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僭越ながら:論

民進党の正体
民意無視 ― 新代表に「辺野古移設堅持」の蓮舫氏

2016年9月20日 10:30

 この政党に何かを期待しても無駄だということが、よく分かった。
 岡田克也氏に代わる党の顔として蓮舫氏を選んだ民進党。臨時党大会に至る過程で見えてきたのは、党名を変えても本質が従来のままである同党の姿だった。
 呆れたのは、「民意」を軽んじる蓮舫氏と同党の姿勢。「辺野古移設の方針を堅持すべき」と明言した彼女を代表にしたことで、民進党全体が「民意無視」に同意を与えた形になっている。
 
人材難
 与党も野党も人材難。自民党の中は安倍晋三という希代の戦争好きに代わる人材が見当たらず、当分“一強”が続きそうな状況だ。二階俊博幹事長や菅義偉官房長官では、選挙の顔として不適格。閣内から去った石破茂氏にしても、安倍を総理・総裁の座から引きずり降ろすだけの腕力はない。強いて対抗馬を探すなら小泉進次郎氏ということになりそうだが、いかんせん当選3回。閣僚経験もない彼では、党内がまとまらない。だが、“期待の星”がいるだけまし。野党には、新次郎氏のような輝きを持った議員は一人もいない。野党第一党の民進党は自民党よりお寒い状況。今回の代表選に登場したのが、口だけ達者な軽い政治家ばかりだったことでも分かるというものだ。

相変わらず幼稚 
 まず、「言うだけ番長」の異名を持つ前原誠司元民主党代表。しきりに民主党政権時代の3年半を反省していたが、民主党の何がいけなかったのかについては具体例の提示なし。反省のポーズだけなら猿でもできるというのに、最後まできちんとした総括ができなかった。

 反省を繰り返す前原氏の横で、「謝ってほしくない」と泣き出したのが玉木雄一郎前国体副委員長。候補者討論会という内輪の会合で、お涙頂戴の茶番劇を演じるという幼稚さだ。民主党が国民からそっぽを向かれた原因の一つが、政権運営の稚拙さにあったことを、分かっていない証拠だろう。

 民主党が犯した最大の失敗は、最終的に霞が関の言いなりになったこと。消費増税や原発再稼働という路線を敷いたのは、他ならぬ旧民主党政権なのである。政権交代への期待が膨らんでいただけに、裏切った同党に対する有権者の怒りはその何倍もの大きさになった。高校の授業料無償化や農家の所得を増やすなど評価に値する政策を実現させたのは事実。だが、そうした功績が吹っ飛んでしまうほど、同党の政権運営は稚拙だった。
≪増税や原発再稼働を認めたことは、間違いだった≫――こう言えないまま、繰り返される「総括」や「反省」に説得力はない。もっとも、幹事長に就任したのが国民を裏切って霞が関と手を結んだ野田佳彦元首相であるところを見れば、民進党にはもともと反省する気持ちなどないのかもしれない。

 民進党の弱さは、労組への依存体質から脱しきれないこと。自民党は地方議員の後援会組織を通じて地域社会に根を張っているが、民進党にはそれができない。口では「国民のため」と言いながら、じつは労組の顔色ばかりをうかがう同党の議員たち。特に原発に関して口が重いのは、電力総連や電機連合の圧力にモノが言えないからだ。結局、民主党時代と何も変わっていない。

 さて、圧勝した蓮舫氏だが、前原・玉木両氏と五十歩百歩。政治家としては未熟で、見栄えの良さと舌鋒の鋭さが買われ、代表に担がれたに過ぎない。政治家の饒舌にはリスクが伴うもの。外国特派員協会での記者会見では、岡田前代表を「本当につまらない男」と評したことで物議を醸して謝罪。二重国籍問題では「問題ない」と断言しておきながら、その後の発言が二転三転し、結局は台湾国籍を有していることが判明して再び謝罪に追い込まれた。「17歳の時の曖昧な記憶だった」と言い逃れたが、臨時党大会における最後の演説では、日本国籍を選択した「17歳」の折の父親との思い出を詳細に語っており、「曖昧な記憶だった」という話との整合性を欠く始末。芝居がかった物言いに騙される人もいるようだが、この人の発言には「心」がない。

容認できない「民意無視」の姿勢 
 絶対に容認できないのは、代表選の最中に蓮舫氏が示した「民意無視」の姿勢だ。さいたま市内で開かれた公開討論会で、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への移設計画について訊かれた代表候補たち。見直しの必要性に言及した前原氏と玉木氏に対し、蓮舫氏は「辺野古移設は堅持すべき」との主張を展開した。沖縄県民より米国との約束の方が大事だという理屈。安倍政権同様、沖縄の民意を踏みにじるというのだから呆れてものが言えない。

 2014年1月の名護市長選以来、同市議選、沖縄県知事選、衆院選、参院選と辺野古移設が争点になった選挙は、すべて移設反対派=オール沖縄が勝利。沖縄の民意が「移設反対」であることは明らかだが、安倍政権はこれを無視して移設工事を進めてきた。政権と同じ考えを持つ蓮舫氏と、蓮舫氏を代表に選んだ民進党は、民意を軽んずる政治家の集まりということ。これでは、安倍政権を批判する資格などあるまい。民意より米国、民意より労組――こんな政党に、期待を持てという方が無理だろう。



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