自身の資金管理団体「武田良太政経研究会」が、平成25年に開いた政治資金パーティーで故鳩山邦夫元総務相側から受け取った120万円を同年の政治資金収支報告書に記載していないことが分かった武田良太前防衛副大臣(自民・福岡11区)に、新たな政治とカネの問題が噴き出した。
武田氏が平成26年の総選挙で福岡県選挙管理委員会に提出した選挙運動費用収支報告書によれば、主な収入の原資となったのは「自由民主党福岡県第十一選挙区支部」からの寄附1,000万円。しかし、同支部の25年分政治資金収支報告書に記載された武田氏への寄附額は500万円で、支出側と収入側の報告内容が合致していない。寄附の日付も違っており、つごう1,500万円もの不透明なカネが動いた形。公職選挙法と政治資金規正法は、ともに報告書への不記載や虚偽記載を禁じており、武田氏側の2種類の報告書は両法の規定に抵触する可能性が高い。(写真は武田良太衆院議員。自民党HPより)
選挙資金めぐって不明朗なカネの動き
下は、平成26年の総選挙後に武田陣営が県選管に提出した「選挙運動費用収支報告書」の表紙と収入のページ。選挙資金に充てられた原資の大半は、武田氏が支部長を務める「自由民主党福岡県第十一選挙区支部」からの寄附1,000万円だ。寄附を受けた日付は「11月26日」となっている。
一方、1,000万円の支出をしたはずの自由民主党福岡県第十一選挙区支部の26年分政治資金収支報告書(下参照)には、武田氏への寄附として下の500万円しか記載されていない。しかも日付は「12月9日」。選挙運動費用収支報告書の1,000万円(11月26日)とは2週間ものズレがある。念のため選挙区支部が武田氏に500万円を寄附した証拠書類を確認したが、確かに武田氏発行の領収書(12月9日付)が添付されていた(報告書の下が領収書の写し)。
選挙費用と政治資金の動きを記した二つの報告書の記載内容が正しければ、武田氏が選挙資金として使ったとしている1,000万円と選挙区支部が武田氏に支出した500万円は、まったく別のカネ。武田氏が受け取った1,000万円の出所は不明ということになる。また、武田氏へ渡った形になっている支部が支出した500万円は、選挙運動費用に充当されず“武田氏個人の懐”に入った格好となっている。
行く先や使途が不明朗となっているカネの総額は1,500万円。昨日報じた鳩山マネーの隠蔽と合わせ、武田氏側のでたらめな政治資金処理の実態が浮き彫りとなった。
公選法・政規法に抵触する疑い
選挙運動費用収支報告書は公職選挙法の規定に基づいて作成されるもの。一方、政治資金週収支報告書は政治資金規正法が作成・報告を義務付けたものだ。いずれの報告書もすべての収入と支出を正確に報告するよう義務付けており、現状では、武田氏側提出の2種類の報告書が不記載や虚偽記載に問われる可能性がある。
武田陣営の出納責任者と会計責任者は同一人物。武田氏の地元秘書が兼任している。事実関係の確認を求めたが、「調べてみないと分からない」(同秘書)としている。