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佐賀空港オスプレイ配備 「軍事空港化」の現実
福岡、熊本両県上空にも飛来 最低高度450m

2015年11月20日 08:40

佐賀空港 先月末、新型輸送機オスプレイの佐賀空港への配備を要請するため中谷元防衛相が佐賀県を訪問。山口祥義佐賀県知事と会談し、米軍普天間基地所属のオスプレイ訓練を佐賀に移すとしていた当初の計画をひっこめ、ひとまず自衛隊のオスプレイやヘリ部隊だけを配備する方針を明らかにした。“沖縄の負担を軽減するため”という大義名分が消えた格好だが、米軍使用の将来的な可能性を否定したわけではない。
 それでは、佐賀空港を“自衛隊機だけ”が使用した場合、どのような状態になるのか――。佐賀、福岡両県への情報公開請求で入手した資料から見えてきたのは、「軍事空港化」と隣県にまで及ぶ「危険の拡散」だった。

自衛隊滑走路占有率40%
 現在、佐賀空港を離発着する民間航空会社の定期便は羽田、成田、上海、ソウル(仁川)とを結ぶ4路線。1日15回~17回の離発着回数となっている。日によって離発着回数が変わるとされる民間小型機が、年間4,400回程度(平成25年度実績)。平日日数(245日)で割り算すれば、1日平均18回程度の離発着ということになる。民航機の離発着は計26回で、少ないのは確かだ。

 防衛省が佐賀県に提示した自衛隊機の佐賀空港利用時間帯は午前8時~午後5時。この時間帯の定期便離発着は8回で、小型機の18回が集中したとしても民間機分だけなら24回なのだという。自衛隊機は何回程度離発着するのかを示した資料が下。自衛隊機配備が実現したとしても、佐賀空港の民間空港としての使用・発展には影響はない”という理由づけに使われたものだ。

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 自衛隊機の離発着回数は1日60回程度。民航機すべての回数の2倍以上、定期便だけならその約8倍の回数、自衛隊機が飛び立ったり、降りたりするわけだ。滑走路占有時間を見ても圧倒的に自衛隊機が幅を利かす状況となる。午前8時~午後5時の利用可能時間540分を自衛隊機、民航機に割り振れば、前者が40%で後者が18%。この状態は、「軍事空港」以外の何者でもあるまい。

オスプレイ曖昧表現で実態隠す防衛省
 60回の自衛隊機離発着のうち、オスプレイ(右は米軍のオスプレイ)は何回程度となるのか佐賀県に確認したところ、予定では「15回」なのだという。ただし、上掲の資料にある通り、自衛隊機の「1日60回」はあくまでも推計。数字の後に「程度」と書いてあるのはそのためだ。すると、防衛省が提示した「15回」というオスプレイの離発着回数も、あてにならない数字ということになる。国がよくやるトリックだが、将来、実態に違いが生じた場合に備えて、説明資料の中でちゃっかり「例外」も示している。それが下の文書。

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 空港利用時間帯の時刻の後ろには、いずれも「頃」が付いており極めて曖昧。予定時刻の前後に幅を持たせており、はじめからごまかしが可能な格好だ。「夜間の離着陸訓練」が、まだ明るい「朝8時頃から17時頃」であるはずがなく、つまりは例外。空港利用の頻度についても、「現時点での見積り」としており、こちらもすべての回数に「程度」というぼかしを入れている。国を信用してバカを見るのは佐賀と、福岡、熊本の県民である。

福岡でも上空450メートルにオスプレイ
 佐賀空港への自衛隊機配備によって影響を受けるのは、佐賀県だけではない。下は、防衛省が福岡県に示した「悪天候時」における自衛隊機の離陸、着陸経路及び飛行高度の最低と最高(通常は空港南側の有明海側から離着陸)。オスプレイが、福岡県柳川市、大牟田市、みやま市、さらには熊本県南関町の上空に飛来することが分かる。

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 問題は自衛隊機の飛行高度。最高が離陸時の5500フィート=1670メートルであるのに対し、最低は着陸時の1500フィート。わずか450メートルほどの上空をオスプレイが飛行することになるのだ。市街地上空での低空飛行時に事故が起きればどうなるか――墜落までの時間が短い分、パイロットが危険回避に使える時間も短くなるのは道理。操縦がむずかしいと言われるオスプレイだけに、危険性は高いと言わざるを得ない。

 騒音問題にしても、見通しが甘すぎる。防衛省は「騒音の影響は少ない」としているが、1日24回という民航機だけの離発着回数に、自衛隊機の60回が増えることになるのだから、うるささが増すのは自明の理。「影響は少ない」という国の主張は、現時点で嘘だと言っても過言ではあるまい。想定される事態について、国は佐賀だけでなく福岡、熊本にも真実を伝えるべきだ。

佐賀空港

 上の写真は、佐賀空港のターミナルビルから見た南側の光景。滑走路の向こうは有明海で、海中に林立しているのは海苔作りのための支柱である。このすぐ上空を軍用機が飛び交う光景など、想像しただけでぞっとする。

 オスプレイは、遠距離の敵を叩くために開発された軍用機で、航続距離が長い。このことから、国は佐賀空港へのオスプレイ配備を、尖閣など離島の防衛に対処するためだと説明してきた。だが、安保法の成立によって状況は一変。自衛隊のオスプレイが、国外の戦闘に投入される可能性が出てきたのは事実だ。軍事拠点を先制攻撃するのは戦争の常道だが、上の写真でも明らかなとおり、佐賀空港はのどかな自然の中にある民間飛行場。軍事空港化は間違いだと思うが……。



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