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JT跡地取得費「81億5,000万円」への疑問
鹿児島市の闇(1)

2016年6月 8日 08:35

JT跡地 平成19年に鹿児島市が取得した同市上荒田町のJT(日本たばこ産業株式会社)鹿児島工場跡地。68,926㎡に上る広大な敷地には現在、移転した鹿児島市立病院と市交通局の建物のほか、「上荒田の杜公園」が整備されている。
 JT跡地の取得費は81億5,000万円。売買契約までの過程を検証しようと試みたが、市側は土地の評価額を隠すなど露骨な隠ぺいで対応。その後一転して評価額を明かしたものの、その根拠となる文書は廃棄されており、契約金額の妥当性に疑念が生じる事態となっている。
(写真はJT跡地に整備された「上荒田の杜公園」。その左側の建物が鹿児島市立病院)

JTとの協議はたったの2回
 
JT跡地関連文書の公開拒否から一転して開示――鹿児島市の対応は、杜撰な文書管理の実態と情報公開条例の恣意的運用を浮き彫りするものだった。JT跡地の土地評価額は市議会にも未報告。巨額な公共事業が、ノーチェック状態で進んできたことになる。

 HUNTERの抗議を受けて再開示された文書によれば、市管財課の評価は平米あたり138,500円、9,546,317,480円という額だ。買値が81億5,000万円なので良い買い物をした形だが、管財課はその額をはじき出した時の関係文書を廃棄しており、評価が妥当なものだったのかどうかの判断はできない。それどころか、この評価額自体が、土地買収交渉の基本ではなかった可能性がある。

 鹿児島市への情報公開請求で入手した文書の中に、市とJT側との協議過程の記録がある。JTとの交渉は、平成18年11月28日に森博幸鹿児島市長が「日本たばこ産業株式会社」に協議の申入れをしたことに始まり、12月にJT側が協議受け入れを市側に電話連絡。19年1月と2月に市役所内で両者の協議が行われ、その時の記録が残されていた。実質2回分、4枚のペーパーに過ぎないが、黒塗りを免れた部分の記述は、土地取得額に幅があったことを示している。下は、同年1月の協議記録だ。

JT協議1.jpg

 1回目の協議でJT側、市側ともに希望価格を出し合っていたことが分かる。青いアンダーラインはJT側の希望金額、赤いアンダーラインが市側の提示額だ。数字は黒塗りにされているが、市側が交渉に向けて複数の予算額を用意していたことは明らか。ベースとなる数字が存在していたと見るのが自然だろう。協議記録の2ページ目にある記述を見れば、この日のうちに一定の方向性が決められていたことも分かる(下が協議記録の2ページ目。赤いアンダーラインはHUNTER編集部)。

JT協議2.jpg

 1月の協議は2時間。双方が提示額を持ち帰って検討すると記されているが、それほど大きなズレはなかったようで、2回目となる2月5日の協議でスンナリ契約までのスケジュールが決まっていた。とんとん拍子で協議が進んだ状況から見て、事前に水面下での交渉があったことは容易に想像がつく。開示された情報は、見られてもおかしくない範囲のもの。実際の金額交渉がどのように進んだのか、判然としない。

見当たらない「81億5,000万円」の根拠
 
「9,546,317,480円」という市側の評価額は、平成18年12月時点でのもの。普通なら、これを基本にしての価格交渉に臨むはずだが、市が算出根拠となる文書を破棄している上、協議過程で提示されたすべての数字は黒塗り。これでは、基準がどのあたりにあったのか分からない。なにより、市役所内部の土地価格検討過程が不明朗。残されていたのは、2月23日付の「公共用地取得検討委員会検討結果」という下のペーパー1枚だけなのだ。

土地評価2.jpg

 ここで「81億5,000万円」という取得額が決められていたが、同委員会の議事録などは不存在。どうやってこの金額が導き出されたのか、まるで分らない状況だ。2月5日に行われたJT側との協議で契約金額が決まっていたとすれば、公共用地取得検討委員会の議論は、ただの追認行為=アリバイ作りだったことになる。不透明なJT跡地取得の過程だが、やり直しとなった情報公開で開示された資料から、この土地取引の怪しさがさらに増すことになる。

(以下、次稿)



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