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分譲地の3割、建設業者に販売! 鹿児島県住宅供給公社が暴走
伊藤県政と建設業界の癒着(上)

2015年6月15日 06:00

ガーデンヒルズ松陽台 鹿児島県の外郭団体「鹿児島県住宅供給公社」が、鹿児島市松陽台町で分譲している戸建住宅地「ガーデンヒルズ松陽台」の土地を、いったん住宅メーカーなど建設関連業者に買い取らせ、上物を建てさせてから一般ユーザーに販売させるという手法で、売却を進めていたことが明らかとなった。事実上の「転売」容認だが、一般顧客にはこれを認めておらず、契約内容がダブルスタンダードだったことになる。
 同様の手口で処分された戸建用地は、販売予定区画の約3分の1。営業努力を怠り、民間企業の力で事業失敗を糊塗していたとみられる。
 また、転売を認めたことは、公共事業で造成された土地を使って業者に利益をもたらしたも同然。改めて、伊藤県政と建設業界との癒着ぶりが浮き彫りとなった格好だ。

90区画を住宅メーカーに分譲 
 計画当初、県公社がガーデンヒルズ松陽台で販売を予定していた戸建用地は470区画。ところが170区画程度(平成23年2月までの実績)を売却したところで、伊藤祐一郎知事が方針を大きく変え、分譲予定地で最大の面積を占める戸建用区画約5.6 haを、すべて「県営住宅」に変更するとして県が約30億円で取得。戸建用地は284区画に減らされていた。公社によれば、これまでに249区画を販売しており、残りは35区画。昨年の販売実績は18区画だったとしている。

 ところが、HUNTERの取材で、公社が建設業者に分譲地を売りつけ、建売りで利益を与えて、販売実績を伸ばすという手法の存在が浮上。確認したところ、本来『公社⇒エンドユーザー』という所有権の動きになるはずのものが、『公社⇒建設業者⇒エンドユーザー』となっている複数の例があることが分かった。

 公社に取材したところ、この手法で販売を行っていたことを認めたうえで、業者に売った区画数について「90(区画)以上」と明言。「住宅メーカーのノウハウや営業力に頼らなければ、事業は進まなかった。まず、(業者に)土地を買ってもらい、モデルハウスを建てて顧客を呼び込んでから販売してもらうことで、全体の土地売却が進むと考えてきた」などと説明している。全体の3割を業者に売りつけなければならないほど、販売が不調だったということだ。

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契約内容はダブルスタンダード
 しかし、一般の顧客と結んだ土地の売買契約書の内容では、こうした「転売」は不可能だ。下は、戸建て用地を購入した一般市民が、県公社と結んだ契約書の条文である。

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 契約書には、禁止事項として、こう謳ってある。

  • 自己の居住の用に供する住宅及びその付帯施設以外の建築物を建築すること
  • 自己の居住の用に供する住宅を建築する以前に第三者に譲渡し、又は、貸与すること

 この禁止事項に従えば、住宅メーカーなどが造るモデルハウスは、≪自己の居住の用に供する住宅≫ではないため違約行為。もちろん、モデルハウス建築後の土地売却も、≪自己の居住の用に供する住宅≫が造られていない以上、次項の規定に背くことになる。

 販促のためとはいえ、契約を無視することはできまい。建設業者との実際の契約内容はどうなっているのか――。記者の問いに対する公社の答えは「契約内容が違う」。県公社は、ダブルスタンダードの契約で、分譲計画を進めてきたというのである。

 公社側は「住宅メーカーさんが、利益を上げたどうかは分かりません」と言うが、業者が初めから損を承知で土地を買うはずがない。土地か、あるいは上物で利益が出るからこそ、分譲地を買ったと見るのが常識的。そうなると、公共事業を通じて、建設業者に儲けさせていたことになる。

 公社はこれまで、事業促進のため、ガーデンヒルズ松陽台の分譲地購入者に「100万円」の助成金を出すなど、なりふり構わぬ販売作戦を実施してきている。それでも進まぬ土地売却に焦り、禁じ手を使った可能性が高い。

 ところで、分譲地販売先を「住宅メーカー」だと強調し、「モデルハウス」が建てられた後の販売を認めてきたとする公社の説明には一部虚偽がある。このあと、ガーデンヒルズ松陽台の土地分譲をめぐる、新たな事実が判明する。

つづく



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