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受注独占のカラクリ ― 佐賀県タブレットPC教育事業の闇(2)

2015年6月 9日 09:25

佐賀県教育委員会2-1-thumb-600x347-12894.jpg 一部の業者が利益を得るための装置と化した、佐賀県教育委員会の「先進的ICT利活用教育推進事業」。県立高校の全新入生にタブレットPCを購入させ、成績向上を図るという試みだが、右肩上がりになったのは公費支出の額ばかり。不良端末をつかまされた生徒の成績が上がるはずもなく、喜ぶのは業者だけという、とんでもない状況だ。
 事業にかかる調達を事実上独占してきたのは県内に本社を置く電子教育機器卸、・販売の「学映システム」。県教委と同社の癒着は明らかだが、情報公開請求を通じて入手した文書によって、調達独占を可能にしたカラクリの一端が明らかとなった。

積算用見積り、「学映システム」に集中
 平成23年にスタートした「先進的ICT利活用教育推進事業」では、これまで250件を超える支出が繰り返されてきた。県内自治体への補助が数件あるが、大半は物品購入、システム構築とそれにともなう工事となっている。学映システムが主要な業務の多くを独占的に受注してきた実態を報じてきたが、それを可能にしたカラクリがあった。

 役所が民間企業に業務を発注する際は、案件ごとに予算を立てるため、「積算」を行う。当然、根拠が必要だ。建設関係の事業には「物価本」あるいは「建設物価」と呼ばれるコスト基準書があるが、専門性の高い案件では専門業者に「参考見積」を依頼し、積算の根拠として示すのが普通だ。先進的ICT利活用教育推進事業において実施された調達は、約250件。このうち、県教委が積算用見積りを依頼したケースはわずかに42件しかなかった。県教委への情報公開請求で開示された「参考見積り」を、支出一覧表に当てはめると次のようになる。 

支出一覧表と参考見積り 平成23年度

支出一覧表と参考見積り 平成24年度

支出一覧表と参考見積り 平成25年度

支出一覧表と参考見積り 平成26年度

 積算根拠として存在する42件の参考見積りのうち、学映システムのそれは28件。異常な多さである。しかも、同社が参考見積りを行った28件の調達のうち、21件は同社が落札企業になっていた。通常、参考見積りを行った企業は入札から外すのが普通だが、「先進的ICT利活用教育推進事業」ではお構いなし。公平・公正など無縁とばかりに、学映システムへの参考見積り依頼が繰り返されていた。実施された入札自体が、「出来レース」だった疑いが濃い。

 他の調達でも、予算策定段階から学映ステムが関与した可能性が高く、それを裏付ける県教委関係者の興味深い証言もある。「先進的ICT利活用教育推進事業」は平成23年度にスタートしたが、学映システムはそれ以前から県教委に食い込んでいたというのだ。事業の進行過程で県教委幹部が頼ったのは同社で、ことあるごとに同社の意見を参考にしていたともいう。歪んだ教育事業のもとは、県教委と業者の癒着。その結果、学映システムが調達の大半を独占し、不良パソコンを押し付けられた生徒と親にしわ寄せがいくことになる。

つづく



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