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鹿児島県 台風時の原発事故は「想定外」 
大規模停電で無責任体制露呈

2015年8月27日 09:00

鹿児島県庁・川内原発 今月11日に再稼働した九州電力川内原子力発電所(薩摩川内市)をめぐり、鹿児島県(伊藤祐一郎知事)の杜撰な事故対策の実態が明らかとなった。
 25日に九州を襲った台風15号の影響で、鹿児島県内にも被害が続出。薩摩地方では翌26日まで多くの地域が停電したままの状態に――。
 原発周辺自治体の住民から「停電が長引けば、原発事故が起きても連絡などできないのでは」といった声が上がったことから、万が一の場合の対応について県の担当課に確認したところ、県は台風時の原発事故を想定しておらず、対応策さえ存在していないことが分かった。(写真:鹿児島県庁と川内原発)

原発周辺で大規模な停電
 九州全域に被害をもたらした台風15号。上陸した25日から通過後の26日にかけて混乱が続き、各地で電気の供給が止まる事態となった。鹿児島県の薩摩地方では、川内原発の立地自治体である薩摩川内市や周辺自治体の広い地域で電気がストップ。25日は、多くの住民が真っ暗な夜を迎えていた。電力の復旧は進まず、26日深夜になっても同地方の3~4割の世帯が停電。完全復旧は27日夜になる見込みだ。

 こうしたなか、薩摩川内市やお隣りのいちき串木野市の住民からは、改めて原発事故に対する不安の声。HUNTERには、次々と読者メールが送られてきた。

 ―― 台風に原発事故が重なったら、どうにもならないと分かった。避難誘導など絶対に無理。停電すれば、さらに事態が悪化するということがハッキリしました。(薩摩川内市・40代女性)

 ―― 電気が通じていないなかで、どうやって原発の事故を知らせるのだろう?県はきちんと対策を立てているのか心配だ。(薩摩川内市・50代男性)

 ―― ここ(いちき串木野)から川内は目と鼻の先。原発が事故を起こせば、大変なことになる。実際、こうして台風がきて停電が続くと、万が一のことが頭に浮かんで、ゾッとする。こうした場合の対策について、九電や県はどう考えているのか。(いちき串木野市・50代男性)

 住民の多くが台風で屋外に出られない状況のなか、原発の立地自治体とその周辺市町で広範囲の停電。川内原発は復水器のトラブルで営業運転開始を先延ばししており、まさに「原発事故」最中の非常事態となった。たしかに、事は深刻だ。下は、台風15号が通過した翌日(26日)の、川内原発周辺自治体の停電状況をまとめた表。午前10時になっても、原発がある薩摩川内市では4割以上の世帯が停電。隣接自治体である、いちき串木野市やさつま町では6割の世帯で電気が止まった状態だった。

鹿児島停電率

渋々認めた「想定外」
 この状況で、原発に事故が起きたらどうなるのか――住民が不安を覚えるのは当然だろう。原子力防災を所管する鹿児島県原子力安全対策課に話を聞いた。

 記者:原発の周辺自治体で大規模な停電が発生している。台風時の原発事故を想定していたのか?
 県側:個別、具体的な事案に対しては、その都度対応策を講じていくことになっている。

 記者:台風、停電。こうした状況で、どうやって原発事故を周知し、避難誘導するのかを聞いている。
 県側:個別、具体的な事案に対しては……。

 記者:杓子定規な話を聞いても仕方がない。今回のような場合に、原発事故を知らせる方法は?
 県側:防災無線やエリアメール、広報車の活用ができる。

 記者:それは、通常の災害対策に用いるもの。台風が荒れ狂うなか、しかも今回のように広域で停電や電話の不通が発生している場合に、役に立つとは思えない。どうやって知らせる?
 県側:個別、具体的な事案に対しては……。

 記者:他に策はないということか?もう一度聞く。台風時の原発事故は想定していたのか?。
 県側:個別、具体的な事案に対しては……。

 記者:想定していない。そういうこと!
 県側:してません……。

 川内原発の再稼働を決めた鹿児島県だが、避難計画は不備のまま。最低限の避難訓練さえ行っていないのが実情だ。台風下での大規模停電、そこに原発事故――県はこうした事態になることを、まったく考えていないかったのである。繰り返される「想定外」。福島第一の事故を教訓にできない自治体に、原発再稼働を決める権限などあるまい。伊藤知事はどう責任をとるのか?



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