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武雄市長 杜撰な市長選収支報告で修正へ
樋渡・小松、師弟コンビ揃って

2015年5月29日 08:50

武雄市役所 今年1月の武雄市長選挙で初当選した小松政市長の陣営が、公職選挙法で定められた記載方法を逸脱した「選挙運動費用収支報告書」を提出していたことが明らかとなった。
 報告書は選挙後、陣営から武雄市選挙管理委員会に出されたもの。複数個所で支出区分を間違えていたほか、推定の支出額を記入するなど信頼性を欠く内容となっていた。
 さらに、昨年春の市長選で樋渡啓祐前市長陣営が提出した選挙運動費用収支報告書にも同様の間違いが判明。市選管も両陣営の報告書の記載に誤りがあることを認めており、それぞれの陣営に修正を求めたとしている。(写真は武雄市役所)

杜撰な報告
 公選法及び関係法令は、出納責任者選任前の支出を「立候補準備」、選任後は「選挙運動」と記載するよう定めている。通常、「出納責任者選任届」は立候補届出の際に提出するもので、告示日の前と後で支出区分を分けると考えてよい。武雄市長選挙の告示は1月4日。すると、同月3日までの支出は「立候補準備」、4日以降の支出は「選挙運動」でなければならない。

 下は小松陣営が市選管に提出した「選挙運動費用収支報告書」。赤いアンダーラインで示したように、同陣営が記載した支出区分には、明らかな間違いがある。公示以前の12月に支出した画びょう(報告書では「ガビォー」)代や戸籍事務手数料などを「選挙運動」。逆に告示後の1月5日に支出した掃除用品代を「立候補準備」とするなど区分の仕分け方はバラバラ。報告書の記載方法を理解していないのが分かる。

小松陣営の選挙運動費用収支報告書

 次に、通信費支出計上方法の誤り。小松陣営の報告書では30,000円の電話代を翌月請求として片付けており、実際には支出されていないことが分かる。

翌月請求

 公選法は、選挙運動費用の収支報告について、全ての収入・支出について正確な額を報告するよう求めており、概算を記載することは許されない。概算計上を認めると、実際の支払い額が記載額以上になるケース許すことになり、報告書の信頼性が担保されなくなるからだ。小松陣営の報告書は、ただ単に杜撰というだけでなく、同陣営が収支報告の意味を理解していないことを示している。

 一方、下は昨年4月に提出された樋渡陣営の選挙運動費用収支報告書。こちらも同様の間違いがあり、確認したところ小松陣営を上回る数だった。

樋渡陣営の選挙運動費用収支報告書

修正を求めたというが……
 小松、樋渡両陣営の選挙運動費用収支報告書は、このままなら「違法」。修正する義務がある。武雄市選管に確認を求めたところ、報告書の記載に誤りがあることを認めたうえで、すでに修正を求めたという。選管からの回答は、確認を求めた翌日。素早い対応だったと言いたいところだが、褒められる事案ではない。

 両陣営の報告書にある間違いは、一見しただけでわかる初歩的なもの。報告書の提出を受けた選管は、その場で記載内容をチェックし、必要な修正・訂正を求めるのが普通で、同市選管の確認ミスだったことは明らか。他の自治体では考えられないお粗末さなのだ。現職陣営にへつらい、甘い対応をしていたと見られてもおかしくない格好だろう。

 さらに呆れたのは、同市選管の事務管理。小松陣営が提出した収支報告書のうち、2回目に出されたものを別に保管していたため、公開し忘れていたというのである。2回目の報告で前出の電話代の詳細が記載されており“問題はない”と言うのだが、この説明には承服できない。

 両陣営の選挙運動費用収支報告書を閲覧したのは4月。写しの請求、領収書類の情報公開請求と続くなかで確認の時間は十分にあったはず。1カ月経って、指摘を受けて気付くなどあり得ない話だ。選挙運動費用収支報告書は、一連の綴りにして保管すべきもの。別にしていたという説明に納得できるわけがない。

 そもそも、1回目の報告に金額未定の電話代を計上するのが間違い。修正は支出の全体額に及ぶはずで、“問題はない”などと言えるケースではない。候補者も選管も、まったく信用できない状況となった。

お寒い「改革市政」の実態
 同市の体質に問題があることは、タブレットPCを使った教育事業の情報公開請求を通じて実証済み。隠ぺいはするわ、居留守は使うわといったデタラメな対応が続き、ようやく出てきた関連文書によって、事業の正当性が疑われる事態となっている。市長部局、市教委につづいて今度は選管。情報公開制度の形骸化が著しい腐った自治体 ―― それが「改革市政」の実態だ。

 選挙運動費用の収支報告は政治家にとってのイロハ。自分の収支報告書もチェックできない人間に、自治体の改革ができるとは思えない。案の定、武雄市政は根太から腐っていた。市政をリードしてきた樋渡啓祐前市長とその後継の小松政現市長は、ともに総務省の元官僚。同省は政治資金や選挙を所管していたはずだ。

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