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核ゴミ疑惑の南大隅町 町長派の5社で工事独占
公然「官製談合」のカラクリ(2)

2015年9月 7日 08:00

森田町長 特定業者と行政が組んで身勝手なルールを作り、持ちつ持たれつを繰り返す――こうした公然の「癒着」がまかり通っているのが、鹿児島県南大隅町である。
 森田俊彦町長が招いた核ゴミ疑惑に揺れてきた同町では、同じ日に実施された5件の道路工事の入札が、ほぼ100%という落札率。さらに、Aランクの有力企業5社が工事を分け合うという「官製談合」の見本のようなことがまかり通っていた。
 Aランク業者と森田町政の癒着ぶりについて、さらに検証を進める。

懲りない業者と森田町政
 問題の入札が行われたのは平成25年12月。町長側の利益供与とも思える非常識な落札結果に、町内から官製談合を疑う声が上がったのは言うまでもない。Aランクの5社は、そろって森田町長支持派。この年春に行われた町長選挙で、再選を果たした森田町長を支援していたからである。しかし、核ゴミ疑惑で嘘とごまかしに終始した森田町政に「反省」する姿勢は皆無。問題の入札から約1年後、再び5社が高い落札率で仕事を分け合っていた。下が、その事業の入札状況だ。

南大隅入札2-2

 事業名は「平成26年度佐多中央地区簡易水道統合事業」。町は、この工事を25年の「川内線道路改良舗装工事」同様5工区に分け、わざわざAランク5社で平等に受注できる環境を作っていた。開札日を昨年10月24日(1~2工区)と11月11日(3~5工区)にしたのは、25年の事業で先に落札した業者が「辞退」していき、最終的に「一者応札」となったことを踏まえたもの。町内での批判をかわす狙いがあったと見られている。

 入札実施日を分けてごまかしても、結果は同じ。10月24日に第1工区を落札した業者は第2工区の入札を辞退し、4社のうちから落札者を決定。次いで11月11日の3件の入札では、24日の落札2社がそろって予定価格から遠い価格の札を入れ、他の3業者に仕事を譲った格好となっていた。11日の入札には5社が参加した形になってはいるが、実態は3社で三つの工事を分け合った形。3工区、4工区の落札業者が、それぞれ次の入札を辞退し、5工区は事実上の「一者応札」。最終的には、仲良く5社で受注を決めていた。落札率は、いずれも95%前後に集中。官製談合が公然化しているのは、疑う余地がない。(下は5工区の入札執行調書。赤い書き込みはHUNTER編集部)

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5社独占の実態
 町内の高額公共事業を独占してきたのは、「百次建設」「東建設」「大村工務店」「成武建設」「瀬戸山組」の5社。町長派のこの5社が、どれだけ町内の公共事業を独占しているか、入札状況を確認すれば一目瞭然だ。平成25年12月から今年8月までの500万円超の土木工事について、入札結果をまとめると次のようになる。

南大隅入札(2)

 赤字で示したのが問題の5社。主要な工事の入札で、漏れなく指名を受けているのが分かる。約20カ月間で、それぞれの業者が南大隅町から受注した工事の件数と契約金額はこうだ。

・百次建設=5件・1億6,496万5,650円
・東建設=5件・1億93万6,200円
・大村工務店=4件・9,348万9,200円
・成武建設=6件・1億2,800万2,700円
・瀬戸山組=4件・1億928万7,600円
 

 調べたところ、各社3億円~7億円の年間売上。会社の規模に多少の違いはあるが、それぞれAランク業者であることによる南大隅町からの仕事が、大きな割合を占めているのが実情だ。

独自ルールで業者に便宜
 報じてきた通り、5社独占の状況を作り出しているのは南大隅町独自のルールだ。まず、町内の主要な工事の受注が5社に集中するように、「町内業者育成」(町側説明)を盾に入札から町外業者を排除。複数工区に分けた事業の入札を同一日に行った場合は、先に落札を決めた業者に以下の入札を辞退させることで、仕事を分け合えるようにしている。さらに、1,000万円以上の工事入札における指名参加基準をAランク業者に特定。Bランク業者は、200万円以上1,500万円未満の工事の入札にしか参加できない仕組みとなっていた。裏を返せば、この基準に合わせて、事業の組み立てを行っていると見ることもできる。

恣意的ルール変更で業者救済
 入札制度が恣意的に運用されていることが、27年度になってからのルール変更でハッキリする。26年度まで、同町のAランクは5社、Bランクは2社。しかし27年度、これまでAランクだった成武建設が、鹿児島県のランク付けに従ってBランクに降格する。同社の受注機会は大幅に減るはずだったが、今年度以降も5社独占の状況は変わりそうにない。

 驚いたことに、森田町政は、Aランクの入札参加基準を工事費1,000万円以上から1,200万円以上へと引き上げる一方、Bランクの基準を「200万円以上1,500万円未満」から「600万円以上4,000万円未満」に変更していたのである。落札はまだだが、成武建設はこのルール変更のおかげで、これからも主要な工事の入札に参加することが可能。露骨な業者救済策が、町長と5社の結束の固さを物語っている。他県なら、県警の捜査対象になってもおかしくない癒着ぶりだ。

政業癒着が常態化
 南大隅町に本社を置く建設業者の汚れぶりは、あまりに露骨だ。前出5社のなかで最も売上高が大きいのは百次建設だが、同社は鹿児島県知事選が行われた平成20年、伊藤祐一郎知事の資金管理団体「いとう祐一郎後援会 祐祥会」に対し、組織的な献金をしていたことが分かっている。

 HUNTERが確認した献金者の内訳は、代表取締役を除く百次建設の役員全員と社員、百次建設の子会社の役員全員と従業員、そのほか百次建設と関係の深い建設業者の役員とその家族など。42人分・345万円分が同社の“あっせん”による献金だったが、献金原資の一部が献金者本人のカネではなかった可能性もある。

 核ゴミ疑惑で揺れ続けてきた南大隅町だが、背景に、利権をむさぼる権力者らの深いつながりがあるのは確か。議会に町政刷新の意思がない以上、町民が声を上げるしかあるまい。



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