続けていることを報じた。会社も政治団体も住所は同じで、知事の自宅内。土地・建物は舛添氏の名義になっているうえ、支出原資の大半は「税金」。不適切なカネの動きであることは明らかだった。

 家賃を支払っていたのは、舛添氏の資金管理団体「グローバルネットワーク研究会」と「新党改革比例区第四支部」。知事側が総務省に提出した政治資金収支報告書によれば、平成24年1月から12月まで「グローバルネットワーク研究会」が月額161,000円を、「新党改革比例区第四支部」が281,500円を「株式会社舛添政治経済研究所」に支払っていた。

 舛添政治経済研究所は、平成元年設立。登記簿の目的欄には、政治、経済に関する講演会の企画・主催からコンサル業務、テレビ・ラジオ番組制 作、不動産売買・賃貸及び管理、洋服等のデザイン・販売、作詞・作曲のプランニングといった多種多様な業務の記載がある。役員は知事と夫人の雅美氏だけで、代表取締役は雅美氏が務めている。

 改めて両団体のその後の政治資金の動きを確認したところ、平成25年1月から26年1月まで、それまでと同様の家賃支出を続けていたことが判明。両団体の主たる収入は「政党交付金」によって支えられており、税金が知事側の会社に利益をもたらした形となっている。

 舛添氏の都知事就任に伴い、26年1月に新党改革比例区第四支部が解散。グローバルネットワーク研究会も同年7月に解散し、両団体の保有資金は新たに設立された資金管理団体「泰山会」に寄付されている。

厳守される月額44万2,500円 家賃総額4年で2,000万円超
 不可解なのは、関連政治団体の数が一つに減ったというのに、舛添政治経済研究所に支払われる44万2,500円という額だけは厳守されていること。下は、グローバルネットワーク研究会の解散時(平成26年7月)の収支報告書だが、新党改革比例区第四支部が解散した1月まで161,000円だった家賃が、翌月分から442,500円に跳ね上がっていた。

グローバルネットワーク研究会2.jpg 新党改革比例区第四支部が支払っていた281,500円を、グローバルネットワーク研究会が肩代わりした格好。この金額は絶対に譲れないらしく、資金管理団体が泰山会と名を変えた後も、同団体から舛添氏の会社側に44万2,500円の家賃が支払われ続けている(下が泰山会の収支報告書)。

泰山会.jpg

 同じようなことは平成23年にも起きていた。同年7月、グローバルネットワーク研究会の家賃支出と新党改革比例区第四支部の家賃支出が、それぞれ59,500円と71,500円増加。合計131,000円の増加分は、その年6月まで存続していた「舛添要一後援会」の支払い分だったことが分かっている。同居する政治団体が減っても、会社の家賃収入は一定。こうした手法で政治団体から舛添氏側の会社に支払われてきた家賃は年間531万円平成23年から26年までの4年間だけで2,124万円に上る

税金利用の家賃ビジネス、平成13年の参院初当選から
 政党交付金を会社の家賃収入にあてる手法は、知事が自民党の参議院議員だった時代から続いていたことも明らかとなっている。かつて舛添知事が代表を務めていた政党支部は二つ。平成13年から自民党を離党した22年3月までが「自由民主党東京都参議院比例区第二十八支部」、同年4月に「新党改革」の党首になってからが前出の「新党改革比例区第四支部」だ。

 平成20年と21年の政党交付金使途等報告書で確認した自民支部の家賃支出は月額210,000万円、1年間で252万円が舛添政治経済研究所に支払われていた。知事が自民党を離党したのは平成22年3月で、この月までは自民支部が家賃を支払い、同年4月からは新党改革の支部が同額を払っていた。これに加えて政治団体の家賃支出。平成13年の参院議員初当選時から同様の手口を用いていたとすれば、7,000万円を超える政治資金が知事の会社の収入に化けた可能性もある。

 自宅に事務所を構える政治家は少なくないが、自身の政治団体が家賃を支払っているのは不動産の所有権がない舛添氏の会社。舛添氏側は「契約に従っているだけ」(前回取材時の事務所側回答)としているが、政治資金を使った家賃ビジネスであることは確かだ。



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