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九電の走狗!? 原発めぐる伊藤鹿児島県知事の無責任

2016年2月26日 09:10

鹿児島県庁・川内原子力発電所 鹿児島県議会のライブ映像を見ていた県民は、唖然としたのではないか。九州電力が、川内原発(鹿児島県薩摩川内市)再稼働の前提だった「免震重要棟」の建設計画を白紙撤回した問題をめぐり、改めて伊藤祐一郎鹿児島県知事の無責任な姿勢が浮き彫りとなった。
 25日に開かれた鹿児島県議会で知事は、免震重要棟の建設撤回問題について、「原子力規制委員会と九電で、当然十分な調整が行われた後、許可申請がなされたと考えていたが、実際はそうでなかったようだ」などとまるで人ごとのような発言。これまで九電に対し何の抗議もしていないことを棚に上げ、自己弁護ともとられる態度に終始した。
(左は鹿児島県庁、右は川内原発)

再稼働の前提「免震重要棟」撤回に沈黙する知事
 避難計画は不備のまま、再稼働に最終的なゴーサインを出した伊藤祐一郎鹿児島県知事。免震重要棟建設は再稼働の前提で、白紙撤回が分かった直後から批判が集中する事態となっていたが、肝心の知事は無責任な沈黙を守っていた。新安全基準に基づき審査した原子力規制委員会側が、早い時期から九電への不信感を露わにしていたことを、知らなかったはずがない。

 玄海原発(佐賀県玄海町)を抱える佐賀県の山口祥義知事は先月20日、免震重要棟の建設問題に関し、「やるといったものはやるべき。信頼関係の問題だ」として、九電の動きにくぎを刺す発言を行っており、鹿児島県知事の鈍さは明らか。伊藤知事の不作為を証明するため、免震重要棟に関する一連の動きをまとめた。

免震重要棟に関する一連の動き

 何度も報じてきたが、免震重要棟の設置は、原子力規制委員会が川内原発の審査を行った際の「前提」。約束を反故にした格好の九電に対し、県民はもとより、規制委側からも同社の姿勢を疑問視する声が上がっていた。

 先月26日に開かれた規制委の審査会では、九電に対する厳しい批判が相次いでいたことも分かっている。以下は、審査会における各委員からの声だ。

 ○九電の申請内容は、許可された申請(重要免震棟の設置)と比べ、申請範囲に支援機能の充実が入っておらず、安全性が向上しているとは言えない。九電が方針を決めてから説明を聞く。

 ○規制委の審査で、申請を出してから変更があると説明されたのは初めて。先週、事前ヒアリングを行った時の内容が、もう変わっている。時間をかけることはできない。一度取り下げて検討し直し、出し直してもらいたい。申請は、申請の範囲や安全性の向上というところを詰めた上で、自信のあるものを提出してもらいたい。

 ○もともとの経緯は、川内原発の審査の中で代替緊対(「代替緊急時対策所」)と免震棟との組み合わせについて、運用等々についても審査をしたうえで許可に至った。安全性上望ましいということで申請したのだろうが、安全性向上という一つの論点が、「これなら早く手当てができる」(に替わっている)――。その「早く」も、訂正的にしか説明できないというのでは、申請の理由を欠いているのではないか。そのそも、変更の動機が説明できていない。最も重要な変更申請の根拠を欠いている説明だ。将来の補正に触れているが、将来の補正含みで、現申請について審査するというのは、審査の理想像の観点からも好ましくない。できれば避けたい。(取り下げて検討し直すようにとの)指摘を重く受けとめ、検討の上回答してもらいたい

 ○今後の補正申請があると言っているが、取りやめるという免震重要棟というものを評価するための地震動というものを、わざわざ当初の申請あるいは許可にあたって検討して、そこを評価して検討している。それが今の時点で無駄になっている。そういうことは避けたい。よく考えて下さい。

 要するに、「変更許可申請を取り下げて、もう一度検討しろ」ということだ。こうした事態を受けても、立地自治体として再稼働に最終合意を与えた鹿児島県は無反応。HUNTERが、免震重要棟に関する鹿児島県側の反応について1月に行った九電への質問取材に対し、同社は次のように回答していた。

 ―― 12月17日の原子炉設置変更許可申請に伴い、鹿児島県へ連絡を行った。また、特段、抗議や要望は頂いていない

 結局、伊藤知事は県議会で答弁するまでの間、動かずじまい。免震と耐震のどちらが安全か「(規制委と九電の)両者で協議してほしい」(議会答弁)として、洞ヶ峠を決め込んでしまった。再稼働の前提を崩されたことへの怒りは皆無。県民の怒りを代弁するでもなく、最後まで無責任な姿勢を貫く構えだ。これでは、まるで九電の走狗。県民の安全を人任せにする知事に、県政のかじ取りをする資格などあるまい。



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