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鳩山二郎陣営 悪質・杜撰な資金処理で問われる違法性

2016年9月16日 09:20

10c51840aab49620015484251526a6eb842d9642-thumb-260xauto-1836633.jpg 平成25年6月に行われた大川市長選挙の際、鳩山二郎前市長陣営が公職選挙法の規定を無視した「選挙運動費用収支報告書」を提出していた問題で、選挙用ポスターの支出に関する新たな事実が判明。報告書の記載内容そのものが虚偽だった可能性が濃くなった。
 鳩山氏の報告書では、選挙用ポスターに関する記載が公費負担分を含めて3件。HUNTERの調べで、公費分以外の2件が選挙運動にかかる支出ではなく、後援会活動用など別の印刷物への支出だったことが分かった。
 しかし、同年の「はとやま二郎後援会」の収支はゼロ。鳩山陣営が、政治資金規正法や公職選挙法の規定を無視し、違法な資金処理を行っていた動かぬ証拠と言えそうだ。

後援会用印刷物を「ポスター」と偽装
 鳩山陣営が大川市選挙管理委員会に提出した選挙運動費用収支報告書には、ポスター支出に関する3件の記載がある(下が報告書の該当部分。赤いアンダーラインはHUNTER編集部)。

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 まず、報告書の支出欄「印刷費」の項目に計上されているのが次の2件。

・6月14日支払い 145,950円 ポスター P社
・5月30日支払い 908,040円 ポスター Y社


 次が、報告書の最後のページに記載を義務付けられた支出のうちの公費負担相当額だ。

・ポスターの作成 63枚 166,698円(単価2,646円

 
 公選法の規定により ポスターの公費負担額は「支出」として計上するのがきまり。しかし、鳩山陣営の報告書では公費負担分166,698円を支出として計上していない。
 
 一方、支出欄「印刷費」にある2件のポスター代支出は、公費負担分とは別のポスターが作成されたか、あるいは公費分以上の支出が生じたことを示している。選挙期間中、ポスターは何種類でも作成可能。鳩山陣営が公費負担分とは別のポスターを作った可能性もある。ただし、ポスター掲示板に貼るポスターについては、規格の確認と「公費助成」との関係から、その都度選管に届け出てチェックを受ける必要がある。当然、現物が残る。そこで、大川市選挙管理委員会に保管されていた鳩山二郎氏のポスターと公費助成関連文書を情報公開請求。開示されたポスターの現物が下の1枚である。

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 鳩山二郎候補が作成したポスターは、この1枚だけ。かかった費用は、公費で支払われた「166,698円」だけだった。すると、報告書の支出欄「印刷費」の項目に計上された2件の支出に該当するポスターは、選挙運動用ではなかったことになる。

 HUNTERの取材で、5月30日支払いの908,040円が、「後援会のリーフレットと名刺」(印刷所の回答)であったことが明らかになっており、この分の記載は明らかに虚偽。6月14日支払いの145,950円も、選挙用ポスターの印刷費ではない。鳩山陣営において、公費負担額以上の選挙用ポスター印刷費が発生するはずはないからだ。公費負担額には限度があり、大川市の場合は単価4,551円×63枚=286,713円。鳩山候補は、契約段階で限度額近くの金額「264,600円」で契約を結んでいたのだ。(下がその契約書)

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 ポスター代で追加があれば、この金額いっぱいの請求をすれば良かったということ。しかし、大川市がポスター印刷会社の請求を受けて支払ったのは「166,698円」。従って145,950円の支出は、少なくとも選挙用ポスターの代金ではない。

公選法上の虚偽記載は時効だが……
 鳩山陣営の選挙運動費用収支報告書にあるポスター代とされる2件の支出は、明らかに別の目的で支出されたもの。908,040円は後援会活動に費消された「リーフレットと名刺」で決まりだが、145,950円も後援会の印刷物だったと見られる。つまりは2件とも虚偽記載。報告書は、公選法の規定に抵触する可能性が高い内容だった。

 公選法上の虚偽記載は3年が時効。鳩山陣営が罪に問われることはなくなっているが、政治資金規正法上の問題は残る。鳩山氏の資金管理団体「はとやま二郎後援会」が県選管に提出した平成25年分政治資金収支報告書は、収入も支出もゼロ。前出「後援会リーフレットと名刺」にかかった908,040円や、別の印刷代145,950円は支出として記載されていない。他にも、ネット上に記録が残る後援会活動用の看板代や事務所費などが不記載となっており、同団体の政治資金収支報告書が、規正法に抵触する内容だったことは疑う余地がない。同法が規定する虚偽記載の時効は5年。「はとやま二郎後援会」の代表者は二郎氏本人であり、「秘書がやりました」で逃げることは許されまい。



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