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九州・沖縄で最下位! 福岡市出生率の現実

2016年4月11日 08:20

福岡市 少子化が社会問題となって久しいが、何度政権が替わっても、これといった対策を打ち出せていないのが現状だ。安倍政権もしかり。アベノミクス新三本の矢の中に「夢を紡ぐ子育て支援」というのが入っているが、具体策は不明。子どもの数は、減る一方となっている。少子化現象を確認するための一つの指標となっているのが「出生率」。これを上げなければ人口バランスの問題は解消しない。
 さて、安倍政権の尻馬に乗って戦略特区絡みの施策に傾注、「圧倒的福岡時代」を豪語する高島宗一郎福岡市長だが、足下の現状が理解できていない。九州・沖縄にある全自治体と福岡市の出生率を比較したところ……。

歯止めかからぬ出生率低下
 出生率とは、1人の女性が生涯に何人の子供を産むかを表す数値。いくつかの算定方法があるが、日本では「合計特殊出生率」を使うのが一般的となっている。国の合計特殊出生率とは、15 歳から 49 歳までの女性の年齢別出生率を合計したもの。第1次ベビーブーム期には4.3を超えていたが、1975年に2.0を下回ってからずっと低下傾向。2014年は、1.42にまで落ち込んでいる。

 安倍首相は、アベノミクス・新三本の矢の一つに「夢を紡ぐ子育て支援」を提示。その内容を「2020年代初頭に希望出生率1.8を実現する」としている。希望出生率とは、子どもを産みたいという人の希望が叶った場合の出生率のこと。文字通り、希望が叶えばということだが、そのための具体策は何も示されていない。それどころか、保育園の入所選考に落ちた母親が書いた「保育園落ちた日本死ね!!!」と題したブログの記事に共感した世論に押され、あわてて待機児童解消策を打ち出すありさま。出生率の改善など、まさに夢物語といった状況である。

「1.24」は九州・沖縄の最下位
 出生率が上がらなければ、国の未来は真っ暗。少ない人数で、増える一方の高齢者を支えるといういびつな状態が、益々国力を削ぐ形になっていくことが予想される。もちろん、地方にとっても少子化は深刻な問題。安倍政権に追随し、戦略特区を活用した外国人の呼び込みに必死な福岡市も同然である。同市の出生率について厚生労働省のデータを確認したところ、直近となる2012年時点での数字で「1.24」。国全体の出生率を下回っているのが現状だ。

 人口が153万人を超え、高層ビルを増やすという『天神ビッグバン』に浮かれる福岡市。「圧倒的福岡時代」を標榜する高島市政だが、九州・沖縄の中での出生率はどうなっているのだろう?厚労省のデータを参考に、一覧表を作成してみた。

出生率1-1.jpg

 九州・沖縄の自治体数は274。驚いたことに、福岡市の出生率は九州・沖縄の中で最下位となっている。比較的、出生率が高いと言われる九州・沖縄地方にあって、言い訳のできない現状だ。

「対策はこれから」―意識の低さ露呈する福岡市
 九州・沖縄の自治体中、福岡市が出生率最下位であることについて同市側に聞いてみたが、言葉を濁すだけ。対策についても、「(出産への)希望が持てる施策の実現に力を入れていく」として、具体策未定であることを認めている。出生率が上がらない原因を、掴みきれていないというのが実際のところだろう。都市化が進むにつれ一人暮らしが増えたことも一因ではあるが、低い出生率は「福岡市で子どもを産みたい」という女性が少ないことの証し。詳しい原因を分析し、対策を講じることこそ政治や行政の責務だろうが、福岡市の動きは鈍い。確認したところ、同市の出生率算出は国勢調査に合わせて5年に一度。独自に出生率を調べている自治体の方が多く、もともと、福岡市は意識が低いと言わざるを得ない。

 高島市長は、市長選が行われた一昨年の4月に「待機児童ゼロ」を宣言。全国ニュースにもなったほどだったが、その後待機児童は増え続け、今年3月には400人台に。未入所児の状況悪化はさらに深刻で、2,722人にまで増加していることが明らかとなっている。今年度、1,800人分の定員増を図る予定だとしているが、待機・未入所合わせて保育園に入れない子どもの数は3,000人超。保育士不足の解消策も手つかずで、子育て環境の改善には程遠い状況だ。これでは「福岡市で子どもを産みたい」と考える女性は減る一方。「圧倒的福岡時代」とは、出生率のことを言っているとしか思えない。足もとを見ようともしない市長が、福岡の未来を歪めていることに市民は気付くべきだが……。



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