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疑惑の土地選定(1) 仕組まれた給食センター用地「公募」

2016年5月24日 09:00

第3給食センターの整備予定地 福岡市教育委員会が進める第3給食センター(仮称)の整備事業を巡り、不透明な土地選定が明らかとなった。
 関連文書の情報公開請求に対し、不都合な文書類を省いて開示したり、用地選考段階で不動産鑑定業者に依頼した土地評価報告書を非開示にするなど、隠ぺい姿勢を露わにする市教委。ようやくそろった用地選定過程を示す資料を精査したところ、選定された市内の建設業者が保有する土地を初めから事業用地と見込み、早い段階で市教委幹部が建設業者と接触していたことが分かった。
(写真奥が、第3給食センターの整備予定地)

唐突に決まった事業用地の「公募」
 昨日、市教委側が、用地選考段階で使用した不動産鑑定業者の土地評価報告書を非公表にしていることを報じた。買収予定額の証明ができない異例の事態だが、情報公開の当初に隠されていたのは、これだけではなかった。

 HUNTERの指摘で追加開示されたのは、2回開かれた「第3給食センター(仮称)整備運営事業用地審査委員会」の協議記録や、公募の方針を決める前に市教委が独自に抽出し、部内で検討していた市内10か所の土地に関する資料など。いったん開示された文書の何倍もの資料が、存在を追及されて出てきた格好で、不都合な証拠を隠したと見るのが普通だろう。

 関連文書はそろったものの、土地評価を含めた事業の進め方は不自然なことだらけ。なにより、どうして前例のない「公募」になったのか判然としない。開示された公文書の記述をどれだけ読んでも、方針決定過程が記されていないのだ。市教委側に確認したところ、公募になったきっかけは、昨年9月に財政局が市の各部局あてに発出した通知。下がその通知文である(赤い囲みとアンダーラインはHUNTER編集部)。

01財政局通知.jpg 市が保有する未利用地が事業用地に適さなかった場合は、「公募」しろという趣旨。この通知を受け、「それまで該当する土地がなかなか見つからなかったが、『ああ、こういうやり方(公募)があったのか』ということになりまして」(市教委側の説明)――いきなり公募になったというのである。唐突な方針転換も不可解だが、昨年9月に出された財政局の通知も胡散臭い。通知の中には何度も「透明性」という文字が出てくるが、一連の流れを見ていくと「不透明」の見本のような事実ばかり。財政局の通知は、市教委に「公募」の正当性を与えただけだ。回りくどいやり方は、市が組織をあげて特定用地の買収を正当化しようとした証ともとれ、「仕組まれた公募」の可能性が否定できない状況だ。

候補地10か所、杜撰な調査
 市教委が第3給食センターの事業用地を探し始めたのは平成26年。追加で開示された「第三給食センター事業用地について」という内部文書に、抽出された10か所の土地が明記されている(下参照。赤い囲みはHUNTER編集部)。情報開示にあたって、市教委が隠していた文書の一つだ。 

候補地1.jpg 候補地2.jpg

 ①から⑤までが市及び市教委の保有する土地。⑥から⑩が民有地だ。文書の記述はさらに続き、各事業用地の状況として、①から⑩までの現況と問題点が列記されている。「①整備市場跡」の現況については、上掲右側の文書の最後に記載されており、地元から給食センター反対の声が上がっていたことが分かる。「②旧当仁中学校跡」は、配送可能エリアの枠外ということで没。それ以外の公有地については、特定の中学までの配送時間が、目安である「50分」を超えるなどの理由で選外だ。5か所の民有地についても、造成が必要であったり、インフラ状況が悪いなどというマイナス評価ばかり。まるで、公募に向かうためのアリバイ作りである。各地の調査を、本気でやったのか――。学校までの配送時間の目安とされる「50分」を盾に選外扱いしたケース多いことが気になり、市教委側に確かめてみた。

記者:50分以上かかるという記述が目につくが、実走して確認した結果か?
市教委:いや、それはやっていません。

 配送時間は、その日の交通事情によって変わる可能性がある。交通アクセスの良し悪しにも左右される。実際に走ってみなければ分からないはずなのに、市教委は実走して結論を出したわけではないという。10か所抽出したのは、やはり探した形跡を残すためとしか思えない。おかしいと思っていたところ、開示された文書を精査するうち、この用地物色の段階で、事業用地を2か所に絞り込んでいたことが明らかになる。

公募の前に2か所に絞り込み
 下は、前出10か所の土地を検討した時の参考資料の一部。前掲文書「⑩西区今宿青木」の登記簿謄本と公図の写しだ。

登記簿、公図.jpg

 市教委が、法務局でこの土地の登記簿と公図をとったのは「平成26年11月18日」。公募が始まる1年前だ。地番から、この物件こそが、今年2月に第3給食センターの事業用地に決まった土地であることが分かった。他に26年12月にとられた登記簿謄本と公図があるが、こちらは別の土地のもの。つまり市教委は、計画のはじめに候補地として挙げた土地のうち、ある1か所を事業用地にするよう絞り込んでいたということだ。いち早く登記の状況が確認されたのは「⑩西区今宿青木」の土地。市教委は、この民有地を決め打ちした疑いが濃い。

「決め打ち」の証拠も
 「決め打ち」の証拠と見なすべき文書もある。あわてて開示文書を追加したため紛れ込んだものか、市教委が「それはメモです」と言うペーパーがある。記されていたのは、第3給食センターの整備地として選定された土地を保有する建設業社代表らとの面談記録だった。

つづく



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