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じつは不人気 安倍政権・高支持率の実態

2016年2月25日 08:50

国会 その時々の状況によって上がり下がりする政権支持率。今月20、21両日に実施された共同通信の世論調査では、安倍内閣の支持率が7ポイント下落したというものの、依然として46.7%の高率。半数近くの有権者が安倍政治を支持する形となっている。
 アベノミクスの失敗は明らか。特定秘密保護法から集団的自衛権の行使容認、さらには安保法と戦前回帰への道を歩む姿勢も顕著。多くの国民が、危険な政権の姿に気づいているはずなのに、5割近い支持があるのは何故か?
 大手メディアが行っている世論調査にはいくつものパターンがあるが、共同通信の設問と数字に、その答えが示されている。

支持理由1位―「ほかに適当な人がいない」
 今月20、21両日に共同通信が行った世論調査の結果がある。そのなかで、安倍内閣を支持するか否かを問うた第1問と、支持する理由を尋ねた第2問を抜粋してみた。カッコ内は、前回の調査結果である。

問1 あなたは、安倍内閣を支持しますか。
 ・支持する 46.7(53.7)
 ・支持しない 38.9(35.3)
 ・分からない・無回答 14.4(11.0)

問2(問1で「支持する」と答えた人に聞く)支持する最も大きな理由をお答えください。
 ・首相を信頼する 10.8(9.2)
 ・自民党、公明党の連立内閣だから 13.7(10.9)
 ・首相に指導力がある 13.1(17.7)
 ・経済政策に期待できる 9.0(15.6)
 ・外交に期待できる 7.9(8.4)
 ・政治改革に期待できる 3.5(1.6)
 ・税制改革に期待できる 0.3(0.9)
 ・行政内閣に期待できる 0.5(0.8)
 ・ほかに適当な人がいない  39.8(33.7)
 ・その他  0.6(0.7)
 ・分からない・無回答 0.8(0.5)

 支持率は、前回調査の53.7%から46.7%へと7ポイントの下落。それでも、半数近い高い支持を得ていることが分かる。注目すべきは問2の答えで示された数字。安倍内閣を支持する46.7%の人たちのうち、4割近く(39.8%)の人が挙げたのが「ほかに適当な人がいない」という理由だ。

 2番目に多いのが「自民党、公明党の連立内閣だから」の13.7%というのだから、その約3倍の人たちが極めて消極的な理由で安倍内閣を支持しているということになる。前回調査の結果も「ほかに適当な人がいない」がダントツの33.7%。安倍氏以外に「適当な人材」がいれば、安倍内閣の支持率は20%~30%台に落ちる計算だ。じつは、ここがかつての小泉(純一郎元首相)人気と違うところ。安倍首相には、熱烈な極右応援団はいても、国民的人気があるわけではない。

 読売の世論調査にも支持する理由を選ぶ設問があるが、答えは「政策に期待できる」「首相に指導力がある 」「首相が信頼できる」「閣僚の顔ぶれがよい」「自民党中心の政権だから」「これまでの内閣よりよい」「その他」「答えない」という8項目。「ほかに適当な人がいない」という答えは初めから設定されておらず、無理やり安倍首相の評価を高めようという意図がみえみえだ。

 支持する理由についての朝日の答えはもっと選択肢が少なく、「首相が安倍さん」「自民党中心の内閣」「政策の面」「なんとなく」の四つ。残念ながら、「首相が安倍さん」と答えている人は13%しかいない。内閣支持率は高くても、安倍首相本人には人気がないというのが結論だ。

求められる新たな「顔」
 与党も野党も人材難。首相にしたい政治家がいない状況が、「一強」を招いた要因なのである。民主党と維新の党が事実上の合併に向けて進んでいるが、名前を変えて新党の体裁を整えるだけでは、支持率は上がるまい。肝心なのは代表となる人物の「顔」。民意を体現できるようなトップが現れない限り、自民党支配を終わらせることはできないだろう。かつて変人と呼ばれた小泉元首相が国民的人気を得たことでも分かるように、既存の政治家であっても化けることはある。民主・維新新党の中から、新しいタイプの代表が出てくることに期待したい。

 ちなみに、郵政民営化を掲げた小泉氏が国民の共感を得るために使ったのは「自民党をぶっ壊す」という一言。自民党の有力支援組織であった特定郵便局を敵に回し、背水の陣を敷いた小泉氏に、当時多くの国民が期待したのは事実だ。いま現在、覚悟を決めて参院選に臨もうとしているのは共産党だけ。残念ながら、民主や維新にそこまでの覚悟はできていない。「労組依存をやめる」――それくらいのことを言える政治家でなければ、安倍氏に取って代わる「顔」にはなれまい。



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