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川内原発停止要請無視 傲慢さ増す原子力規制委

2016年8月 5日 10:25

原子力発電所川内.jpg 原子力ムラの高笑いが聞こえてきそうな現状である。
 メルトダウン(炉心溶融)が現実のものとなった「3.11」以後、たしかに世論は“脱原発”に向かっていたはず。だが、5年が経過した現在、全国で停止中だった原発の再稼働だけでなく、「新設」まで容認される展開となっている。
 原子力ムラに向けられていた厳しい批判は鳴りを潜め、原発推進を公言する政権が度々の国政選挙で勝利しているのが実情。原爆にフクシマ――放射能被害の深刻さを体験しているはずの日本が、再び原発大国に戻るというのだろうか?
(写真は川内原子力発電所)

政治も民意も無視 ― 規制委の傲慢
 現在、営業運転中の原発は鹿児島県薩摩川内市にある九州電力川内原子力発電所の1、2号機だけ。再稼働に合意したのは、先月の知事選で4選を逃がした伊藤祐一郎前知事である。その伊藤氏を破って初当選したのは元テレビ朝日のコメンテーター三反園訓氏。公約の一つとして掲げたのが――「熊本地震の影響を考慮し、川内原発を停止して、施設の点検と避難計画の見直しを行う」――だった。知事就任後、三反園氏は改めて九州電力に川内原発の一時停止と再点検を要請する考えであることを明言している。

 これに対し、九州電力の瓜生道明社長は、丁寧に説明するとしながらも「一般論として法律上停止する権限を持っているのは原子力規制庁」として三反園知事を牽制。原子力規制委員会に判断を委ねることで、責任逃れをする構えだ。問題は、九電が頼りにする規制委の姿勢である。

 規制委の田中俊一委員長は、知事には原発の停止権限がないとして、相手にしない考え。先月27日の会見、鹿児島県側が川内原発の停止と再点検を求めた場合の対応について聞かれた田中氏は、次のように述べて三反園知事の考えを一蹴している。

田中委員長:建前論から言うと、私から何も申し上げることはないけれども、何を点検するのかというのが全然私には理解できないのです。熊本地震の影響は川内原発にはないことは、私ども、さんざん発信してきましたので、まさかそのことをおっしゃっているとも想像できないので、何を点検するのかがよくわからない。多分、就任会見か何かで明確にされるのか、今後どうされるのか、よくわかりません。

 原発立地自治体の知事が原発を「止めろ」と言っているのに、頭からこれを否定する規制委。民意など関係ないということだ。傲慢さはエスカレートするばかりで、規制委の立場を確認された田中委員長は「裁判も政治も私どもの判断には関係ないですね」と言い放っていた。

 民意も政治も無視。すべてを上回る存在となった原子力規制委委員会が、復活した安全神話において「神」と化した状況だ。原発を動かすときは「知事の合意」を道具にする原子力ムラが、知事の停止要請を拒否するという不条理。国民不在の原子力行政には呆れるしかない。

首相のお膝元で「新設」容認の動き
 20110901_h01-01-thumb-280x240-1461.jpg原発推進の動きは再稼働に止まらず、「新設」さえ視野に入る状況だ。山口県上関町で中国電力が建設を目指す「上関原発」を巡り、山口県の村岡嗣政知事が3日、同社が申請していた海面埋め立て工事の免許延長を許可した。福島第一の事故を受けて止まったかに見えた原発の新設計画が、安倍首相のお膝元で再スタートした形。脱原発への国民の願いは、一顧だにされていない。

 安倍政権と原子力ムラによる原発推進で歪む日本。HUNTERは来月、原発立地自治体や上関などの現状について、詳細なリポート記事を配信する予定である。



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