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稲田朋美防衛相の自民支部に公選法違反の疑い

2016年8月25日 10:40

永平寺町長への寄附--2.jpg 稲田朋美防衛相が代表を務める政党支部が、選挙区内にある福井県永平寺町の河合永充町長に現金計60万円を寄附していたことが分かった。
 公職選挙法は、政治家が所属する団体が選挙区内で当該政治家の名前を表記したり当該政治家が類推されるなどの方法で寄附することを禁じており、稲田氏側の現金供与はこの規定に抵触する可能性がある。
(右は、自民党福井県第一選挙区支部の政治資金収支報告書の一部)

永平寺町長へ計60万円を寄附 
 違法性が疑われる寄附を行っていたのは、稲田氏が支部長を務める「自由民主党福井県第一選挙区支部」。同支部が福井県選管に提出した平成26年分の政治資金収支報告書によれば、同支部は平成26年1月6日に50万円、2月24日に10万円を永平寺町長の河合永充氏に寄附していた。福井県選管への情報公開請求で入手した該当する支出の領収書も、河合氏個人のものとなっている(下参照)。(下が政治資金収支報告書の該当ページ。その下が町長の領収書。赤いアンダーラインはHUNTER編集部)

永平寺町長への寄附.jpg

永平寺町長領収書1.jpg 永平寺町長領収書2.jpg

 公職選挙法は、公職の候補者等の関係会社等の寄附の禁止について、≪第199条の三≫で次のように規定している。

 公職の候補者又は公職の候補者となろうとする者(公職にある者を含む)がその役職員又は構成員である会社その他の法人又は団体は、当該選挙区(選挙区がないときは選挙の行われる区域)内にある者に対し、いかなる名義をもつてするを問わず、これらの者の氏名を表示し又はこれらの者の氏名が類推されるような方法で寄附をしてはならない。ただし、政党その他の政治団体又はその支部に対し寄附をする場合は、この限りでない。

 今回のケースを条文にあてはめれば、稲田朋美=「公職にある者」。自由民主党福井県第一選挙区支部は稲田氏が代表であり、同支部は稲田氏の氏名を表示し又はこれらの者の氏名が類推されるような方法で寄附をすることはできない。永平寺町は福井1区内。河合町長は第一選挙区支部の代表者が稲田防衛相であることを承知しており、同支部からの寄附となれば稲田氏を類推すると考えるのが普通。取材に応じた町長も、福井県第一選挙区支部の代表が稲田防衛相であるという認識があったことを認めている。

「寄附は合法」――強弁する稲田氏側
 町長個人への寄附は違法ではないのか――自由民主党福井県第一選挙区支部に取材したところ、同支部の会計責任者は「公職の候補者に対する寄附で、問題はない」としている。

 稲田氏側が違法性を否定する根拠として挙げているのは公選法「199条の四」。同条では、公職の候補者への寄附を認めており、町長選の最中だった河合町長への寄附に違法性はない、というものだ。しかし、この解釈は間違い。該当条文は、≪公職の候補者等の氏名等を冠した団体の寄附の禁止≫を規定したもので、次のようになっている。

 公職の候補者又は公職の候補者となろうとする者(公職にある者を含む)の氏名が表示され又はその氏名が類推されるような名称が表示されている会社その他の法人又は団体は、当該選挙に関し、当該選挙区(選挙区がないときは選挙の行われる区域)内にある者に対し、いかなる名義をもつてするを問わず、寄附をしてはならない。ただし、政党その他の政治団体若しくはその支部又は当該公職の候補者若しくは公職の候補者となろうとする者(公職にある者を含む)に対し寄附をする場合は、この限りでない。

 じつは、条文後半の≪当該公職の候補者若しくは公職の候補者となろうとする者(公職にある者を含む)≫とは、条文冒頭の≪公職の候補者又は公職の候補者となろうとする者(公職にある者を含む)≫を指す言葉。寄附を受け取れるのは「稲田朋美」氏だけであって、他の政治家は該当しない。従って、稲田氏以外の個人に対する寄附は違法ということになる。 

 稲田氏側の解釈が容認されるなら、選挙区内の議員という議員に対し公然と買収資金を渡すことが可能。いくら“ザル法”とはいえ、公選法が買収を認める規定を設けるはずがない。ちなみに、同法は199条三の規定に違反した場合について、「五十万円以下の罰金」という罰則規定を設けている。

 稲田氏が代表を務める自由民主党福井県第一選挙区支部を巡っては、平成26年の総選挙直前に選挙区内の県議会議員に対し現金10万円を寄附していたことも分かっており、この時の寄附にも公選法違反の疑いがある。

 なお、同支部から河合町長に寄附された60万円に関しては別の疑問が生じており、その点については次稿で詳述する。



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