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選挙を愚弄した産経新聞 競馬になぞらえ順位予想 
紙面は公明新聞のパクリ

2016年7月13日 09:25

産経記事 参議院議員選挙の期間中、大手メディアによる選挙情勢報道の問題点を報じ続けてきた。少ないサンプル、意図的に一部候補を省く電話調査の歪んだ手法、公示日直後に選挙戦の行方を断定的に報じる傲慢さ……。いずれも、選挙を「面白いネタ」として扱っている大手メディアの体質に起因するものだ。
 一連の問題提起に対し様々なご意見メールを頂いたが、選挙戦も終盤の今月7日、福岡県内の読者から産経新聞の紙面に対する怒りの声が何通も寄せられた。駅売りの同紙を買ってみてビックリ。紙面で展開されていたのは、報道を逸脱し、選挙を愚弄する「政権の犬」の狂気だった。

「自民党機関紙」を証明
 下が、7月7日の産経新聞朝刊「九州・山口総合版」の紙面だ。見出しは大きく≪自民「大家が危ない!」≫。大家とは、福岡選挙区から自民党公認で立候補していた大家敏志氏のことである。

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 記事では、大家氏が民進党公認の新人、古賀之士氏の後塵を拝して2位での当選になりそうだと状況を説明。危機感を募らせる自民県連の動きを追っている。選挙戦終盤で、特定候補の陣営を「危ない」と表現する新聞報道は極めて稀。トップ当選を信じている自民支持層にとっては「まさか」の内容だ。

 産経がこの日の紙面のお手本にしたのは、記事の中央下側に写真付きで引用されている7月5日付「公明新聞」。同紙は、共産党の候補と3位争いを行っていた公明公認の高瀬弘美氏陣営に危機感を持たせるためか、「高瀬が危ない!」と大見出しを付けていた。産経はこの見出しの候補者名だけ変え、紙面の体裁をそっくり真似たのである。

 選挙担当の記者であれば、情勢調査の数字を知っていたはず。取材結果を加味すれば、終盤戦にかかったこの時期に「高瀬が危ない!」などと見ている記者は皆無だったろう。公明新聞の記事は、公明党支持者=創価学会の信者を鼓舞するための手段。“政党の機関紙”であるからこそ許される内容だった。

 一方、産経新聞は曲がりなりにも“公の報道機関”。他紙の紙面をそのままパクり、大家陣営の危機感をあおるような記事など許されない。だが、実際には大見出しで「大家が危ない!」。つまり産経は「新聞」ではなく、「機関紙」(あるいは広報誌)ということになる。どの政党の機関紙であるか、今更言うまでもあるまい。

「競馬」になぞらえ選挙を愚弄
 政権の犬が書いた記事の中身もお粗末だ。後段に、「実際の投票率は前回(49.36%)並みとの見方が支配的だ」と出てくるのだが、産経の社内で「支配的」なのか報道の世界で「支配的」なのか、まるで分らない。正しい日本語が分からない記者が、自分勝手な見立てを読者に押し付けた格好だ。正確さの点では、小学生の学級新聞の方が上だと断言しておきたい。程度の低い記者たちの仕事は、どこまでも醜く、平気で選挙を冒涜している。産経の紙面右側にある次の囲み記事だ。

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 見出しにも記事でも使った≪ハナ差≫は、競馬の着順を表す言葉だ。この記事を書いた記者は、選挙を競馬に見立てて当選順位の予測をしているのだ。つまり着順予想。これほど選挙を愚弄した新聞記事には、お目にかかった記憶がない。しかも、肝心の予想がまた酷い。推定投票率をわざわざ低い方に設定し、自民、公明の得票を予想。結果的にすべて外れているのだ。これでは、競馬新聞の記者も務まるまい。

 意図的なものを感じるのは、記事本文中にある≪責任論が浮上≫との小見出しを付けた記事。『大家氏が2位に甘んじれば、県連執行部の責任論に発展するのは間違いない』とある。選対本部長は麻生太郎財務相なのに、なぜか県連執行部の責任だけをあげつらっている。しかも、≪間違いない≫と強く断定。誰かに書かされたにしろ、もし≪責任論に発展≫しなければ、この記事を書いた記者はどう責任をとるのだろう。

守られぬ産経「記者指針」
 産経新聞社は、『報道機関としての社会的使命を果たすべく、「産経信条」「新聞倫理綱領」「産経新聞社 記者指針」を順守すべき規範としているのだという(同社ホームページより)。平成13年に同社が定めた「記者指針」には、こう記されている。

 「ベストワンの新聞」をめざす産経新聞の記者は報道や論評の質の高さだけでなく、その行動でもまた高い信頼性と品性が求められる。そのことに思いを致し、ここに「記者指針」を定めた。「産経信条」と合わせて、産経新聞記者は常に心に刻み込んでおかなければならない。

(中略)

[正確と公正]
 報道は正確かつ公正でなければならず、論評は世におもねらず所信を貫くべきであるという新聞倫理綱領の精神を生かすには以下の諸点を守らなければならない。

1)記事が客観的な事実なのか、あるいは記者個人の意見または推論・批評・期待なのか明確に読者に分からせる書き方をするよう心掛けねばならない。 事実に基づかない記事や裏付けを欠く記事は、いかに客観性を装っても露見するものであり、それは産経新聞社にとって読者の信頼を損ねる自殺的行為となる。見出しについても同様である

(以下省略)

 7日の産経新聞朝刊の記事は、この記者指針から大きく外れてはいないか?



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