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原発立地自治体 変わらぬ隠ぺい姿勢

2015年9月11日 10:20

gennpatu1-4.jpg 10日、再稼働した川内原子力発電所1号機が営業運転を開始した。避難計画も過酷事故対策も不備なまま、無責任な「国策」が推し進められる。
 福島第一原発の事故以来、原発を取り巻く状況は大きく変わった。少数派だった「脱原発」は、いまや国民の過半数。推進を訴えるのは自民党と電力会社、それに一部の経済団体くらいである。
 一方、原発を動かすにあたって必要な同意権限が与えられているのは、フクシマ以前と同じ「立地自治体」のみ。電源3法交付金で、立地自治体だけが潤う構図も変わっていない。
 原発に関する不信が広がったのは、不適切な原子力ムラの実態が次々と暴かれたため。当然、再稼働の前提には情報公開が不可欠だったが、多くの立地自治体はその扉を閉ざしたままである。その実情は……。
(写真左は玄海原発、右が川内原発)

多くが情報公開請求に制限 
 巨額な電源3法交付金を支給されながら、原発立地自治体の内情は不透明。いずれも情報公開に消極的だ。福島第一の事故以来、原発行政の不透明さが指摘され続けてきたが、国や立地自治体にはこうした声に応える姿勢が見えてこない。

 原発事故が起きた平成23年の7月、全国の原発立地自治体における「情報公開条例」の内容を確認し、多くが"請求権者"を限定していることを報じた。国や電力会社に加え、原発立地自治体にも隠蔽体質があることは明らかだった。あれから4年。立地自治体の情報公開がどれほど進んだのか調べてみた。下がそのまとめ。4年前のデータに、建設が進む大間原発を抱える青森県大間町を加えた。(福島第一原発のある福島県大熊町と双葉町を除く)

原発

 情報公開条例のなかで、請求権者を当該自治体に居住もしくは事業所を持つ個人や法人に限定し、外部からのチェックを拒む形になっているのは17自治体のうち12自治体。
 前回調査時に制限をつけていた宮城県女川町、新潟県刈羽村、鹿児島県薩摩川内市は条例を改正しており、誰もが情報公開を請求できるようになっている。しかし、12自治体はそのまま。いまだに地域内の請求しか受け付けておらず、立地自治体の情報公開は不完全なままだ。

情報開示に消極的な九州の立地自治体
 川内原発と玄海原発を抱える九州の二つの自治体はどうだろう?
 条例を改正した薩摩川内市だが、条文を読むと首を傾げざるを得ない。同市の情報公開条例が、どう変わったか。

【平成23年当時】

 次に掲げるものは、実施機関に対して公文書の開示を請求することができる。
1 本市の区域内に住所を有する者
2 本市の区域内に事務所又は事業所を有する個人及び法人その他の団体
3 本市の区域内に存する事務所又は事業所に勤務する者
4 本市の区域内に存する学校に在学する者
5 前各号に掲げるもののほか、実施機関が行う事務事業に利害関係を有するもの

【現在】

 何人も、この条例の定めるところにより、実施機関に対し、当該実施機関の保有する公文書の開示を請求することができる。
2 何人も、この条例に基づく公文書の開示を請求する権利を濫用してはならない。
3 実施機関は、前項に規定する公文書の開示を請求する権利の濫用に当たる請求があったと認めるときは、当該請求を拒否することができる。
4 実施機関は、前項の規定により開示請求を拒否したときは、規則で定めるところにより、その旨を薩摩川内市情報公開・個人情報保護審査会(以下「審査会」という。)に報告しなければならない。

 請求権者の制限をなくしてはいるが、他の自治体ではほとんど見られない「権利を濫用」という言葉を用いて、請求自体を制限する形。同市が「権利の濫用に当たる」と認めれば、請求は拒否される仕組みなのだ。この規定が恣意的に運用された場合、情報公開の幅が狭められる可能性が高い。

 町長とそのフアミリー企業「岸本組」による原発マネー独占が続いてきた佐賀県玄海町は、相変わらず隠ぺい姿勢を堅持したままだ。玄海町情報公開条例は、請求権者について、次のように定めている。 

(1)町内に住所を有する者
(2)町内に事務所又は事業所を有する個人及び法人その他の団体
(3)町内に存する事務所又は事業所に勤務する者
(4)町内に存する学校に在学する者
(5)前各号に掲げるもののほか、実施機関が行う事務又は事業に具体的利害関係を有するもの

 報道機関が同町の実態を調べようとしても、同町に支局を置くメディアはなく、外部から町政を詳しくチェックするのが難しい状態だ。原発再稼働で得をするのは、原子力ムラと立地自治体の一部企業・住民。原発稼働への同意権限もないまま、原発事故の恐怖に怯えるしかない大多数の国民に、これで済むとは思えないが……。



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