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川内原発再稼働 なぜ「11日」なのか!

2015年8月11日 10:15

0-002.jpg 東日本大震災以降、この国は「絆」という言葉を掲げて東北の復興に取り組んできた。多くの国民が「3.11」を胸に刻んでいるはずだったが、わずか4年半で震災はもとより、それに伴って起きた原発事故の記憶さえ風化しようとしている。
 きょう、九州電力が川内原子力発電所(薩摩川内市)の再稼働に踏み切るという。月こそ違え「11日」。言ってみれば月命日にあたるこの日に、九電や国は原発を動かすのである。
 原発が死んだ「11日」を選んでの復活。原子力ムラが、被災地の人々や国民を愚弄しているのは言うまでもないが……。
(写真は川内原子力発電所)

再稼働ありき
 九電はきょう、川内1号機の原子炉を再稼働させ、14日に発・送電を開始する。平成23年年3月11日に起きた福島第一原発の事故後、新規制基準に基づく審査に合格した原発の再稼働は初めて。今後、全国で停止中の原発が、さみだれ式に再稼働すると見られている。

 笑いが止まらぬ原子力ムラだが、原発を取り巻く状況は、福島第一の事故以前と何も変わっていない。原発事故時の避難計画は不備のままだし、「周辺自治体」の定義さえ定まっていない。使用済み核燃料をはじめとする放射性廃棄物は、最終処分場の引き受け手がない状態で、今後も増え続ける一方だ。重要課題を先送りし、再稼働だけを急いだ形。喜んでいるのは、原子力ムラと立地自治体の一部関係者だけだ。

 無責任体制も従前どおり。原子力規制委員会の田中俊一委員長は「審査したが、安全だとは私は言わない」。川内原発再稼働にゴーサインをだした伊藤祐一郎鹿児島県知事は、原発絡みの重要情報を「(県民に)知らせる必要はない」。安倍首相は「九州電力においては、安全確保を第一に万全の態勢で再起動に臨んで頂きたい」――いずれも他人事である。原発の過酷事故で被害を被るのは国民だが、その声は虚しく響くだけ。わずか4年5か月前のことを、忘れてしまったとでも言うのだろうか?

「11日」といえば……
 仏教信者の多い日本には、祥月命日とは別に「月命日」というものがある。11日といえば、頭に浮かぶのは「3.11」。東日本大震災とそれが引き起こした福島第一の事故が起きた日である。よりによって九電は、フクシマの月命日に川内原発を再稼働させるというのである。被災地や国民を愚弄する暴挙。これを認めた安倍政権も同罪だ。

 原発再稼働は「国策」に基くもの。ならば安倍政権は、いまだに郷里の土を踏めない被災者の気持ちを、忖度すらしていないということになる。復興は一体どうなっているのか?福島第一の汚染水漏れは本当にコントロールされているのか?満足な答えが出せない状況で原発を動かすことの愚を、この政権は理解していない。安倍にとって「3.11」は、オリンピック招致の道具に過ぎなかったということだ。

 事故対策もできていない鹿児島で、川内原発を動かすなどもってのほか。大半の国民が懸念を示しており、マスコミの論調もほぼ同じである。しかし、「11日」という日の意味について問うた報道は皆無。この国全体に、無責任さを感じるのは筆者だけだろうか……。



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