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自民・井上貴博議員 政治資金で「山笠」参加

2015年8月 4日 09:40

井上貴博議員 平成24年の総選挙で得た政党交付金1,300万円の使途を巡り、公職選挙法違反(選挙運動費用収支報告書の虚偽記載)の疑いを持たれている井上貴博衆議院議員(福岡1区。当選2回)が、福岡市の伝統行事「山笠」に関する支出を政治資金でまかなっていたことが明らかとなった。
 山笠は個人参加が原則であるうえ、政治活動とは無縁の祭。さらに、井上氏が使った政治資金の原資が「税金」だった可能性が高く、同氏の政治家としての資質が問われそうだ。
(右は井上氏のFacebookより)

山笠行事費に政治資金充当
 井上氏の資金管理団体「井上貴博後援会」が福岡県選挙管理委員会に提出した平成25年分の政治資金収支報告書によれば、「組織対策費・交際費」として次の4件が支出されていた。

・1月25日 博多祇園山笠東流 御供所三区 会費10,000円
・5月26日 博多祇園山笠東流 御供所四区 会費10,000円 
・9月27日 東流 東長寺新道 会費10,000円
・12月4日 博多山笠東流 会費10,000円
(下は、資金収支報告書の該当部分)

井上議員 山笠 H25

 支出は、山笠で「七流」と呼ばれる千代流・恵比須流・土居流・大黒流 ・東流・中洲流・西流のうち、東流を構成する町ごとの会合に出されたものだ。言うまでもなく、博多祇園山笠は福岡を代表する伝統行事。市内博多区にある櫛田神社の例大祭で、政治活動の場ではない。そのなかにあって、井上氏の祖父である井上吉左衛門氏は博多祇園山笠振興会の2代目会長、父である雅實氏は5代目会長で、井上議員自身も振興会相談役。山笠について知り抜いているはずの貴博氏が、山笠に関する支出を政治活動費でまかなっていたことになる。

原資は税金
 支出原資が税金であったとみられることも問題だ。井上貴博後援会の平成25年の総収入は約1,829万円。前年からの繰越が約229万円あるが、この年にあった1,600万円の収入はすべて井上氏が代表を務める「自由民主党福岡県第一選挙区支部」からの寄附。第一選挙区支部には自民党本部から1,200万円の政党交付金が支給されており、山笠関係の支出に税金が充てられた可能性が高い。(下は、井上貴博後援会の収支報告書の一部。赤いアンダーラインはHUNTER編集部)

井上貴博後援会

 山笠に関する支出が行われたのは、井上氏が衆院議員に初当選した翌年(平成25年)。24年の後援会の政治資金収支報告書には山笠関係の支出はない。政党交付金が入るようになって、自分のカネをケチったと見る方が自然だ。

逃げ回る井上氏――辞任が妥当
 井上氏を巡っては、安倍晋三首相に近い自民党若手が開いた勉強会「文化芸術懇話会」で、「マスコミを叩くには、広告料収入と、テレビの提供スポンサーにならないこと。日本全体でやらないといけない。一番こたえるだろう」などと報道を封殺する発言を行っていたことや、24年の総選挙で得た1,300万円の存在を隠していたことが判明。選挙運動費用収支報告書の虚偽記載が疑われる事態となっている。また、この問題に絡んで、井上陣営の出納責任者が選挙運動費用収支報告書の内容を一切確認していなかったことも明らかとなっている(昨日配信)。

 政治資金疑惑発覚後、井上氏は雲隠れ状態。陣営の会計責任者も連絡不能で、陣営としての説明責任を放棄した格好だ。井上氏に、国会議員としての資格があるとは思えない。



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