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福岡市第3給食センター 用地公募の怪しい実態
疑惑の土地選定(3)

2016年5月27日 09:05

売地看板 福岡市教育委員会が進める第3給食センター(仮称)整備事業の土地選定を巡り噴き出した疑惑。「公募」という形で公平・公正を装っていたが、じつは初めから事業用地を決め込んでいた疑いが濃い。
 来年度契約の予定で選定された給食センター用地は、市内に本社を置く建設業者「アスミオ」とその関連会社の所有物件。公募に応じたのはアスミオを含む2者だ。応募した土地が、選定の過程で不適と判断された不動産会社の代表者に取材したところ、市教委が公募に応じるよう強く勧めていたことが明らかとなった。
 市教委側が無理やり「公募」の体裁だけを整えようとしていた形。仕組まれた用地選定の構図が、徐々に見え始めている。(写真は、第3給食センター予定地に立つ売地の看板)

公募に応じた不動産業者が語った市教委とのやりとり
 用地公募にあたって不動産業者が提示したのは、市内早良区にある12,162㎡の農地。所有権者は複数だったが、給食センター用地として売却することは可能な状態だったという。ただし、市教委が設定したエリア外である上、農地転用が難しいと見られていた土地。そのため不動産業者は、「公募条件に合うのかどうか事前に市教委側に相談した」と話す。不動産業者に当時の詳しい状況を聞いた。

 記者:御社が応募した土地は農地。不動産業者なら、農地転用が難しいことなど解っていたのではないか?
 ――だから、(市教委に)事前に相談しましたよ。難しいでしょうね、と。

 記者:市教委側は何と答えたのか?
 ――「そんなことはない、ともかく(公募の)書類を出してみなければ、分からないじゃないですか」、と。

 記者:御社が提示した土地は、市教委が設定したエリアの外。この点は、問題にならなかったのか?
 ――いや、とにかく(書類を)出してみてくれと……。そこまで言うのならと、公募に応じることにしたんですから。

 記者:配送先の中学校まで50分以内という条件があったが?
 ――実際に車で走って、確認しました。問題がなかったから、書類を出したんです。なにより、市教委からは「公募の要件を満たしました」というお墨付きみたいな文書が送られて来たんですから。問題があれば、そんな文書は送らないでしょう。書類審査でバツですよ。

 記者:アスミオ側には6億3,000万円という、買収予定額が提示されている。御社に対して、金額の提示はあったのか?
 ――え?6億?冗談でしょう。私の方は、何も聞かされていない。それどころか、『市教委は、どの程度の予算を考えているのか』と何度も尋ねましたが、教えてくれなかった。6億?それはおかしい。絶体おかしい。

 記者:御社の提示額は黒塗り非開示になっているが、どの程度の金額を想定していたのか?
 ――全体で3億数千万といったところだったですね。6億なんて、とんでもない。

 記者:振り返ってみて、どこかおかしいと感じたことはなかったか?
 ――とにかく、「書類を出して下さい」だから……。結局、私の方は、利用されたということですかね。

「仕組まれた公募」裏付け文書の数々
 市教委への情報公開で入手した文書の中には、不動産業者の話を裏付ける文書が多数存在する。まず、業者の言う「お墨付き」が下の文書。不動産業者に対し、『公募参加資格及び公募要件を満たしていることを確認しました』として、書類審査をパスしたことが明記されている。

書類審査結果.jpg

 次が、公募で選定された土地を所有しているアオスミに対して、文書で行われたヒアリングの記録の一部。市教委側は、「6憶3,000万円」という買収予定額を提示している。

質疑2.jpg

 一方、不動産業者とのヒアリング記録(下参照)では、業者に土地の希望価格を聞いただけで、市教委側から買収予定額を提示した形跡すらない。市教委が予算額を教えなかったという業者の話は、真実と見るべきだろう。

質疑1.jpg

 市教委は、公募に応じた2件の土地の鑑定評価をしており、不動産業者が提示した早良区の土地の買収予定額も算出してたはず。しかし、アスミオには金額を示していおきながら、不動産業者には未提示。公募を成立させるために無理を重ねたが、土地代が安い物件を隠すため、意図的に買収予定額を教えなかったとの見立ても可能だ。

醜いアリバイ作り
 公募の体裁を整えた市教委は、アスミオの土地を事業用地として選定するため、次のアリバイ作りに動く。今年1月22日、市農林水産局に、不動産業者が出した公募地の農地転用が可能かどうかの照会をかけていたのだ。急ぎ仕事だったことは間違いなく、農林水産局は同日のうちに回答していた。役所仕事としては異例のスピードである(下が、農林水産局の回答書)。

農水回答.jpg 

 回答書の中で農林水産局は、当該地を農地転用不許可と回答。この段階で、不動産業者の応募地は選定対象から外された格好となっていた。しかし、この流れには相当無理がある。市教委が、不動産業者に書類審査通過の「お墨付き」を出したのは「1月20日」。農水局側に照会をかけるための決裁文書は「1月21日」に起案されており、お墨付きを出した直後に、バタバタと不適格の理由づくりを行った形だ。そもそも、不動産業者の公募書類提出は前年12月25日。農林水産局に照会をかける時間は十分あったはずだ。

 おかしなことは、まだある。じつは、アオスミ側が公募に応じて書類を提出したのが本年「1月21日」。市教委が、不動産業者に書類審査通過の「お墨付き」を出した1月20日の翌日だ。述べてきた通り、市教委側は21日から不動産業者の土地が農地転用不許可であることの証明に動いており、22日には農水局から一筆とっている。アスミオの応募を待って、すべてがコントロールされた形。市教委の狙いが、「公募の成立」にあったことは疑う余地がない。一連の動きは、アリバイ作りのためだったと言うしかない。

ポイ捨て同然の選定結果 
 公募が成立した以上、不動産業者側の土地は用済みだ。公募に応じるよう説得しておきながら、業者に送り付けられた市教委の不選定理由はふざけた内容だった。それが下。

審査結果0.jpg

 『公募エリア外』『農地転用不許可』――本来、書類審査どころか相談の段階でふるいにかけるべき理由をつけて、事業用地としては不適だと申し渡していた。利用したあげくにポイ。仕組まれた「公募」に、不動産業者が怒るのは当然だろう。ただし、怒るのは業者だけではない。「はじめに土地ありき」で、不当な値段の土地を買わされるのは納税者。市民を欺くインチキ公募であるなら、絶対に許すわけにはいかない。疑惑の用地選定の背景も含めて、さらに検証を続ける。



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