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背景に人工島巨額公共事業
癒着の証明(3) ― 福岡市長と九電工 ―

2015年3月25日 07:50

高島市長と九電工 昨年11月の福岡市長選で、九州電力グループの電気設備工事会社「九電工」の社員が、高島宗一郎市長の陣営で選挙の手伝いを行っていた。
 HUNTERが入手した同陣営の選対メンバー出勤簿や出陣式の役割分担表にあったのは、同社開発営業部に属する現役課長の名前と携帯番号。公選法違反が疑われる幹部社員の選挙支援には、同社上層部の了承があった可能性が高い。会社ぐるみ ―― そう思わざるを得ないほど、九電工と高島市長との密接な関係を示す事例が存在する。

九電工会長 ― 出陣式で高島支援を宣言
 昨年11月2日の福岡市長選告示日。市内中央区の公園で、高島陣営の出陣式が行われた。壇上に並んだのは、市長の後ろ盾である麻生太郎副総理以下、自民党福岡県連所属の国会議員と県議会・市議会の議長、各種団体のトップら。政界関係者の挨拶が続いた後、経済界を代表してマイクを握ったのは、九電工の代表取締役会長である藤永憲一氏だった。

藤永会長

 経済界からは藤永会長ただ一人。その時の応援演説は、次のようなものだった。

 いよいよ2週間の選挙戦がスタートしました。150万都市を支えるリーダーとして、この4年間での実績は十分。福岡市にふさわしいリーダーです。40歳の誕生日を迎えたそうですが、就任当時は若すぎるという印象も有りましたが、この4年の実績でそんな不安も払拭されました。とはいえ、4年間でやり残したこと、新たな課題、そして反省もあると思います。それを血として肉として、新たな目標に向かって欲しいと思っています。2期目のスタートが切れるように、皆さんと一緒に支援していきたいと思います。
 九電工は、会長のこの言葉通り市長を支援。その一環として「人的支援」――すなわち自社の幹部社員を選対に送り込むことを容認していた疑いが濃い。「知らなかった」では済むまい。出陣式会場の受付には、市長陣営の『来賓・報道』担当だった九電工の現役課長がいたはず。来賓の一人として出陣式に臨んだ藤永会長が、自分の会社の課長を知らなかったとは思えない。

 選挙における人的支援の提供は即ち「寄附」。請負契約期間中の寄附が公選法違反になることは、昨日の記事で詳しく報じている(参照記事⇒「公選法違反の疑い 癒着の証明(2)―福岡市長と九電工― 」)。そもそも、市から仕事をもらっている企業のトップが市民の前で選挙応援を呼びかけるなど、言語道断の行為なのだ。

政治資金提供も
 市長に対しては、九電工側からの金銭的な支援が行われていたことも分かっている。市長の資金管理団体「アジアリーダー都市研究会」が開催してきた政治資金パーティー「九州・アジア未来塾」には、九電工から複数の社員が参加していたことが判明している。

名簿

 上は、HUNTERが入手した九州・アジア未来塾の参加者名簿の一部。確認したところ、現在の所属部署名とは違う部分もあるが、九電工本社から部長1名と副長2名の幹部社員が参加していた。

 九州・アジア未来塾の参加者は毎回50人~60人程度。特別に選ばれた人間だけが参加しており、それだけに会費は高額。地方政治家の政治資金パーティーにしては破格の3万円なのだという。九電工からは3人が参加しているため、少なくとも9万円、参加回数が多ければ、より多額の政治資金が九電工側から市長の政治団体に渡っていたことになる。

人工島総合体育館―「九電工主導」の声も
 癒着を示す事例は、まだある。市が、市内東区の人工島(アイランドシティ)に整備を計画している総合体育館。土地代(約47億9,000万円)を含めて約180億円の公費が投じられる大型公共事業だが、今月から公募が開始される「PFI事業者」の選定をめぐって、「九電工と福岡市の出来レース」を指摘する声が上がっている。

 取材によれば、複数の市関係者や建設業界の一部から、「PFI事事業者の選定は出来レース」「総合体育館整備事業を主導しているのは九電工」といった証言が次々に飛び出す状況。事業手法を決めるための検討が行われる過程で、福岡市と九電工が、非公式の「勉強会」(市関係者の話)を実施していたとされる。

 「勉強会」は事実なのか――確認のため、福岡市に「計画中の総合体育館に関し、九電工等と行われた勉強会や会議、打ち合わせ等の記録」についての情報公開請求を行ったが、出てきた答えは“不存在通知”ではなく、「非公開決定通知」。市は、『公文書の存否を回答するだけで、当該法人が関与している事実が明らかになる』から、非公開にするのだという。

 「勉強会」が存在していなければ、当然“公文書不存在”。しかし福岡市は、勉強会の記録についての存否を明かさないという異例の対応で、事実上九電工の関与があったと認めた格好になっている。

 PFIがらみでいえば、九電工と高島市政は切っても切れない関係にある。昨年秋、150億円以上の巨費を投じて人工島に移転・開院した「市立こども病院」のPFI事業者には、九電工が構成員として参加している。こども病院の人工島移転を決めたのは、他ならぬ高島市長だった。反対意見を無視して、人工島での巨額公共事業を次々に進める高島市長と、それらの事業でPFIを主導する九電工――。歪んだ市政の姿が、そこにある。

 現役課長による市長陣営での選挙活動、幹部社員らの市長側への政治資金提供、総合体育館整備事業における裏の動き……。九電工が、組織ぐるみで現職市長とタッグを組んだ「癒着の構図」が浮かび上がっている。



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