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福岡市民病院不正契約問題で疑惑拡大

2015年12月16日 08:05

福岡市民病院 福岡市民病院と福岡市こども病院を運営する「地方独立行政法人福岡市立病院機構」が、委託契約を結ぶ際に情報漏洩があったとして市民病院の元事務局長を「停職3カ月」の懲戒処分にした問題を巡り、元事務局長が便宜を図った業者と市民病院との間に、懲戒対象となった2件とは別に、19件の契約が存在していたことが分かった。
 HUNTERの情報公開請求に対し、病院機構側が作成した契約一覧表から抽出したもの。問題となった2件の契約過程は明らかとなっているが、機構側は契約全般についての調査結果を公表しておらず、同様の手口で他の契約が歪められた可能性が否定できない。
 機構側は、「業者に責任はなかった」として、会社名を非開示にすると断言。不正に加担したとみられる業者を、組織ぐるみで庇う構えであることも明らかとなっている。(右が福岡市民病院。病院機構HPより)

不正契約、業者側も加担
 下は、HUNTERが病院機構及び福岡市への情報公開請求で入手した関係職員への「事情聴取記録」、「職員懲戒審議会の答申決済」など5種類の文書を基に、元事務局長が懲戒処分を受けるきっかけとなった2件の契約過程をまとめたものだ。(*元事務局長は「事務局長」、市から出向していた職員は「係員」と表記)

事件の経緯(表)

 元事務局長は、掲示板や表示板の発注が決まった瞬間から、旧知の業者(以下「A社」)に受注させるべく動いており、便宜供与があったことは明らかだ。

 掲示板製作業務発注までの段階では、真っ先にA社を招き協力依頼。下見積書に加え、本来、病院側が作成すべき「仕様書」の案まで提出させていた。この間、部下職員らが作成した仕様内容案を却下するなどA社有利に進むよう配慮し、最後は他社の見積金額を部下に漏洩させてまで契約させていた。

 次いで発注された表示板製作業務も、不正まみれの契約。こちらも、A社が仕様書案と下見積書を提出。参加業者が見当たらず、見積り合わせが困難となるや、A社が別の業者(B社)の見積書を持ち込み、できないはずの金額比較ができたように見せかけるなど、とんでもない偽装を行っていた。すべて元事務局長の主導だが、業者側が不正に加担していたのは事実。違法行為の認識がなかったとは言い難い状況が存在していた。

業者を庇う病院機構
 県警の捜査で事態を把握したという病院機構は、病院内の全契約について精査したことになっている。しかし、その結果は未公表。元事務局長の職場復帰が噂されるほどで、自浄能力に疑問符が付く状況だ。このため、HUNTERは今月初旬、病院機構側に元事務局長が就任して以降の契約関係文書の開示を請求。件数が膨大になるため、契約一覧表の作成を依頼し、請求文書の絞り込みを行う手はずになっていた。

 病院機構側が作成・提示した契約一覧は、「委託費」「消耗品費」「消耗備品費」の平成22年度~26年度契約分。すべての業者名が明かされているが、21件の契約については業者名だけが黒塗りされていた。このうち、2件の契約の内容や契約金額が、元事務局長の懲戒対象となった契約分と一致。機構側に確認したところ、黒塗りにした業者名が、問題となった契約の相手先であることを認めている。(下が、不正に加担した業者名だけが黒塗りされた契約一覧表)

委託費

 機構側の作成資料が正しければ、問題の業者と市民病院との間の契約は全部で21件。契約金額は計634万3,499円となっている。県警の捜査対象にもなった2件の契約の合計金額は約230万7,000円。実際には、これを上回る回数、金額の契約が存在していたことになる。

 懲戒対象の契約は平成22年度。以後、市民病院は同じ業者と23年度に53万3,535円、24年度に33万2,850円、25年度に69万7,725円、26年度には229万4,568円分の契約を交わしており、懲戒処分が下されたケースと同様の手口による便宜供与が疑われる。

 病院機構側は、業者名を非開示にすることについて、「社名を明かすことで、風評被害などの損害を与える可能性があるため」と説明。しかし、問題の業者名以外はすべてオープンになっており、元事務局長の不正に加担した形の業者を守るのは明らかに不公平だ。この点について病院機構側に抗議したところ、「業者側には何の責任もない」と断言。組織ぐるみで問題の業者を庇う姿勢を鮮明にしている。

 なお、関係者から他の契約にも疑問があったとの告発が寄せられており、機構側の情報開示を待って、市民病院の闇に迫る予定だ。



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