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安倍首相 「非核三原則」LINEのメッセージは虚偽

2015年8月10日 09:05

安倍首相 今年は戦後70年という節目。メディアの情報発信は例年以上で、新聞各紙が戦争経験者の声をたんねんに拾って特集を組んでいるほか、テレビでも「戦争」と向き合うドラマや特集が目立つ。いずれも戦争の悲惨さを伝える内容だが、訴えかけているのは「平和」。敗戦を知るこの国が、未来にわたって守るべきものだからだ。
 一方、集団的自衛権の行使を可能にするため、安全保障関連法案の成立に向けて暴走を止めない安倍晋三首相。この人が叫ぶ「平和」は、三文役者が吐く台詞(せりふ)以下の軽さである。

LINEの首相メッセージ 
 9日、長崎市松山町の平和公園で開かれた「長崎原爆犠牲者慰霊平和祈念式典」の直前に、LINEを通じて首相のメッセージが配信された。下がその画面だ。

LINE

 ≪おはようございます。安倍晋三です≫に続き≪8月6日に訪れた広島市では、改めて、核兵器の惨禍が決して繰り返されることのないよう非核三原則を堅持し、核兵器のない世界の実現に向けて国際社会をリードしていくことを誓いました≫とある。

 あたかも、6日に開かれた広島の平和祈念式典で、「非核三原則」を誓ったかのような表現だ。しかし、当日のあいさつで首相は、≪核兵器のない世界の実現に向けて、一層の努力を積み重ねていく≫と述べただけ。「非核三原則」には一切言及していない。首相は、一体どこで「非核三原則の堅持」を誓ったのか?

 広島(6日)、長崎(9日)での平和記念式典に、現職首相の参列が慣例化したのは1994年以降。当時の村山富市氏にはじまって、歴代首相は必ず式典でのあいさつに「非核三原則」を盛り込んできた。被爆地の願いは核廃絶と平和。「持たず」「作らず」「持ち込ませず」という非核三原則は、絶対条件なのである。だが首相は、広島では「非核三原則」に言及しなかった。式典での発言がなかった以上、LINEのメッセージは虚偽と言っても過言ではあるまい。

 安全保障関連法案を巡る前日5日の参院審議で、“核兵器の輸送も法文上は排除しない”との中谷元防衛相の見解が示されたばかり。広島で非核三原則をスルーした首相に、国是軽視との批判が集中したのは言うまでもない。長崎の式典では言及すると表明したものの、後の祭り。安保法案への懸念を強める格好となってしまった。

 「純粋法理論上の机上の空論に対して答えたにすぎない。核弾頭の運搬はまったくあり得ない」と言う首相だが、空論であろうがなかろうが、核弾頭の運搬が可能となる法案を成立させようとしているのは事実。憲法解釈をねじ曲げた人の言うことなど、信用できるはずがない。そうしたなかでのLINEのメッセージ。非核三原則を誓ったことにして批判の拡大を避けようという、官邸サイドの思惑が透けて見える。

言葉の軽さ
 集団的自衛権の行使容認に舵を切った昨年の閣議決定以降、首相から発せられる言葉は軽くなる一方だ。「戦争に巻き込まれることは絶対にない」「集団的自衛権の行使で抑止力が高まる」――根拠のない断定が国民から懐疑の目で見られていることを、当の首相が自覚できていない。他国の軍隊を助けるために武力行使を行えば、当然日本が戦争の当事者国になる確率は増す。子どもでも分かる理屈だが、首相は頑としてこれを認めない。そのため、その場しのぎのごまかしや議論のすり替えを連発。ついには、発言してもいない非核三原則を「誓った」などと言い出す始末だ。

 歴代内閣が「憲法違反」としてきた集団的自衛権の行使を、憲法違反ではないと言い張る首相。言葉の軽さは誠意のなさの表れでもある。この人の言う「平和」は、まったく信用できない。



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