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鹿児島県産廃処分場「開業日」 知事と事業主体で異なる認識
裁判めぐり新たな疑惑も

2015年1月 7日 08:00

処分場全景 鹿児島県が薩摩川内市に整備した産業廃棄物の管理型最終処分場「エコパークかごしま」の開業時期を巡って、伊藤祐一郎知事と事業主体である鹿児島県環境整備公社の認識に違いが生じている。
 定例会見で開業日を聞かれた知事は「決まっていない」。一方、HUNTERの取材に応えた県環境整備公社は、「今月5日に開業した」。
 処分場の立地場所から事業内容まで細かな指示を出し、地元の反対を押し切って事業を進めてきたのは知事。開業時期を知らないはずはないが……。

開業日―知事と公社で異なる認識
 「エコパークかごしま」は、公共関与型といわれる管理型の最終処分場。県内に最終処分場が一箇所もないという大義名分を掲げ、伊藤知事の音頭取りで始まった事業だ。事業費は約100億円。地元住民らの根強い反対を無視して平成23年10月に着工したが、1年間も工期が遅れ、18億円に上る追加工事費が発生するなどすったもんだ。昨年暮れに、ようやく竣工にこぎ着けていた。

「エコパークかごしま」入場口

 その伊藤知事、5日の定例会見でエコパークかごしまの「開業日」を聞かれ、次のように答えている。

 ―― 特段決まっていないと思う。竣工式もやりましたから、いずれ稼働という形になると思います。

 開業日が決まっていないなどということがあるのか?疑問を抱いた記者が6日、県環境整備公社に確認したところ、およそ次のようなやり取りとなった。

環境整備公社が入る管理棟 記者 開業日はいつか?
 公社 体制は整っている。

 記者 開業日を聞いている。
 公社 契約の申し込みがあって、それから相手の事業所に立ち入り検査を行う。さらに、溶出検査の結果を待って、大丈夫だと確認してから搬入ということになる。

 記者 そんなことは聞いていない。営業を開始するのはいつか、ということだ。
 公社 今年は5日から仕事を始めている。

 記者 5日が営業開始ということか?
 公社 そういうことになる。

 記者 伊藤知事は、昨日の会見で開業日を聞かれ、『決まっていない』と答えている。知事の答弁が間違っているということか?
 公社 ……。

 記者 5日が開業日で間違いないか?
 公社 体制は整っている。

 なんとも要領を得ない。素直に「○日から営業開始です」と答えればいいものを、聞いてもいないことを並べ立てて、明快な回答を避けるのだ。何かあると考えるのが普通だろう。

疑惑まみれのエコパーク事業
 もともとエコパークかごしまの事業自体、不透明極まりない。
 県内29箇所の処分場対象地については、満足な調査が行われておらず、知事の指示で薩摩川内市川永野の一箇所に絞っていたことが明らかになっている。そこは、海外からも訪問者がある霊峰「冠嶽」の裾野。薩摩藩以来、信仰の対象となってきた山の一角を、産廃で汚そうという計画なのである。特別にこの地が最終処分場に適していたわけではなく、むしろ不適。冠嶽は、近隣の水源になってきたほど湧水が豊富で、後々深刻な被害をもたらす可能性が指摘されている。

 そんな場所になぜ産廃処分場を造ったのか―背景にあるのは植村組と県の癒着だ。処分場用地は、地場ゼネコン「植村組」のグループ企業「ガイアテック」が所有する採石場跡地。HUNTERの取材で、植村組グループが早い時期にこの場所で処分場建設を計画し、資金難から断念していたことが明らかとなっている。県はこの計画を受け継いだだけ。着工前の住民説明会でも、植村組グループによる地質調査結果を使用していた。県側も、植村組グループが県に土地の売り込みを行っていたことを認めており、「植村組ありき」だったことは明白。知事が他の場所を見向きもしなかったのは、その必要がなかったからなのである。癒着以外のなにものでもない。

 県が植村側に支払った土地代は5億円。ほとんどが砕石プラントへの補償となっている。多額の負債に苦しんでいた植村組は、二束三文の土地を5億円で売ったも同然だ。その上、100億近い公金を投入した建設工事は、同社が参加した特定建設工事共同企業体(JV:大成・植村・田島・クボタ)が受注しており、「植村組ありき」で進められた事業であることは疑う余地がない。

建設差し止め訴訟めぐり新たな疑惑が…
 疑惑まみれ、県民無視、自然破壊――。他県では考えられない愚行に、怒りの声が上がるのは当然だ。地元住民らの建設反対運動は現在も続いており、一昨年8月には処分場計画に反対してきた「大原野自治会」をはじめ「冠嶽の霊山性を守る会」、「冠嶽水系の自然と未来の子ども達を守る会」など三つの団体に所属する住民ら224人が、建設差し止めを求めて鹿児島地裁に提訴。審理は今も続いている。

 じつは最近、この裁判を巡って公社側がとんでもない行動に出ていたことが判明。新たな疑惑について、取材班が現地で確認中だ。エコパークかごしまの開業日について知事と公社で異なる見解が示されたことは、両者の間で意思の疎通を欠いた証左。県側の足並みが乱れ始めているのは確かなようだ。



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