舛添要一東京都知事が辞職した。首都東京のトップが、前任の猪瀬直樹氏から2代続けて「政治とカネ」の問題で退場した形。任期途中での辞職なら、石原慎太朗氏以来3人連続という異例の事態だ。
石原、猪瀬、舛添――いずれも自民党と公明党の力を借りて知事の座を得、石原は身勝手な国政復帰、猪瀬・舛添はカネまみれというお粗末な理由で都政を混乱させている。無責任知事を作ってきた一番の責任が、自民・公明にあるのは言うまでもない。動き出した「ポスト舛添」だが、両党に候補者擁立の資格があるのか。
(写真は東京都庁)
次々退場 5年間で3人の都知事
平成23年4月に行われた東京都知事選挙の、主要4候補の支援政党と得票は次の通りだ。
ダントツの強さで4選を果たした石原氏だったが、国政復帰のため辞職。2年半の任期を残して、都政を放り出した。思えば、首都の政治・行政を歪めた元凶は、この石原氏。独裁的手法で注目を集め続けたが、在任期間が長くなるにつれ登庁回数は減り、最後は週2~3回。新銀行東京の失敗も記憶に新しいが、豪華な海外視察の本家本元は石原氏だった。
後継となったのが副知事を務めていた猪瀬氏。24年12月の選挙結果は次の通りだ。
自公の推薦を受けて圧勝。2020年東京オリンピック・パラリンピックの誘致を成功に導いた猪瀬氏は、徳洲会からの5,000万円供与事件で追い込まれ、議会で醜態を晒したあげく辞任する。在任期間は約1年。あっけない退場劇だった。
そして平成26年2月、安倍晋三首相や山口那津男公明党代表とともに街宣カーの上から手を振った舛添要一氏が都知事に初当選する。ちなみに、この時の選挙で60万票余を集めて話題となった田母神俊雄氏は、公選法違反(買収)の容疑で逮捕、起訴され現在も檻の中だ。
自公に知事候補擁立の資格はない
それから2年4か月。疑惑まみれとなった舛添氏が、大多数の都民を敵に回す形で辞任に追い込まれたのは周知の通りだ。石原、猪瀬、舛添――いずれも自民・公明が都政のトップに押し上げたのは確か。無責任な任期途中の退場、それによって発生する巨額な選挙費用についても、関係ないとは言い切れまい。なにより、毎回の選挙で有権者が投じた約600万票を、無意味なものにした罪は大きい。
任期4年の知事の座に、5年の間に3人が座るという異常事態。舛添氏はその座に固執して国益がどうのとほざいたが、首都を混乱させ「公益」を損ねたことに関しては、辞めた3人だけでなくその連中を推薦・支援した自公も同罪。首相と山口代表は、国民に対しきちんと謝るべきだろう。次の知事候補を擁立するなどもってのほか。仏の顔は三度までと決まっている。