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安倍晋三 ― かけらも見えない「誠心誠意」

2015年9月29日 09:00

安倍首相 保守合同を実現させ、自由民主党誕生の立役者となった三木武吉は、「誠心誠意、嘘をつく」という言葉を残した。様々な解釈があろうが、政治家にとって日常茶飯の嘘が、国民を裏切るものであってはならないとの自戒を込めた一言だったのではないか。その証拠に三木は、どうやら死語になった「井戸塀政治家」の代表格である。
 1955年の保守合同から60年、三木が作った自民党の現在の総裁は安倍晋三。自主憲法制定という党是をねじ曲げ、解釈改憲という邪道に走った男が、誠意のかけらもない「嘘」を繰り返している。

選挙目当てのGDP600兆円
 今月24日、記者会見に臨んだ安倍は「1億総活躍社会」などという訳の分からないプランを持ち出し、2020年までに「GDP600兆円」を実現させると明言した。だが、根拠のない数字に付き合えるほど、国民は暇ではない。安倍はどうやってGDP600兆円を達成するのか説明しておらず、唐突な数値目標に首をかしげた人は少なくなかったはずだ。

 ちなみに、近年のGDPの推移をみると2011年に471兆円、2012年475兆円、2013年480兆円、2014年489兆円と上昇。2015年は500兆円を超えるとされ、4年間で約30兆円が増える計算だ。しかし、2007年にはGDP513兆円という数字を残しており、右肩上がりが続いてきたわけではないことが分かる。6年間で100兆円ものGDP上乗せは、絵空事と言っても過言ではあるまい。“1億総活躍=国民はもっと働け、働いてGDPを600兆円にしろ”――つまりはそういうことだろう。

アベノミクス「第2ステージ」に仰天
 安倍の会見で一番驚いたのは、アベノミクスが「第2ステージ」を迎えるという話。アベノミクスが複数のステージで構成されるなど思ってもみなかったが、その前に、いつ第1ステージが終わったのかが分からない。3本目の矢は、どこに飛んで行ったのか……。

 「第2ステージ」などと聞こえの良いことを言っているが、要は追加措置。これは前段の成果不足を意味している。地方で、サラリーマンや自営業者の所得が上がったという話など聞いたことがなく、つまりはアベノミクスの失敗。株価が上がって儲かったのは、一部投資家と円安の恩恵を受けた大企業だけだった。大多数の国民は、消費増税をはじめとする値上げラッシュの前に懐が寂しくなるばかりだ。

 失政を前提とした「第2ステージ」のはずだが、安倍は謝罪どころか実情を語ろうともしない。6年先に安倍が首相の座にとどまっている保証がないことを考えれば、無責任な公約というしかない。安全保障関連法への反発を和らげ、来年夏の参院選を乗り切るため、またぞろ「経済の安倍」を演出しようという魂胆だろう。だが安保法案の審議を通じて実像を知った国民は、安倍の嘘やごまかしを冷静に見抜いている。

まかる通る嘘とごまかし
 そもそも、安倍の経済に関する約束には信用が置けない。2013年6月、安倍は民間活力の導入し、1人当たりの「国民総所得(GNI)」を10年後に150万円以上増やすと大見得を切った。出典は中曽根内閣の民活であり、池田内閣の所得倍増計画だったが、民活はさて置き、「国民総所得」の押し上げ計画は極めて胡散臭いものだった。

 この時の安倍の説明では、誰もが国民一人ひとりの所得が増えるような印象を受けたはずだ。だが、国民総所得とは、日本の国民が1年間に生産した国内総生産(GDP)に海外投資による所得を加えたもの。経済活動の指標に過ぎず、国民一人当たりの所得が増えるという話ではなかった。選挙目当ての騙しのテクニックだったことは明らかで、その後は安倍の口から国民総所得の話など出ていない。

 公約違反はまだある。安倍政権は、デフレ脱却に向けて「2年後までに2%」というインフレターゲットを設定していたが、これも挫折。金融緩和で溢れ出したカネが、庶民の財布に入ってくることはなかった。選挙の度に目標を変えるアベノミクスは、国民の目を欺くための道具に過ぎない。

 平然と嘘やごまかしを繰り返すのが安倍政治の特徴だが、希代のペテン師政治家がついた最大の嘘は「安保法制によって国民の安全と暮らしが守れる」という一言。彼にとっての「誠心誠意」は、国民ではなく自身に捧げられるものらしい。



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