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自民党「政策活動費」の闇

2016年1月 8日 09:05

自由民主党 軽減税率は国民のためで、「感謝しろ」と言わんばかりの安倍自民党。だが、福祉目的のはずだった消費税の増税分が、何に使われているのか分からない状況では、評価のしようもない。
 そもそも、税金の無駄遣いに慣れた自民党。庶民の気持ちなど理解できるはずもなく、自分たちは「領収書」なしで巨額のカネを使いまくっている。
 自民党の闇「政策活動費」を検証した。

ブラックボックス
 自民党本部が、毎年総務省に提出している政治資金収支報告書には、組織活動費として「政策活動費」の支出状況が記されている(下が報告書の一部)。

政治資金収支報告書

 自民党の「政策活動費」は、「官房機密費」と並ぶ永田町のブラックボックス。領収書1枚で所属議員に支給されており、使途はまったく明かされていない。同党が野党だった平成22年からの支給額の推移は次の通りだ。

・平成22年 7億7,900万円
・平成23年 5億6,670万円
・平成24年 9億6,590万円
・平成25年 12億9,080万円
・平成26年 15億9,260万円

 自民党が政権に返り咲いたのが平成24年。同党の政策活動費は、その年から急増しており、26年はついに約16億円にまで膨らんでいる。

選挙時に巨額の裏金
 支出先にも変化が見られる。下は、自民党の政策活動費について、平成22年から24年までの幹事長と総裁への支出をまとめたもの。この間の歴代幹事長は大島理森、石原伸晃、石破茂。総裁は谷垣禎一から安倍晋三へと替わっている。

幹事長・総裁への政策活動費

 注目すべきは、安倍晋三氏への政策活動費。総裁就任後の24年11月から12月にかけて、2億5,000万円という巨額な資金が支給されていた。谷垣前総裁へは、3年間で1,500万円。首相と野党党首という立場の違いがあるとはいえ、安倍氏への支給額は突出していた。この年、11月16日に衆議院が解散。12月4日に総選挙が公示され、12月16日に投開票が行われている。安倍氏への2億5,000万円は、選挙がらみのカネだったと見るのが普通だろう。

 次に、平成25年、26年の政策活動費の流れ。総裁への支出は「ゼロ」となり、支出はそれまで以上に幹事長に集中するようになっていた。両年の活動費について、表にまとめるとこうなる。

自民党政策活動費2

 政策活動費は、まさに幹事長への一極集中。25年は、約13億円の活動費のうち10億円超を石破茂幹事長(当時)に、26年には約16億円のうちの15億円超を、石破、谷垣(禎一)という歴代幹事長に支出していた。

 ここで特筆すべきは、26年分政策活動費の支出時期。安倍首相が消費増税の延期と衆院解散を表明した11月18日以後、谷垣幹事長への活動費支出が極端に増え、12月19日までの約1か月間だけで7億300万円に――。他の議員への支出も含めると、この時期に8億1,300万円が政策活動費として支出されていた。前回24年時と同じで、総選挙対策用の資金だったとみられる。

 前述した通り、政策活動費がどう使われたのかは不明。総裁や幹事長から現金を受け取った相手がいるはずだが、どの議員の選挙運動費用収支報告書にも、政治資金収支報告書にも該当する収入の記載は皆無。政策活動費の流れを解明することはできない。民間への支払いがあったとしても、使途報告の義務がない総裁や幹事長が領収書を受け取る必要がなく、ここでも支出先を割り出すことはできない。つまりは「裏金」。自民党には年間150億円以上の政党助成金が交付されており、税金が消えたも同然の形となっている。こんな連中に、国家経営を任せていいのか?



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