政治・行政の調査報道サイト|HUNTER(ハンター)

政治行政社会論運営団体
社会

記者発表文書を事実上の改ざん 条例無視して鹿児島市暴走

2016年5月20日 09:50

鹿児島市役所 HUNTERの情報公開請求に対し、いったん出した開示決定を取消したり、80億円を超える土地取引の評価額を非開示にするなど、まともな行政機関としての機能を失っていることが分かった鹿児島市(森博幸市長)。説明責任を果たすどころか、隠蔽姿勢を露わにする始末で、どこまでこの市役所を信用していいのか分からない状況だ。
 隠蔽体質は病的。今度は、記者発表して公となった文書を「白抜き」と称して削除。事実上の改ざんを行っていたことが明らかとなった。
(写真は鹿児島市役所)

公文書を「白抜き」!?
 行政機関が行う記者発表は、住民に対して事案を公表するということ。発表内容は「公然の事実」であり、改めて隠す必要はない。役所によっては、発表した文書をそのままホームページ上で公表するケースも少なくないほどで、本来、情報公開請求の対象となる性格のものではない。

 下は今年3月、鹿児島市に対して行ったJT鹿児島工場跡地所得に関する公文書開示請求で、同市が下した開示決定の一部。JT跡地に移転した市交通局絡みの土地取引を追う中での開示請求だったが、この決定通知は、土地買収全体を所管した市企画財政局が保有する文書のうち、「全部開示」の文書が2種類あることを示している(赤いアンダーラインはHUNTER編集部)。

決定通知通知.jpg

 開示される公文書は、『(1)平成18年11月28日実施 JT跡地について(記者発表)』と『(2)平成18年11月28日付決済 JT鹿児島工場等の跡地にかかる協議について』。(1)は記者発表資料、(2)はJT側との協議の記録であることが分かる。気になったのは、備考欄にある「交通局に関連しない部分は白抜き処理」との一文だった。

 通常、非開示部分は「黒塗り」。「白抜き」など聞いたことがない。しかも、この通知にある2種類の文書については「全部開示」であることが明示されている。隠す部分がないことを示しており、白抜きの意味が理解できない。いったい、これはどういう意味か?

 白抜きの意味が分かったのは、該当文書を見てから。下が、白抜きの形跡があった文書である(ピンク色の帯はHUNTER編集部)

JT跡地-1.jpg 実際の文書では、色付けされたところが空白。4つ目の段落の一行目が、≪具体の活用策といたしましては、    や交通局の市電施設の用地等として~≫となっており、何文字か欠けている。次が、形の上では次の段落の書き出し。≪    また、交通局のリニューアル~≫の最初が数文字欠けている。段落の間が随分あいているのも不自然だ。公表文の体裁としてはかなりいびつで、到底「全部開示」とは思えない。怪しい文書の謎は、先週13日、後回しにしていた残りの文書開示の場で明かされた。

 開示の場に出てきた政策企画課の職員に空白部分について説明を求めたところ、「交通局関係の情報公開請求だったので、関係がない組織に関する記述を『白抜き』にした」のだという。開いた口が塞がらないとはこのこと。全部開示としながら、勝手な解釈で一部を隠していたのである。しかも、数行丸ごと隠していたというのだから呆れるしかない。「全部開示」は真っ赤な嘘。事実上の文書改ざんだ。

 そもそも、市側が白抜きした文書は記者発表の資料。前述したように、いかなる理由があろうと非開示文書にはあたらない。しかも、全部開示としながら一部を非開示。鹿児島市の対応は矛盾だらけだ。

「改ざん」は明らか
 記者も経験のない展開となったが、問題はそれだけにとどまらなかった。その後のやり取りで、別の文書の中にも「白抜き」されたものがあることが判明。それが下の文書だという。一部開示分として、別の決定通知に分類されていた『平成19年2月23日開催 公共用地取得検討委員会検討結果』(ピンク色の帯はHUNTER編集部)。市側は、ここでも2箇所を白抜きしたという。

JT跡地-2.jpg 2種類の文書で白抜きされていたのは、JT跡地に移転した「市立病院」に関係する文言。JR跡地に移転したのは、市交通局と市立病院だけで、抹消された部分が病院に関するものであることは瞭然だ。隠す意味のないことを、白抜きで消すという理解不能の対応である。さらに、一部開示決定通知には、非開示理由はあるが、白抜き処理を行ったという記述などない。「公共用地取得検討委員会検討結果」から記述内容を削ったことも、明らかな改ざんだろう。

背景に森鹿児島市政の闇
 JT跡地の土地買収に関する情報公開を巡る市側の対応は、「白抜き改ざん」を含めて情報公開条例違反が疑われるもの。情報公開を所管する市法制課は「たしかに、不適切な対応だった」としているが、不適切で済む話ではない。背景にあると見られているのは、森市政の抱える闇。次のシリーズでは、開示された文書を基に、歪む鹿児島市政の実態に迫る。



【関連記事】
ワンショット
 47年前と変わらぬ雄々しい姿が、そこにあった。太陽の塔。...
過去のワンショットはこちら▼
記事へのご意見はこちら
記事へのご意見はこちら
調査報道サイト ハンター
ページの一番上に戻る▲