県立高校の全新入生にタブレット型パソコンを強制購入させる形で、佐賀県教育委員会が行っている「先進的ICT利活用教育推進事業」をめぐり、県教委への情報公開請求で入手した文書から、電子教育機器卸・販売会社「学映システム」(佐賀市)が受注を独占する異常な入札状況が明らかとなった。
参加した入札における勝率は約9割。同社が応札すれば受注が決まるといった格好で、入札の公平性に疑問符が付く事態だ。
調達独占の実態
佐賀県教育委員会の「先進的ICT利活用教育推進事業」においては、事業開始の平成23年以来50億円もの予算が費消されており、ほしいままに250件を超える支出が繰り返されてきた。県内自治体への補助が数件あるが、大半は物品購入、システム構築とそれにともなう工事などの調達。随意契約や見積り合わせなど、入札案件以外の受注まで含めると、同社の受注件数は92件で、契約件数のおよそ4割を占めている。
【学映システムの年度ごとの契約件数と契約金額】
・平成23年度=23件約2億6,500万円
・平成24年度=30件約2億2,000万円
・平成25年度=19件約4億6,500万円
・平成26年度=20件約2億6,400万円
調達の際、入札及びコンペが実施されたケースは確認できただけで78件。県教委が保有する入札結果表のすべてを、支出案件ごとに当てはめたのが次の表だ。(【コ】はコンペ実施)
入札及びコンペが実施されたケースは、確認できただけで78件。学映システムは50件で応札しており、落札は44件に上っていた。勝率約9割。異常な強さを発揮して、入札案件を制した格好となっている。
調達を実施するにあたって予算計上を行う段階では、積算用見積りの多くを学映システムに依頼していたことも分かっており、出来レースが行われていた可能性が大。「先進的ICT利活用教育推進事業」の関係者の間からは、県教委と同社の癒着を指摘する声もあがっている。
HUNTERの検証は次週から最終段階。タブレット型端末の選定過程はもちろん、事業費の大半を食いつぶした調達について、詳しく報じる予定だ。