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唐津市長に公選法違反の疑い ― 祭りにかこつけ住民接待
業務時間内の市職員も参加

2015年11月 9日 06:00

121.jpg 佐賀県唐津市の坂井俊之市長が、伝統行事「唐津くんち」の期間中に住民らを招き、無料で飲食を提供していたことが分かった。
 同市には、祭りの期間中、市内の各家庭が訪れた客を「くんち料理」でもてなす風習があり、市長もこれを利用する形で飲食接待を行っていた。
 公職選挙法は、政治家が有権者に供応接待することを禁じており、市長の飲食提供は同法違反の疑いが濃い。
(写真が坂井市長。市HPより)

唐津くんち期間中 数百人招き
 唐津くんちは、市内にある唐津神社の秋季例大祭で、毎年11月2日から4日までの3日間にわたって開催される同市最大の伝統行事。14の町内が重さ2トンにもなる「曳山」を巡行させる祭りは、初日の宵山(よいやま)に始まり、お旅所神幸(おたびしょしんこう)、町廻り(まちまわり)と続き、期間中の人出は50万人を超えるという。

 収穫に感謝する祭りとされることから、自宅に知人を招き、高級魚「アラ(クエ)」を使うなど贅を尽くした料理で来訪者をもてなすことが恒例となっている。ただし、「くんち料理」で招待客をもてなすのは、主として曳山を運行する町内とその周辺。市長の自宅は対象地域ではなく、わざわざ曳山町内にある身内の居宅を使って飲食接待を行っていた。

 飲食接待が確認されたのは、唐津くんち開催中の今月3日と4日。延べ数百人の市民らがもてなしを受けたとみられ、市職員数名も参加していた。市長の飲食接待について唐津市秘書課に確認したところ、秘書課長ら4名の職員が参加したことを認めており、会費は払っていないとしている。平日の業務日である4日は、そろって年休をとったという。

 飲食にかかった経費の出所について、市長への確認を求めたところ、市秘書課は「市長が全額を支払った」と明言。飲食接待が市長のポケットマネーで賄われたのは明らかだ。会場となった家の外にはビールの空き瓶が多数。訪問客の多さを物語っている(下の写真)。

ビールの空き瓶が多数

祭りといえども違法は違法
 公職選挙法は、政治家が選挙区内の有権者に対して行う供応接待を禁じており、坂井市長の市民への飲食提供が同法違反にあたる可能性が高い。

【参考】
公職選挙法第221条 ≪買収及び利害誘導罪≫
 次の各号に掲げる行為をした者は、三年以下の懲役若しくは禁錮又は五十万円以下の罰金に処する

 当選を得若しくは得しめ又は得しめない目的をもつて選挙人又は選挙運動者に対し金銭、物品その他の財産上の利益若しくは公私の職務の供与、その供与の申込み若しくは約束をし又は饗応接待、その申込み若しくは約束をしたとき。

 唐津くんちは、祭りの期間中学校も休みにするほど地域を挙げて大切にされてきた行事。市にとって特別な存在ではあるが、違法行為が容認されているわけではない。政治家としてのルールを守って祭りに参加すれば済む話で、市長が飲食接待をしなければならない理由はない。坂井市長は、毎年同様の飲食接待を続けてきたとされ、倫理観の欠如は明らか。その場に市の職員を参加させていたことも、市のトップにあるまじき姿勢と言えよう。

 坂井市長を巡っては先月、市長が代表を務める自民党支部「自由民主党佐賀県唐津市一〇一支部」が集めた企業献金を、そっくり市長の支援団体「坂井としゆき後援会」に寄付していたことや、市発注工事請負業者からの市長選直前の献金が発覚。迂回献金や禁止された寄付であるとして、市民団体が、政治資金規正法及び公選法違反容疑で告発する事態となっている。

 政治とカネをめぐる疑惑を持たれた市長が、開き直っての飲食接待。唐津市政の自浄能力が問われている。



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