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70年目の米軍支配 ― 沖縄の現状(1)

2015年6月23日 07:50

基地の旗 きょう、沖縄は戦後70年目の「慰霊の日」を迎えた。県民の4人に1人が犠牲になったと言われる「沖縄戦」で、日本軍の組織的な戦闘が終結したとされる節目の日だが、県内には米軍基地が居座り、戦争と向き合う状況は現在も変わっていない。
 米軍普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古への移設を強行する構えの安倍政権だが、沖縄の民意はあくまでも「移設反対」。崩れぬ結束の背景には、沖縄の戦後を、事実上米軍が支配してきたという現実がある。

基地の島
 どこへ行っても基地だらけ――沖縄を訪れた誰もが抱く感想だろう。沖縄の米軍施設は31。区域面積は226,233 千m2にのぼり、県土全体の1割を占める計算だ。ただし、沖縄本島に限れば2割が米軍基地というのが実情。丘陵地や台地が県土の大部分であることを考えれば、異常な状態であることが分かる。下は、沖縄の米軍施設一覧表だが、31施設のうち13施設は「演習場」。暮らしに近接して、砲弾・銃弾が飛び交うといった様相だ。沖縄を除く46都道府県のどこを探しても、これほど危険な自治体はあるまい。

沖縄の米軍施設

 一方、本土の米軍施設は51。区域面積は79,993 千㎡に過ぎず、国土全体の0.02%を占めるにとどまる。よく“国土の 0.6%に過ぎない沖縄に、国内米軍基地の75%が集中”などと報じられるが、それは事実。沖縄は、まさに米軍の島なのである。

 これに対し、自衛隊と共同使用しているケースまで「米軍施設」としてカウントし、“米軍施設は全国で131箇所。沖縄の米軍施設はその25%、面積なら22.5%”などと反論する愚か者がいる。「本土にも米軍基地がある」、と言いたいのだろうが、自衛隊管理と米軍管理ではまったく意味が違っており、こうしたまやかし論には到底同意できない。なにより、沖縄本島の2割を米軍基地が占める現状をみれば、それが詭弁に過ぎないことがわかる。

普天間飛行場
 下は宜野湾市の米軍普天間飛行場。市街地のど真ん中で、他国の軍隊が広大な土地を占有している。すぐそばに沖縄国際大学があり、2004年8月には構内に普天間基地所属のヘリコプターが墜落するという事件が起きた。民間人に被害はなかったものの、ヘリコプターの部品は広範囲に落下。一歩間違えれば大惨事という状況だった。この時の首相は小泉純一郎氏。稲嶺恵一沖縄県知事(当時)の面談要請を、“夏休み中”とのふざけた理由で拒否したことが知られている。06年には「V字形飛行場」を含む辺野古基地建設案を閣議決定。米政府との合意を行ったのも小泉である。「沖縄より米国」という基本方針は、小泉から安倍晋三へと引き継がれている。

普天間飛行場

 かつて沖縄国際大の構内に墜落したのはCH-53D(シー・スタリオン)型の輸送ヘリ。現在、普天間に展開しているのは下の新型輸送機オスプレイ(MV22)である。

オスプレイ

 オスプレイの普天間配備が決まった折、沖縄は全県あげて反対の声を上げた。だが、日本政府はこれを無視。本土の人間の多くは、対岸の火事とばかりにダンマリを決め込んだ。しかし、2017年にはそのオスプレイが横田基地(東京都)に配備されるほか、佐賀空港への配備も検討されるといった状況。普天間配備に際し、国民こぞって「NO」を突き付けなかったツケが回ってきた格好だ。沖縄なら構わないが、自分の街なら許さないというのでは、あまりに身勝手。いきおい、反対の声にも力が入らない。日本政府と米軍は、こうした状況を作り出すために沖縄配備を先にしたのかもしれない。

 安倍政権は、普天間の危険性を除去するために辺野古移設が必要だと主張してきた。しかし、前掲の表で明らかな通り、沖縄県内には演習場が13箇所もある。県民の身近なところで砲弾・銃弾が飛び交う状況は、オスプレイが堕ちるのと同様に危険。政府が普天間の危険性を除去することに精を出すのなら、同じように演習場を減らす努力をすべきであろう。ちなみに、辺野古にある「キャンプシュワブ」、防衛省の位置付けは演習場である。

キャンプシュワブ
 普天間の移設先とされるのが、名護市辺野古にある米軍キャンプシュワブ(下はキャンプシュワブのゲート)の沿岸部。ここにV字形飛行場を整備し、オスプレイを飛ばそうという計画だ。

キャンプシュワブのゲート

 下の写真は、キャンプシュワブの目の前の海で、唸りを上げる海兵隊の水陸両用車。本土では、絶対にお目にかかれない光景だ。

海兵隊の上陸用舟艇 (1) 海兵隊の上陸用舟艇 (2)

 県域の陸海空を米軍が支配し、戦闘車両や軍用機が我が物顔にふるまう――それが沖縄だ。もたらした影響は少なからず。注目の辺野古を歩いてみると、70年目とは別の“もうひとつの戦後”に出会う。

つづく



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