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強まる福岡市の隠ぺい姿勢 ― 形骸化した情報公開制度

2015年6月17日 09:50

福岡市役所 自治体の透明性を確認する手立ての一つが「情報公開」の運用姿勢。情報公開条例を定めていない場合は論外だが、条例があっても請求権を当該市町村の居住者だけに限定したり、都合の悪いものを隠すなど恣意的な運用が行われれば、行政機関にとって最も大切な「説明責任」が不十分となり、情報公開制度そのものの価値が半減する。
 そうした後ろ向きな例の代表が、開示決定期限の延長。本来、文書量が膨大でマスキング(黒塗り)に時間がかかる場合などに適用されるものだが、定められた情報開示までの期間を延長し、問題発覚を遅らせることを狙って、意味もなく情報公開を遅らせるケースがある。
 福岡市では、高島宗一郎市長の就任以降、その手口が横行。情報公開請求に対する姿勢は、後ろ向きになる一方だ。(写真は福岡市役所)

情報開示の引き延ばしが常態化
 福岡市で開示決定期限の延長が相次ぐようになったのは、高島市政になってから。かつて、素早い対応と丁寧さが際立った同市の情報公開だったが、いまは昔。何かと理由をつけ、わずか数十枚の公文書開示にダラダラと時間をかけるようになっただけでなく、開示決定の放置や、文書の隠ぺいを平気で行っている。

 理由については、容易に想像がつく。開示した文書から失政が暴かれ、関係者や「市議会」で、問題提起されるのを避けるためだ。

 昨年3月。市政を揺るがした認可保育所「中央保育園」(運営:社会福祉法人福岡市保育協会)の移転をめぐる情報公開請求では、子ども未来局に加え消防局までが、決定期限を同園の開園前日まで延長。不適切な状況を何としても隠し通そうという市側の思惑が、組織的な隠ぺいに走らせた格好となっていた。

 市長への疑惑が絡めば、隠ぺい姿勢はさらに露骨となる。市長の東京出張に関する「旅行命令書」に改ざん疑惑が浮上したケースでは、開示決定を20日間延長。≪一時的な業務量の増大、また、公文書公開請求が同時期に複数行われているため、当初の期間内に遂行するには、通常業務に著しい支障が生じるため≫を理由としていたが、出てきたのはわずか2~3枚の文書でしかなかった。

 このほか、国家戦略特区の申請内容、市の組織編成方針(ポイント制)、原発安全協定等々の情報公開請求で、意味のない開示決定期限延長が繰り返されてきた。とくに市議会の開会直前に開示決定期限の延長が相次ぐ状況は、高島市政2期目で一層顕著になっている。

選挙応援で中止したはずの米国出張だったが……
 今年1月、市長が昨年12月に米国出張の予定を組みながら、突然中止していたことを報じた。出張にかかる予算の総額は約700万円。出張中止にともなって発生したキャンセル料などの損害額は約190万円に上っている。出張中止の理由は、昨年師走の総選挙で福岡1区から立候補していた井上貴博衆院議員(自民)を応援するためだったとみられており、公私混同の末、尻拭いを市民に押し付けた形。高島氏の公人としての資格が厳しく問われる事態だったが、性懲りもなく今月、問題の米国出張を実施したという。

またしても「延長」
 愚行を繰り返す市長。事前に出張計画について確認するため、今月2日に関連文書の情報公開請求を行っていたが、開示決定期限になって送付されてきたのが下の「公文書公開決定等の期間延長通知書」である。

公文書公開決定等の期間延長通知書

 前回の情報公開で入手した資料の量からして、同様の旅行で文書量がさほど大量になるとは考えにくい。第三者に関する情報とは、米国の訪問先を指すと思われるが、それとて黒塗りに時日を要するほどではないはず。延長の真の理由は、他にある。

 新たに設定された開示決定日は「6月30日」。福岡市議会の日程が22日から30日までだったことから、市議会で因縁のある米国出張について、とやかく言われるのを避けたということだ。「情報発信」の重要性を訴えてきた高島市長だが、「情報開示」には極めて消極的。自分にとって都合の悪いことは、事態が炎上することをを極力避ける方針なのだろう。情報公開制度が形骸化した自治体において、結果的に不利益を被るのが市民であることを忘れてはなるまい。

 ちなみに、高島市長と自民党市議団との間に深い溝ができたきっかけが、前述した井上衆院議員の選挙応援。特定候補へのテコ入れを控えるよう要請した市議団を無視したことで、「修復不可能」(市議会関係者)といわれるまで、関係が悪化している。姑息な隠ぺいは、墓穴を掘ることにつながると思うが……。



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