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民進・山尾氏側のガソリン代疑惑 産経が報じない自民党のケース

2016年4月 7日 09:30

大家氏ガソリン代 民進党の山尾志桜里政調会長が代表を務める政党支部が、平成24年の政治資金収支告書に230万円のガソリン代を計上していた。保育所問題で安倍首相を追い詰めた山尾氏の政治資金疑惑を報じたのは「週刊新潮」。政権の犬・産経は大はしゃぎで後追いし、「なんと地球5周分!?」との見出しで、疑惑拡大に躍起となっている。
 山尾氏の収支報告に不自然なカネの流れがあるのは事実。有権者が納得する説明ができなければ、ますます厳しい状況に追い込まれるだろう。だが、過大なガソリン代支出は山尾氏の政党支部だけではない。

「地球5周分」―お粗末だった産経の切り口
 問題となったガソリン代を計上していたのは「民主党愛知県第7総支部」。同支部が愛知県選挙管理委員会に提出した平成24年分の政治資金収支報告書を確認すると、たしかに通常なら考えられない支出実態だったことが分かる。

 報告書に記載義務のある1万円超のガソリン代だけで227万9,500円。記載されない1万円以下の支出もあったと見られ、6日の会見で、山尾氏自身が429万2818円のガソリン代支出を認めている。山尾氏が落選中だったことを考えると、確かに過分。会見では、ガソリン代支出を巡る不正があったことを明かしており、実際のガソリン購入量は、報告内容より少なかった可能性もある。訂正がなされなければ、虚偽記載ということだ。

 異常なのは、「ガソリンプリカ入金」の状況、下は同年の報告書の一部だが、頻繁に20,000円を支出。同じ日(3月16日)に5回、あるいは4回(3月19日)というケースもあった。

20160407収支報告書-1

 山尾氏のケースで注目すべきは、その「プリカ」が適正に使用されていたかどうかという点。ガソリンの量が多いか少ないかは、問題ではない。産経が報じた「地球5周分」は、あまりにお粗末な切り口。地球を何周もできるだけのガソリンを購入しているのは、山尾議員の政党支部だけではないからだ。

自民・大家氏側は年間約253万円のガソリン代 
 下は、福岡県選出の参議院議員、大家敏志氏が代表を務める「自由民主党福岡県参議院選挙区第三支部」が県選管に提出した収支報告書の一部。月一回のペースで、14~27万円のガソリン代が支出されている。

20160407収支報告書-2

 報告書に記載された、同支部の平成24年から26年までのガソリン代支出の総額をまとめてみたが、平成26年は「252万5,010円」を費消していた。記載額だけなら、報じられてきた山尾氏側の230万円より多い。

ガソリン代1

安倍首相の自民支部は600万円近いガソリン代
 次は、安倍首相が代表を務める「自由民主党山口県第四選挙区支部」のガソリン代支出の実態だ。

ガソリン代2

 さすがは大物政治家の地元。平成24年には約584万円、25年には約575万円がガソリン代に消えていた。両年とも山尾氏側のガソリン代の2.5倍超。支出が減った26年の約489万円にしても、2倍を超える金額だ。バカバカしくて計算する気にもならないが、産経は、首相側のガソリン量で地球を何周できるのか、きちんと報道すべきだろう。それが公平・公正を旨とする報道機関の務め。もちろん、産経がまともな新聞であればの話だが……。

首相の自民支部、税金で「運転代行」
 ところで、下は「自由民主党山口県第四選挙区支部」の収支報告書の一部。問題のガソリン代支出の他に、「代行タクシー代」という記載があるのが分かる。

20160407収支報告書-3

 代行タクシーとは、「運転代行」のこと。同支部では、運転代行利用が常態化しており、年間70万円から120万円あまりを支払っていたことが明らかとなっている。

自民党山口県第四支部「代行タクシー代」の動き

 同支部の1回の支出は、最低でも1万円台。3万円台、5万円台、さらには10万円台の支払いまであった。高額代金の理由として考えられるのは、複数回をまとめて払ったのか、1日に何台もの代行を頼んだのかのどちらかだが、市民生活のレベルとは明らかに異なる利用状況で、支持者への便宜供与だった可能性さえある。支払い原資の一部は税金。どうみても不適切なカネの使い方だろう。与野党を問わず、政治資金の使い方が問われている。



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