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「平和」「基地反対」は“向こう側” これで沖縄担当大臣か

2016年1月21日 17:33

島尻安伊子沖縄担当相 放送法違反に政治資金規正法違反――自らに向けられた数々の疑惑を黙殺する、島尻安伊子沖縄担当相と事務所側。説明責任を果たせない理由が「宜野湾市長選挙で多忙なため」というのだから、開いた口が塞がらない。
 放送法違反が疑われるラジオ番組の中で、「平和」や「基地反対」の声を“向こう側”と揶揄する意見に同調する島尻氏。この人物に、閣僚としての資質・資格があるのだろうか?
(右は、島尻氏のブログの画面)

放送法無視したラジオ番組
 島尻氏自身が関わっているという意味で、一番大きな問題だと見られるのが「放送法」を逸脱した同氏のラジオ番組の存在。地元のコミュニティ放送FM21が毎週土曜日午後3時から4時まで放送している「あい子のチャレラジ」は、自民党参議院議員の同氏がメインジョッキーで、ゲストに迎える政界関係者も自民党の人間ばかり。トークの内容も、自民党にとって都合のいい話が大半だ。

 番組の中で、沖縄県民だからこそ言える「平和」や「基地反対」といった言葉を発する人々のことを、「向こう側」と揶揄しているのだから、その内容は推して知るべし。偏向番組であることは疑う余地がない。不偏不党、政治的公平、多角的論点の提示といった放送法が求める番組の姿はかけらも見えない違法な番組が、現在も公共の電波を使って垂れ流されている。

政治資金疑惑
 法律無視の姿勢は、島尻陣営の政治資金処理でも顕著だ。島尻氏がブログなどで公表し、日常的な政治活動の主体としている「島尻あい子後援会」や「島尻安伊子後援会」は存在しておらず、“無届け”のまま。唯一の関連政治団体である「ちゅらの会」の政治活動費支出は、毎年事実上ゼロに近い状況で、島尻氏が後援会活動と称している会合などに関する支出のほとんどが、同氏が支部長を務める「自由民主党沖縄県参議院第二選挙区支部」の支出として処理されていた。政治資金規正法上の“虚偽記載”を疑わざるを得ない状況である。

 疑惑の種は尽きない。同支部の政治活動費支出の中には、選挙区内に本社を置く建設土木業者への「祝儀代」、歌謡ショーへの広告代など、公職選挙法で禁止された“寄附”が疑われる事例がいくつもあり、ここでは公職選挙法上の問題点が浮上している。その他、神社への「初祈祷初穂料」を経常経費である事務所費に計上するなど、政治資金処理上の疑問点も浮上しており、まさに疑惑のオンパレード状態。どうやら、政治家としての“いろは”が分かっていないふしがある。

宜野湾市長選に首を突っ込む愚かさ
 こうした疑惑、疑念に対する確認取材を、島尻氏の事務所は黙殺してきた。今月10日、島尻氏の秘書が指示してきた通り、疑問点をまとめた質問書を送付したのだが、何度催促しても回答なし。その理由が「宜野湾市長選でみんな忙しくしている」(事務所側説明)だった。

 宜野湾市長選は今月17日に告示されており、投開票は24日。市を二分した戦いは、安倍政権が推す現職VS翁長雄志沖縄県知事率いるオール沖縄という構図で、自民党にとって負けられない選挙であることは確かだ。だが、市長選と島尻大臣にまつわる疑惑は、まったく別問題。選挙を理由に説明責任を放棄するのは、明らかに筋違いだ。

 そもそも、現職の沖縄担当大臣が、片方の候補者を支援すること自体間違いではないのか。沖縄担当大臣である以上、島尻氏は沖縄県民の様々な意見に耳を傾け、利害の調整を行うべき立場。少数意見も多数意見も、大切にしなければならないはずだ。しかし、島尻氏も事務所の秘書たちも、自民党推薦の現職を勝たせることに専念している状況で、郷土の声が分断されることに痛みを感じている様子はない。「平和」や「基地反対」といった声を“向こう側”と切って捨てたラジオ番組でのトークと、通底する姿勢である。どうやら、島尻氏にとって「平和」や「基地反対」を唱える多くの沖縄県民は“敵”。沖縄担当大臣としては、もっとも不適格な人物がその地位に就いたことになる。沖縄にとっては、不幸というしかない。

 疑惑まみれの政治家が、どれだけ立派なことを主張しても空々しく聞こえるだけ。説明責任を果たせない人が、政治家をやること自体間違いなのである。



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