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佐賀県立高パソコン教育事業に50億! 問題続出で検証組織立ち上げ

2015年5月28日 07:10

タブレットPC 佐賀県教育委員会が県立高校で行っているタブレット型PCを使った教育事業(「先進的ICT利活用教育推進事業」)に、準備段階の平成23年度から実施初年の26年度までの4年間で、約50億円もの公費が投入されていたことが明らかとなった。生徒不在のまま、場当たり的に支出を繰り返していた可能性が高い。
 実証研究を経た県教委は、平成26年度から県立高校の新入生全員にPCの購入を義務化。新入生家庭の2割に「借金」を負わせたが、教材のインストールが不能となるケースが続出したほか機材の不具合・故障が月数百件ペースで発生。学年の終わりには、せっかくインストールした教科書や教材を削除(アンインストール)させるなどトラブルが頻発していた。成績向上を示すデータはない。
 こうしたなか、県教委は、一連の事業について総括を行うことを決定。28日に検証組織の立ち上げを発表するとしている。

事業費合計50億 ― ほしいままに発注
 HUNTERが県教委に対する情報公開請求で入手した資料によれば、平成23年度から26年度までに、事業実施のために結ばれた契約は約250件。思いつくまま、次々と物品購入や設備工事などを発注した形で、約48億4,000万円を費消していた。下は年度ごとの事業費合計。今年度の事業費を加えると、50億円を超える状況となっている。

佐賀県 合計支出額

生徒不在の官業癒着 ― 新知事就任で実態解明へ
 タブレットPCの強制購入、教材インストールの不調、機材の故障・不具合と続き、生徒と保護者は踏んだり蹴ったり。50億円もの公費をかけながら、事業が成績向上に結び付いたという話も聞こえてこない。それどころが、事業の検証を進める過程で浮上したのは、犯罪行為をうかがわせる官業癒着の実態。費用対効果をかえりみぬ暴走に、多くの批判が上がっていた。

 そんな佐賀県教委の暴走にストップがかかる可能性が出てきた。今年1月の佐賀県知事選挙。古川康前知事の後継指名を受けた樋渡啓祐前武雄市長を破って初当選したのは、元総務官僚の山口祥義氏。就任会見で教育政策について訊かれた新知事は、次のように決意を語っていた。

 選挙期間中に多くの方から聞かれた内容です。もう現場主義の最たることで、教員の皆さん方から、しっかり消化されないままでやられている面があるとか ── ICTですね、タブレットの話とか、そういったお話も承りましたので、この問題はぜひ現場からの声をしっかり踏まえた形での検証が必要だと思います。少なくとも今のままで走るつもりはありません。何らかの形で再検証させていただいて、もし必要な見直しがあるとするならば、ICT化ということについては導入しつつも、そのやり方についてはきっちりと見直させていただきたいと思います

 山口知事の意向を受けたものとみられるが、県教委は27日、HUNTERの取材に答えてタブレットPCを使った教育事業の総括を行うことを明かし、きょうにも検証組織立ち上げを公表するとしている。新知事のもと、疑惑解明が進むことに期待したい。

 なおHUNTERでは、受注企業を含む契約実態や問題点について、次週からシリーズで配信する予定だ。

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